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三木美術館『その絵からどんな音が聞こえますか?』

素晴らしい絵画を前にすると、私たちは、水面の揺らぎや花の香り、鳥のさえずりや作家の心の声など本来、時が止まっているものから感じにくい感覚のものを感じることがあります。今回の展示では、音が見える絵画を集めて展示いたします。松を通り抜ける風切り音、川のせせらぎ、人の会話、風の音など絵画をじっくりと眺めていると、どんな音が聞こえてるのだろう?絵を前に画家が描いた音に耳を澄ませてみていただければと多います。

毎年恒例の全国陶器市を楽しんだあと、三木美術館で展覧会を観てきました。

展覧会のコンセプトは上の引用通りです。ここは自館のコレクションのみで展覧会を構成するのですが、今回はこれまであまり目にする機会のなかった作品も出ていて愉しめました。

いくつか印象に残った作品についてメモ。撮影禁止なので画像はありません。

まずは三階フロア。

ベルナール・ビュフェ「LA BRETAGNE」、哀しみを称えた、ひと気のない街の光景も素晴らしいけど、画家のサインがすごく格好良くて痺れます。

松岡映丘「名古曽の関」どういう故事にちなんだ絵なのか分かりませんが、洒脱な描写の線、軽やかな色彩、日本画が苦手な僕でもほっこりするような穏やかな画面。

上村淳之「鴨」淳之は上村松園の孫とのこと。松園と同じく日本画ですが、鴨の飄々とした佇まいが良かった。

四階に上がって。

今中素友「高山清風」パンフレットのアイキャッチにも採られている作品。かなり大きくて(210.5x171.0)高い山の上、松の枝すらも靡く風。不勉強にして知らない画家ですが見応えすごくありました。

また、松岡映丘「鷹狩り」、平山郁夫「月光砂漠らくだ行く」、奥田元宋「湖畔の秋」、伊東深水「蛍」と小振りながら個性的な作品が並ぶ一角の充実度も素晴らしいものがありました。

同時開催の陶芸展「みずさしって、水差?水指?」も、藤本能道や三輪休雪らビッグネームも並び壮観。

その中でも楠部彌弌(くすべやいち)「青華彩色鍋島草花之図水指」の、精緻にして妖しい草花の絵には特に引き込まれました。

また徳田八十吉(三代)「燿彩水指」の、深く艶めかしい青の色、焼物でこんな色が出せるのかと驚きました。

毎度まいど三木美術館の特別展は、そのコレクションの魅力がたっぷり味わえます。小さいけれども是非注目して欲しい美術館です。


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