影響か、侵食か。モキュメンタリーホラー「近畿地方のある場所について」を読み始めた怖がりの夢の話。
滅茶苦茶よくできていて怖いと今バズっているホラー小説(?)「近畿地方のある場所について」。
私はTogetterで知って、スマホでちょっとずつ読み進めています。
先達によれば「一気読みするな」「明るい時間に読め」との事なので。
このホラー作品についてさらっと説明すると、小説投稿サイト カクヨムにて「背筋」と名乗る方が書いた創作物です。多分。
というのも、「近畿地方のある場所について」は一本のストーリーに沿った小説ではなく、いくつもの短い「雑誌の記事」や「ネットの掲示板の書き込み」「手紙」「インタビュー記録」といったテイの文章群と、作品内ではホラー系ライターという事になっている作者がこれらの文章をネットに公開した経緯を説明する文「近畿地方のある場所について」の、断片的な情報から成るものだからです。
こういった、あたかも実話やドキュメンタリーであるかのような形式のフィクションはモキュメンタリーというらしいですね。この作品のおかげで知りました。
なので、読んでる側はもしかするとこれらは現実で、フィクションではないのでは?という疑念を頭の隅に抱いたまま読み進めていくことになるわけで…少しの想像力を働かせた瞬間リアルな日常浸食系ホラーと化す、そういうのダメな人にとってはとんでもなく怖いホラー作品です。
さて、私はそういうのダメな人なのかというと。
ダメです。とんでもなくダメな人です。
というか自分で言うのもなんですが滅茶苦茶怖がりなんですよね…。ジャパニーズもアメリカンも人怖も幽霊もサイコも呪いもグロスプラッタも、およそホラーと名のつくもの全てが怖くてダメです。
ローカルな話で恐縮ですが、日光江戸村の地獄寺、富士急ハイランドの鬼太郎お化け屋敷といったチープ・子供向けなもので大絶叫し同行者に怒られたことがあります。
一説にはホラー映画ではないとされる「仄暗い水の底から」も直視できませんでしたし、ギャグ映画とまで揶揄された「犬鳴村」をさらに悪ふざけした「恐怖回避ばーじょん」予告映像を、そこまで言うならとYoutubeで見て(しかも人の沢山いるカフェで)騙された!!!!と半泣きになる、ホラー耐性幼稚園児並の人間です。
なのになんで読むんだ、といえば、ひとつは私がホラー関係なく、こういう一見無関係な欠片を拾い集めて組み立てる手法の物語が好きだから。
パズルみたいで楽しいじゃないですか。
あとはやっぱり、怖いもの見たさは否めません。
私と正反対でホラー耐性SSR、何見ても全く怖くないという兄弟いわく、怖くないという事はつまりホラーの一番のうま味が味わえないわけで、楽しめないから逆にホラー作品見れなくなるし損だよとの事。
つまりはまあ、怖がりこそホラーを楽しむ素質があり惹かれるのでしょう。
しかも私はうつ系の精神疾患持ちな上、自己暗示とかの類にも非常にかかりやすいタイプです。怖いもの不安なものへの感度がビンビンなのです。
なので言わんこっちゃないとばかりにそれっぽい怖い夢、見てしまいました…。
まだ3つ目の文章までしか読んでないのに。(泣)
そう、また夢オチの話です。私が見た夢の話です。
なので「近畿地方のある場所について」本編にはなんの関りもありません。考察系記事期待された方、すみません。
作者背筋氏ともなんの関係もないものです。
そこはお願いします。
では以下本編。
画面は私の一人称視点。ただしアニメである。
アニメ作品を見ているような、けれど確かに自分の意識で動いている感覚がある。
どこかの山中の雑木林を私は歩いている。
とはいえハイキングコースのように整備されているし、まばらではあるが他の人も時折見かける。
そもそも薄曇りとはいえ日中で明るかった。
そんな環境だが、私たちは一応肝試しでここを訪れたらしい。
他の組だろうか、怖いものを見つけようとわざと竹やぶに入っていく男の子などもいる。
何かのイベントのレクリエーションなのだろう。私は暢気な気持ちで山道を進んでいく。
しかしどうにも怖がっている人がいる。
進んでいくと遠くで何やら女の悲鳴が聞こえたような、気がする。
首を傾げつつも進んでいくと下り坂に差し掛かった。
