バニラビーンズ
バニラビーンズみたいな姿になった干からびたミミズの亡骸
とポイ捨てされたタバコの吸い殻が同じ塵取りの中に掃き込んで
ゴミ箱の中に捨ててしまう。ミミズの亡骸は土に還そうと思う。
この庭には動物の亡骸が埋まってる。我が庭を最期の場所に選んだ
昭和の野良猫、道路で轢かれていた野良猫の死体を泣きながら運んで
埋めたこともあった。庭に埋葬してはいけないと知って以降は区の業者
さんを呼んで、段ボール箱に入れてお花も添えて引き取ってもらった。
白斑肌の業者さんだった。とても丁寧な対応をしてくれた。
私の顔は炎症で真っ赤だった。
飼っていた猫の時は霊柩車で見送って、霊園で葬儀をして火葬
翌日、白手袋をした霊園の人が遺骨を骨壷に入れて届けにきた。
生まれた山梨県白州町の尾白川に散骨しようと思ったまま、未だ
(母方の)祖母の遺骨と並んで仏壇の横に置いてある。
台湾生まれの祖母のお墓はまだない。家中霊園の桜の木の下にあった
祖父の墓は代替えして建てかえられ、新しい墓石に祖父の名前は
刻まれていない。私が生まれる前に亡くなった祖父。
もう50数年の時が流れた。墓じまいよりも家じまい。
そうだ、我家に家じまいの時が来た。とうとうその時が来た。
それは昨年末のこと、奇しくも母の作品搬入の日程が決まった時だった。
14時ピッタリに玄関チャイムを鳴らしてやってきた。
暮れのクリスマス前のこと、この家の立ち退き宣告が言い渡された。