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『アーキオロジーからアーキテクチャーへ』田根剛(聞き手:瀧口範子)
注目の建築家・田根 剛がリサーチを通して探求する「未来の記憶」。
建築家を志したきっかけから、「エストニア国立博物館」など話題のプロジェクトの背景、設計思想、そして未来への思いまでを、
ジャーナリスト・瀧口範子のインタビューによって一挙に語り下ろした。
田根剛さんは若手の建築家・デザイナー。新国立競技場のコンペで最終選考に残るなど存在感ある活動をしている。
この本を読んで知ったのだけれど、2015年のフランク・ゲーリー展@21_21_デザインサイトの展示デザインも田根さん。
とても強い印象の残る展覧会でした。ゲーリー設計の神戸のフィッシュダンスやロスのウォルト・ディズニーコンサートホールを実際に観たときはテンション上がりました。
この本は田根さんの足跡をインタビュー形式で描き出すもので、薄い本ながら密度は濃い。田根剛というデザイナーの足跡と特徴がよく理解できる。
田根さんは、建物をデザインする前に、その建物が立つ場所・土地について、“アーキオロジー(考古学)”的な調査を徹底的に行うという。
そういう、言わば土地の持つ古層の記憶への関心を公けにしている田野さんが、今手掛けている渋谷・玉川上水旧水路緑道の再整備において、地元住民からの強い批判を受けているのは、何故なんだろうと不思議に思う。土をコンクリートで覆うというデザインに強い批判があがっているようだ。
大きな仕事にはそのインパクトに比例する批判が出るのは世の常てはあるけれど、田さんの“アーキオロジー”思想そのものが問われているような印象で、気になるトピックです。
この本はあくまで田根さんの主観的語りなので、その点には留意が必要かなとも思います。
あと、この本の表紙の写真はあまり良いと思わない。そのせいで買ってしばらくは手に取らなかった。カバーを外すとおそらく田根さんのハンドライティングだろうと思われる線があしらわれたデザインで、こちらをカバー表紙にすれば良かったのに、と思う。
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