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ボイスドラマ視聴紀行 #30

 今回ご紹介するのは、Team馬小屋さん総制作、桜川ゆかりさん制作の『【ボイスドラマ】現代お嬢様は異世界で王子様になる』です。
 なお、本作は「結迫ゆかりさんの同名原作をボイスドラマ化された作品」になります。
 ちなみに、公式の略称が「現おじょ」ですので、これ以降「現おじょ」の略称で表現する場合がございます。あらかじめご了承ください。

 以下、文章表現の都合上、敬称略とさせていただく箇所が存在します。あらかじめご了承の上、本記事をお楽しみください。
 また、ボイスドラマを視聴・聴取した上で感想を書き進めるスタイルのため、あえて備考やクレジットを見ずに執筆している場合もございます。

 こちらの作品は現在も制作ならびに発表が定期的に継続中であり、現時点で「第28話」まで公開されています。今回、ご紹介するにあたり、ストーリー展開を追うのに過不足のない地点と思われる「【ボイスドラマ】現代お嬢様は異世界で王子様になる(第12話まで)」までを視聴した感想を書きます。

 以下に掲載する再生リストであれば「ボイスドラマ本編のみの再生リスト」で「最新の第28話」までの視聴が可能です。また、皆さんの好きなタイミングで視聴を区切っていただくこともできます。ぜひご活用ください!
 なお、各話は約10~16分で構成されているので、とても聞きやすいボイスドラマです。

 なお、今回は個別リンクを貼ると本編だけでも28個、またシーズンごとの楽曲なども存在しますので、目次以降の直リンクは、私がもうひとつの区切りとして考える「第6話」までとさせていただきます。

 なお、桜川ゆかりさんの制作された作品が掲載されているYouTubeページは「現おじょ」だけでなく、「陽だまりにある僕らの世界(略称「ひだぼく」)」も掲載されています。
 ご興味のある方は、ぜひ一度はご閲覧してみてください!



現代お嬢様は異世界で王子様になる(第6話までの個別リンク)


作品を途中まで聞いた率直な感想

 本作は「異世界モノ」で、その雰囲気を感じてもらうための工夫として、立ち絵やイラストが豊富に用意されています。ですので、本作は視聴を前提で楽しんでいただくのがいいでしょう。
 いつも聴取スタイルで聞く私でも、何度か「映像のイラスト変わったかな?」と思って、何度も目を開いたくらいですので。

 ハッキリ申し上げるなら……実は、聴取だけでも物語には余裕で追いつけます。そこは単純に「制作陣の腕がいい」としか言いようがありません。
 それでも「視聴スタイルを強くオススメします」と訴えるのは、世界観を想起しやすいイラストなどが随所に盛り込まれており、それらがとても魅力的に映るからです。本当なら「ビジュアルボイスドラマ」を名乗ってもいいくらいの作品だと思います。

 実は私、序盤でひとつだけ身構えてしまった瞬間がありました。
 それは「異世界の詳細な地図が見えた時」です。私も某PBWなどでゲーム制作の経験があるので、こういった要素が必ずしもプラスに働かないことも骨身に染みてわかっています。要するに「お手軽に聞ける!」というカジュアルなアプローチと、うまく混ざらないことがあるのです。
 しかし、皆さんはご安心ください。こういった題材であっても、身構える必要は全くありません。あえて明文化するなら「あー、そんな感じの世界観なんだー」くらいに捉えれば十分です。

 あと、原作があるストーリーだからか、視聴者に寄り添うかのような徹底された聞きやすさが光る作品になっています。現在まで更新が続いている理由が、私の視聴区域ですらよく理解できました。
 ファンタジー作品に登場する設定や用語はいくつも登場しますが、それらもなるべくわかりやすく、誰にでもわかるようなアプローチが徹底されているので、ロングラン作品でありながらも「今からでも、すぐに『現おじょ』の世界観になじめます!」という構成を、初期段階から意識して制作していたと推測します。

初めての場所に行く時に見る地図は、ね……

制作陣の配慮は、全ての聞き手のために!

