黒沢清『予兆 散歩する侵略者』
劇場映画『散歩する侵略者』(以下『侵略者』)のスピンオフで、wowowのドラマとして製作されたもの。
『侵略者』が宇宙人来襲パニックSFなのに対し、『予兆』は脚本に高橋洋が参加しているため、純然たるホラー。
宇宙人との対決という分かりやすいドラマは『予兆』のほうが強いモチーフになっている。『侵略者』では、長谷川博己なんか、宇宙人と仲間意識持って自分の体差し出したりして、あまり宇宙人vs人類、という図式は前面にはでていなかった。
まあそういう差異は当然あれど、宇宙人来襲のモチーフと、夫婦愛というテーマは共通している。
むしろ、それなのにこんなに違うテイストになるのかね、という愉しみ方が出来る。
どちらにも出ている東出昌大、『予兆』での気持ち悪い宇宙人役が良く似合っていた。『侵略者』の胡乱な神父(牧師だっか?)役も良かったけど。
多分、『侵略者』はハッピーエンディングで、『予兆』はバッドエンディングだと思うんだけど、あんまり自信はない。
どちらもとても余韻のある、良いエンディングだ。
宇宙人が侵略してきても、二人でいられるならそれでいい。そんな夫婦のラブストーリー、でした、多分。