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牛を売るのか、肉を売るのか

デパートの催事販売に初めて出たときは何が何だか分からないまま、ぶっつけ本番で挑みました。
販売経験があるわけでも無く、こんな風に肉を売ってたら面白いかな?
と思うがままやってみました。
牛一頭分、あらゆる部位のブロックをショーケースに並べて。

すべての部位名を覚えて、食べて味や食感とともに叩き込み、宣伝文句をそのまま話すことで精一杯。
でも生産者としてはせっかくなので販売しているお肉がどんな牛だったかも伝えたいと欲がでます。

そう思い出すとポップやディスプレイを工夫するよりリアリティに走ってしまいます。
肉になる前の牛の写真を大きく貼ってみたり、
ゴロゴロと大きなブロック肉を並べるように陳列してみたり。

今考えると誰がそれを買ってくれるのよ…と思います。
牛の部位は家庭ではほぼほぼブロックで焼くには難しいです。
値段も高いので、高級肉はプロに焼いてもらいたいと大抵のお客様が思います。

そこについつい牛の話を付けてしまいます。
お肉になった牛がどんな風に育った牛なのか、そんな話はお肉をこれから買って食べようとしているお客様には少々リアル過ぎます。
そこまではお求めではいないという。

いぶさなでは直売所とネット販売に加えて、6、7年程前から年2回のデパートでの催事販売を行なっています。
精肉の直売はデパート販売のみで行っています。
ここ2年程はお弁当まで作って販売するようになりました。
デパートの催事担当者さんが食べてもらった方が絶対伝わるから!と、
背中をぐいぐい押してくださりやってみる事に。

何回か催事に呼んでいただくうちに、この場では何を売っているのか身をもって体験して学ばせてもらっています。

ですがついつい出てくる自身(生産者)の押し付け。
もちろん楽しんで聞いてくださる方も中にはいらっしゃいますので、そんな方にはいくらでもお話しいたします。

ですがここはデパートの催事場。
お客様目線がどんなものかを先ずは考えて準備する必要がありました。
このお客様目線。
未だに見失うことがあります。
私一人だと売り場は相変わらずあまりうまく作れませんが、前回から大の肉好きのプロの販売員の方にサポートについてもらったお陰で一気によくなってきました。

肉好きの目線で肉好きの方の目に留まるようなディスプレイ。
高いインテリアなど置く必要はありません。

少し工夫するだけで勝手に肉好きの方の目線に留まり、勝手に好みのお肉やお弁当を選んでいかれます。
最後に少しだけお話をする。様子を見ながらもう少し深くお話したり。

前回の催事期間中、何度も来て下さったお客様もいてそうすると段々肉から牛に、そして私自身(生産者)に興味を持っていただける流れがありました。

焦らずゆっくりとした営業スタイルにはなりますが、こうやってまた次回催事で再訪のお客様とお会い出来たらいいなと思いながら今日も牛のお世話に励みます。


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