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旦那さま①
出会い
前の彼と大喧嘩して別れた次の日、大好きな幼馴染の結婚式だった。
とても晴れ晴れと、スッキリしていた。
友人と待ち合わせて、式場へ向かう。
とても綺麗なウェディングドレス、楽しい余興、幸せのお裾分けをしてもらった。
彼と別れた次の日だったのに、とても晴れやかだった。
友人にも笑われた、昨日の今日でしょ?と。
でも「まあ、情だったからね」と二言目には言われた。
その通り。
式、披露宴と終わり、二次会へと向かった。
二次会の参加は初めてだった。
彼と付き合っている間は、式が終わって真っ直ぐ帰ってこいと言われていたから。
二次会で、席をシャッフルし、男女混ざって席についた。
幼馴染夫婦が、同じ席に座る。
「どう?誰かいい人いた?」
幼馴染に聞かれた。
「いやいやそんな、久しぶりにこうやって飲みに出て、結婚式に呼んでもらって、みんなにも会えただけで最高」
とわたしは笑う。
幼馴染夫婦が次の席に移り、私の隣が空くと、男の子が近付いてくる。
「ここ座っていいですか?」
「あ、どうぞ、さっき2人が座ってたけど、移動したから」
「おじゃまします」
目を細めてにこにこ笑う。
のちの旦那さまである。
一緒に座っていた別の男の子が場を仕切る。
女子の名前当てクイズ、だそうだ。
名前なんか当たるかいな、と内心笑う。
すぐにビンゴ大会も始まった。
弱いくせにお酒も飲んで、ビンゴ大会に参加する、もうそれだけで最高だった。
みんながにこにこ笑っている、なんて良い日なんだ。
「当たりそうですか?」
隣に座った彼だ。
「んー…あ、リーチかな?」
「本当だ!次、5ですね!!」
【さあ!続いての数字はー!?
5ー!!!】
「あ!!ちいさん!当たり!ビンゴ!」
「え?あ!本当!ビンゴー!」
立ち上がってカードをひらひらさせる。
ビンゴだ。
何年振りだろう、ビンゴになるなんて。
そして、何が当たるんだろう。
紙袋で渡された賞品を手に持ち、席に戻る。
「あ、これ、僕が買いに行ったやつなんですよ!あわよくば僕に当たればいいなと思って!」
「あ、そうなの?」
「なんでしょう~」
楽しそうに笑うんだな、私が当たったのに。
紙袋から出てきたのは折り畳みのタッパーだった。
使うときは大きくして、中身がなくなったらペタンコに潰して持ち帰れる、何度も使えるものだった。
しかも、mon-bellではないか、いいものが当たった。
「来週、登山行くんよ、おにぎりとかお菓子入れてこ、いいの当たった!」
と喜んでいた私を見て彼は目を輝かせていた。
「ちいさん、登山すると!?」
初心者だよ、初心者、全然だ。
登山経験者の友人に連れて行ってもらうだけ。
「僕も登山するんですよ!キャンプとか、釣りとかも好きで!」
タッパーから趣味の話に広がる。
ビビッと
皆さんは【ビビッと婚】があると信じていますか?
全く信じていなかった私は、テレビでよく見る芸能人の【ビビッと婚】や【交際0日婚】など、信じられないでいた。
いやいやいや、ありえないでしょう、そんなで結婚しちゃうの?と思っていた。
そう、思っていた。
趣味の話をしながら、思い浮かんだのだ。
~
一面に広がった芝生の上にテントを立てて、
彼はバーベキューコンロに火をつけて
私はクーラーボックスから食材を取り出しながら
走り回る2人の男の子に「あんまり遠くまで行かんとよー!」と
声をかけている
~
彼と私は結婚して、男の子を2人授かり、キャンプをしていたのだ。
そんな風景が、すっと浮かんだ。