山らしく木で崩れ止めした階段になっている。山歩きしたことのある人ならわかると思うが、形はぼこぼこしていて上り下りしずらく結構な急斜面で、先まではっきり見通せないような作りだ。
一歩ずつ下っていくと、先は柵で囲った行き止まりになっていた。ハイキングコースの終点なのだろう。
と、どうもおかしい。
その行き止まりに、多分、女がうずくまっている。ぼさぼさの髪の長い女だ。うつむいて顔ははっきり分からない。
うずくまるというか、湿り気のある土の道にも関わらずべたりと座り込んでいるようだ。
服装も白いキャミワンピなのだろうか、いくらハイキングでも着ない恰好に見える、それどころか裸足に見える、うっすら開いた赤い口が見えるような気がする、でもそれよりなによりおかしいのが
その女だけ、世界観が違うのだ。
先にも書いたがこの世界はアニメタッチだ。割とリアルよりな絵柄だと思うがそれでもアニメの世界の中
その女は、実写なのだ。
下手な実写化作品特有の合成感とも違う。
ちょうど素人の雑コラのようだ。女とそのわずかな周囲だけ、存在が浮いている。実写の癖に妙にノイズがかかって輪郭がはっきりしない。
まるでアニメ雑誌に古い白黒写真を千切って貼り付けたような…。
(なんだあれ…)当然その異様さに私はビクッと足が止まる、と、その方向から登ってきた世界観通りのハイキング客の女性がすれ違いざまに私にささやいた。
「あれを見てはだめ」
と。
だめと言われても。と私は思う。もう既に見てしまっている。結構な観察もしてしまっている気がする。
しかし今のところそれ以上の異変はない。
はっきり見つめたり、あれと目を合わせなければいいのかもしれない…。
しかし見てはいけないと思うほどに目はそちらを向こうとする。
進行方向にいる以上、顔を背けるわけにもいかない。しかも足元に注意を払わねばならない山の下り坂だ。
見てはいけないと意識するという事は、見ているという事に他ならないのでは…。
だがきっと、ここで踵を返すのもいけない。きっと何事もなかったかのように振舞わねばならないと本能が告げている。
何もない、何も見ていない…なんとか私は行き止まりまでたどり着く。
足元にあの女がいるはずだ、視界の端に灰色の姿が映っている。
特に何があるわけでもない行き止まりだ、私は早々に来た道を登り返し始める、視線は自然と上を向く。
その先にも。
あの女がいる。
登りの階段の段差の上、先ほど見たのと寸分たがわぬ形で、ぼさぼさの黒い髪、白いワンピース、薄く笑ったような赤い口に灰色の空気をまとった何かがまたべたりと座っている。
さっきのはと振り返る事もできない。
見てしまっただろうか。見ていない、見てはいけない、見ないようにしている、見たと気付かれてはいけない!
不自然すぎないように、それでも速足で私はその横を通り過ぎる。
これはセーフなのだろうか、女は一ミリも動かない、セーフなのか、それとも…頭の中がぐるぐるし、はたと気付く。
これは夢だ、目覚めなければ!
今すぐ目を開けろ、眠いけれどそんな場合ではない、起きなくては!
……。
ここで無事目を覚ますことに成功したので、夢はここでおしまい。
私の夢って結構ダイレクトに現実を反映する内容が多いので、こんな内容になったんでしょうけれど、なかなかどうして精度が高くない?と思ったのでせっかくだしと公開しました。
ところで、この記事書きながら息抜きに「近畿地方のある場所について」を読み進めていて、今「インタビューのテープ起こし 1」まで来たんですが
あの
それまで嫁取り神のようなものの話だったのに
数話前からにわかに
「女」が
登場しだしていますね…?
私この夢見たのは本当に、女なんか出てこない時で、ああ言うて全然違う内容のが出たなぁと笑ってる余裕があったんですが…。
ま、まあ、それこそ「髪の長い笑った女」なんてホラーのテンプレ中のテンプレなんでアレですけれど…。
ジャンプ女が出てきた時点で心臓が縮みましたよ。
まだ読み終わっていないのでわかりませんが、もしこの話が何かしら「本物」で、残穢とか着信アリみたいな感染系の怪異だとしたら…………………。
最後に、この記事は誓ってノンフィクション、創作ではないことを明記しておきます。
ほんとだよ。