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『図説 金枝篇』J.G.フレイザー / M.ダグラス監修,S.マコーマック編集

民族学の不朽の古典を読みやすい〔図説・簡約版〕で

世界各地の神話・呪術・タブーを集成し、20世紀の人文学に多大な影響を与えた全13巻におよぶ大著のエッセンス

世界各地の信仰と習俗を蒐集した民族学の必読書であり、難解さでも知られるこの書を、二人の人類学者が読みやすく編集した[図説・簡約版]の日本語訳。

看板に偽りなし、非常に読みやすく面白い。

原典がこんなに読みやすく面白いとはとても思えないので、監訳者と編集者の功績なんだろう。

まだ科学が発達する前、アニミズム的世界観とプリミティブな宗教とが世界を理解するための枠組みだった頃の人間の精神の営みを、今に残る痕跡や記録から辿る。

神話、伝承、今も残る習俗や儀礼、そして語彙。集めた事例の多さがおそらくフレイザーの功績なのだろうけれど、程よくチョイスして、結局何が言いたかったのかをまとめてくれるので、飽きずに読み進められた。

赤坂憲雄さんの初期著作を読み漁った若い頃が懐かしく思い出される。近代天皇制を日本独特の王権として読み解こうとした赤坂さんの試みは、今読み返してみるとどんなふうに響くかな。

結局、天皇制は途絶えることなくまだ続いている。網野善彦さんや赤坂さんの志を継いで、日本王権論批判を紡ぐ研究者が出てきて欲しい。

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