【鉄面皮日記】23/06/08.Rat Race "市場調査"
角打ち(かくうち)といえば、酒屋さんの脇で立ち飲みてスタイルのことですが、
いまやってるバイトでは、重い箱を乱暴に投げ他の箱にキズをつけてしまうと角打ち(かどうち)したな、
と怒られます。
ついつい投げてしまうわけですが、重量があるとそれ自体の重みが仇となり、先のダンボールに穴をつけてしまう。
どうせ保護材入ってるし、段ボール箱はそれを防御する役割だし、商品とは無関係じゃなかろうか、という問いは愚問である。配送屋さんは外箱を重視し、梱包されたその中身については何も知らない、知られちゃいけない、デビルマンが誰なのかであるのだ。
今日の仕事も辛かった。
今までちゃらんぽらんにやってきたツケを支払ってるんじゃないのか、ていうくらい延々と続く荷運び。
BGMはハードロックが似つかわしいんじゃないのか。
Led Zeppelin - Achilles Last Stand (邦題：アキレス最後の戦い)なんかどう？
ピラミッドの石を人力で運んでいく姿を思い描きながら、僕の就労は続いていく。
あーしんど。
"市場調査"の仕事
これは都市部ならではのバイトではなかろうか。
登録制で数社から電話を貰い、様々な商品のリサーチに賃金が支払われる。
その日暮らしにとっちゃ途轍もなく魅力的なバイトだ。
一番多くやったのはビール試飲。
時代と共に、発泡酒・第三のビールと移ろいゆくのだが、真昼間から会議室に数十名集められ紙コップで次々とビールを試し、アンケートに答えていくだけという夢のような仕事。
ちゃんとアテ（柿ピーとかポテチとか）も紙皿に用意され、別に飲み干さなくてもいいけれど、そりゃ飲んじゃうよね。
また他者との会話禁止、糞真面目に給仕して回る社員、黙々とビールを摂取し、あくまでも仕事という名目なのであるコトが笑えてきてしまい、会議室の蛍光灯が逆に酔いを助長し、約一時間ほどで謝礼（だいたい3千円くらい）ゲット！
放り出されて渋谷（だいたい会場はココ）の繁華街、割と酔ってふらふらしてると、とても妙な気分になる。
次にはタバコ、これは吸うのではなくパッケージデザインの調査で、まぁどれを見ても似通ったデザインの図柄についてのアンケート。最初は素直に答えていたけれど、退屈なんでぜんぶ逆に答えたりする。
何にしろ正解はないので思うまま、お金貰ってるんだからちゃんとやれよ、とも思うが貴重な情報をこれっぽっちのお金で渡したくないという反骨精神が邪魔をする。なんて非道いんでしょ、俺。
次は新型車のデザインやコマーシャルについての調査。
これは格段に謝礼金も上がり8千円~1万円とか貰えてしまう。
一度大きい会場で、他の部分は幕で隠し一部分だけ見せた新車の調査があり、なかなか大規模なヤツだった。
会場は六本木、テレビコマーシャルを何本も見て感想を言うとか、綺麗なお姉さんとお茶しながら質問に答えて謝礼。
さすがにそれはどうかしてると思う。
マク○ナルドの試食は楽しかったけれど、あれだけバーガーを喰わされると嫌になる。
変わり種は、ハゲについての座談会。
だいたい人が足りないと、だいたい暇してる自分のとこに電話がかかってきて、明日どう？とかってなる。
それで薄毛に悩んでる人の座談会だって言うんだけど、俺ぜんぜん違いますよとか言っても大丈夫大丈夫って、
仕方なく行ったら、ハゲ予防のグッズや器具を数名で囲み、いろいろ試しながら感想言い合うという地獄。
録画されているらしいが、何かよくわからない肩たたき棒みたいので頭皮を叩いたりなんかして、これは効きそうですよね、とか言っちゃって薄ら寒いのなんのって、だいたいハゲてる人あの時居なかったよ〜、ぢゃあみんな適当に集められたんじゃんかよ。
結局は、市場調査会社だのの名目で適当に人を集め、ろくでもない調査をもっともらしくデータとして挙げ、企業からぼったくっていたんだろうなと思う。
そのぼったくったお金を分配し、一番最後のピラミッド最下層にスズメの涙の謝礼金、それを貰って小躍りしてるのが僕だったのです。
こうやって時間と情報を抜かれ身売りをし、いっ時生き延びてきたという事実が、ある意味重くのしかかるのだ。
こりゃ、のら犬にさえなれないワケだ。
こんな依頼を受けたコトもあった。
ぬいぐるみを着て施設内を練り歩くだけのバイト。（20歳頃）
女子高生とかに囲まれ、わー可愛いとか云われニヤついてた。
ガキに口の中を覗かれ（そこが外が見られるとこ）小突いたりした。
でもこんな仕事の方がよっぽど仕事としてはマトモじゃかかろうか。
しっかり汗をかき、目に見える手応えはあったのだから。