 いくら原作があるとはいえ、ボイスドラマ化する場合には魅せ方を変えなくてはならない箇所なども存在します。ナレーション進行せざるを得ない場面もあるでしょうし、さまざまな制約も存在したでしょう。
 それらの取捨選択をする際、制作陣の頭の片隅には「すべては視聴者のために!」という気持ちがあるのだと思いました。

 この意識は当たり前ですが、この世のクリエイター全員が大なり小なり有しているモノです。しかしながら、それが必ずしも「作品の聞きやすさ」や「視聴者層の間口を広げる」という項目とはイコールでは繋がらないのです。
 いくらその意識を強く高く持っている制作者であったとしても、完成した作品を最終確認している時に「あー、これは聞く人を選ぶ作品になっちゃったなぁ~」とか、そういう感想を抱くことは往々にして起こり得るのです。それは決して制作に関わった特定の誰かのせいではなく、必然的にそういう作品に仕上がる運命にあったのでしょう。

 そういったことも起こり得るというのに、現おじょは本当に「いつでも視聴者に寄り添った作品構成」を初期段階から成し得ています。
 その結果として、視聴者が薄ぼんやりとキャストの声と表示されるイラストを見て「このキャラは、このイラストなのかぁ」とか、物語を聞き進めていくうちに「今はこういう街にいるんだな」とか、情報の明確化が自然とできる仕組みを完成させているのです。

 この点は「現おじょ第1~3話」のまとめ動画を視聴すれば、一発でわかります。
 3話分一気に視聴することになるため、トータルで約32分かかりますが、私の伝えたいコトを一気に感じたい方は、ぜひこちらを入口にして視聴を開始することを強くオススメします。


シナリオ展開も脚本の組み立ては、言わずもがな丁寧!

 視聴するどころか、聴取でさえシナリオ展開に追いつけるということは、脚本に落とし込む時点で丁寧な描写を心がけているのだと思います。
 普段からボイスドラマの視聴を嗜む方の中には「ちょっと展開がスローじゃない?」と思う方もおられるかもしれません。ただ、第12話までを聴取した私から言わせれば「このスピードでちょうどいい」と思いました。

 現在も鋭意制作中のボイスドラマなので、今後も登場人物が増えていくことは容易に想像できます。全員がチョイ役なり、エキストラ参加で登場するのならわかるのですが、絶対にそういうことが起こり得ない作品なので、シナリオ展開のスピードをある程度の位置で保つのは重要なことだと強く感じました。
 ひいては主要キャラの掘り下げに時間も割けますし、いずれ登場するであろう人物との邂逅なども丁寧に描写できるというメリットを十二分に発揮でき、何よりも視聴者へのアプローチとしても機能するので、本作はこのままのスタイルで突き進んでほしいと思います。

 また、作品を脚本に起こす時点で、おそらく「描写や説明がややこしくなりそうな要素を、なるべく簡素な形に変換することを心がけている」という印象を受けました。
 それはシナリオ展開の丁寧さであり、最重要な項目の挿し込み方であり、なるべく急展開としてのアプローチを避けるといった、究極のユーザーライクに繋がっていると思います。
 私のように、こういった構成について文章で表現するのは、本当に簡単なことです。ただ、これを本当に形として為すのは、究極的に難しい困難な作業です。それができる「桜川ゆかり」という制作者は非凡な才能を持った一角の人物だと、心の底から評したいです。

私の言葉は何でもない。それを為す人が素晴らしい。

こんなに素敵な脚本を演じる魅力あふれる声優陣

 現代の日本で幸せの絶頂にいた女性のミナ(CV:巫部える)は、突然として剣と魔術の世界『ルインアルカーナ』に飛ばされてしまい、しかも王国の兵士に捕らえられてしまうところから物語が始まります。
 しかし、紆余曲折あり、国の大臣であるシルド(CV:かみしろゆう)に窮地を救ってもらうも、彼はミナにとんでもない取引を持ち掛けるのです。ミナはそれを為すために、城内でくすぶっているアヴィス(CV:カイト)教育係のノルディック(CV:山猫)、王子を知るエルフのエリシア(CV:椿紗奈)との出会いがありながらも、ミナは元気いっぱいこの世界で頑張っていきます。

 ミナは変身魔法によって、王国の王子・ラヴィ(CV:旅音)になることもあるのですが、いわゆる二人一役になる場面もあり、巫部えるさんと旅音さんの演技がリンクする場面はかなり見所です。ただ、すぐに聞ける訳ではないので、その時を楽しみにしていてくださいね!
 また、ミナは最初こそ記憶喪失になっていますが、徐々にその記憶が明らかになっていきます。その頃には「剣士のミナ」というイメージが強くなっている頃なので、視聴者はもちろん、巫部えるさんも驚かれたのではないでしょうか?

 アヴィスのわかりやすい好青年キャラで、物語を盛り上げつつもキーマンとしての役割も果たしてくれます。カイトさんの三面六臂の活躍にご期待ください!
 いわゆるレベリングの済んでいる大人組であるノルディックとシルド、エリシアもまた、ミナとカイトを諫めつつも、その成長を見守る存在として……だけではなく、今後のシリーズに大きく関わってくる重要人物になる予感がします。一筋縄では行かない大人組にも目が離せませんよ?

 その他にも様々なキャラクターが登場しますが……
 今回は導入部分である第12回までの紹介記事となりますので、その他の素敵な声優さんにつきましては、クレジットにてご確認ください!

飲み過ぎにはご用心!

総評「今すぐにでも楽しめる異世界モノの最高傑作」

 まだ完結していない作品でもあり、私も「第12話まで聴取」という寸止めを食らっているので、今後の展開にもかなり期待が持てます!

 最後に、私が何よりも優先してお伝えしたいこと。
 それは「今からでも、現おじょの視聴は間に合います!」ということです。異世界転生モノというジャンルは、今や確立されたライトノベルなりの有名なジャンルではあります。しかしながら、後に展開を広げたい場合において「肝心のタイトルのせいで、それが制約されてしまう」というデメリットも同時に持ち合わせているのです。

 本作においては、そんなこと微塵も感じさせません。
 私が引っ掛かりを覚えたという地図で言うならば、第12話まででも本当にそこそこしか冒険してません。
 しかし、タイトルの要素を回収するも早いですし、何ならそこから新展開を広げていくのも上手い。初期段階から伏線も張られているので、とても楽しい作品に仕上がっています。

 いかに優れた長編作品と言えども、唯一無二の弱点を抱えています。それは「新規の視聴者を得ること」です。
 しかし、そこはご安心ください。私が序盤からの魅力を存分にお伝えしましたので、これからも現おじょは盛り上がっていきますよ!


クレジット(敬称略・第12話まで)

▢メインキャスト
 
ミナ:巫部える
 アヴィス:カイト
 ノルディック:山猫
 エリシア:椿紗奈
 シルド:かみしろゆう
 ラヴィ:旅音
 ポプリ:板チョコレート
 カナタ:ARASI
 シャルロット:中里絵美佳
 アラン:ミンク
 ヴァーグナー:あさみな
 リリオット:色彩天宙
 ユニヴェール:旅音
 レシュノルティア:観月藍
 マット:神宮泰知
 エイミー:中里絵美佳
 レア:天國諭吉
 クレセンティア:金山華奈
 エデン:水崎あいす
 マキナ:望月なつ
 ルーデリット:望月なつ
 インハルト:はてな
 ナタリナ:容子
 サイロス:天國諭吉
 アリア:金山華奈

 婚約者:A R A S I
 国王:はてな
 妃:板チョコレート
 エリス:中里絵美佳
 兵士:あさみな/なさ/ミンク/ユジーン
 モンスター(鳥):伊東優
 モンスター(ゾンビ):スイフエ
 虹色のスライム:mochimiyu
 酒場のマスター:はてな
 客:みこみん/はてな/伊東優
 店員:スイフエ

 ナレーション:山猫

▢エキストラ
 
朝川誠
 中里絵美佳
 山猫
 はてな
 真日人
 観月藍
 ミンク
 ユジーン
 旅音
 井折たくみ
 ユジーン
 是枝留
 みこみん
 スイフエ
 オザワヨーヘイ
 色彩天宙
 神宮泰知
 mochimiyu
 水崎あいす

▢スタッフ
 
原作:結迫ゆかり
 脚本・制作・編集:桜川ゆかり

 作画:
  馬小屋アトリエstudio
  LUCIO
  杠葉こゆき
  メガユキナ
  琴羽瑠
  汀かめり
  藍六まりめり

 スペシャルサンクス:Team馬小屋

長編は入りにくいなんて、本作には関係ねぇ!

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