ひとつの町に、海も山も温泉も。観光のお仕事をするお二人に浅虫温泉の魅力を聞きました。
海、山、温泉。そして、四季によって様々な顔がある町、青森の浅虫温泉。自然に囲まれ、1つの町に色んな観光スポットがある場所です。以前は「東北の熱海」と言われ栄えていましたが、長引く不況や少子高齢化により、町の活気が徐々に失われていきました。ですが、ここ最近では、浅虫温泉を盛り上げようと奮闘する方が増え、活気を取り戻そうと頑張っています。
今回、浅虫温泉の活気を取り戻そうと頑張るお二人にお話を聞く事が出来ました。
一人目は、今年5月に就任した青森市地域おこし協力隊プロフェッショナル人材誘致担当である角間拓矢さん。長野県松本市出身。移住の誘致や移住してきた方のサポートを主にされています。また、TENJIKU(※1)のサービスも担当しています。
二人目は、一般社団法人 浅虫温泉観光協会の事務局長である小形峰雄さん。青森県平内町出身。小形さんは青森をメインに旅行商品を扱う「4-Ride」を運営する株式会社ブルーモリスにも在籍されています。
このお二人に浅虫温泉の魅力についてお話を伺いました。
※1「TENJIKU」は、地域の課題を解決する”ミッション”をとおして、地域の人たちとより深く関わりながら”仲間”になれる新しい旅体験を届けることを目的にしています。地域のために”ミッション”へチャレンジして頂いたお返しに滞在中の宿泊費は無料になるサービスです。今回私も利用しました。(公式HP)
浅虫温泉とは?
青森県青森市の東側。陸奥湾(むつわん)に突出する夏泊(なつどまり)半島の基部に位置し、浅虫夏泊県立自然公園の一角を成しています。1200年以上の歴史があり、昔から温泉地として全国に知られています。
「東北の熱海」「青森の奥座敷」などと呼ばれています。青森駅から車や電車で約30分程で着く市街から比較的近い場所です。
浅虫温泉の由来は、平安時代にさかのぼります。慈覚大師(円仁)により発見され、布を織る麻を蒸すためだけに当時は使われていました。その後、1190年にこの地を訪れた円光大師(法然)が傷ついた鹿が湯浴みするのを見て村人に入浴をすすめ、以後温泉を利用するようになりました。
温泉名も麻を蒸すこと「麻蒸」が転じて「浅虫」になったといわれています。
青森に移住して、協力隊として頑張る角間さん
はじめに、角間拓矢さんにお聞きしました。浅虫温泉の魅力と協力隊になった経緯を語っていただきました。
ーー角間さんが思う浅虫温泉の魅力を教えてください。
3つありまして、まず一般的に温泉地って、市街地から遠いじゃないですか。たいがいの温泉地って頑張って行かないと辿り着かないようなところだと思うんです。浅虫温泉は青森市街地から車で約30分。しかもそんなに山道でもないですし、海に面しているのですごいアクセスがいいなっていうのがまず一つです。
あと、ノスタルジックな環境でもあるっていうところが、僕は好きです。キラキラした都会的な街並みよりも、こういう落ち着いたところが好きです。
最後に、湯ノ島という無人島が好きで。船で行く必要があって、この浅虫温泉側から海を見ると、湯ノ島がポンと可愛らしいシルエットでいて、それを見るのが僕は好きですね。海岸が西向きになっているので、夕方の日が落ちる風景もすごくいい雰囲気ですね。
ーー浅虫温泉で出会った方で印象的な方はいますか。
浅虫温泉駅から石木邸(移住体験施設)の道中にKeika Brewingというクラフトビールの醸造所があり、そこの後藤さんという方が僕が浅虫温泉を知っていく初めに知り合った方です。あの方が印象的な方でしたね。今年6月にオープンしたばかりのお店で、市内のクラフトビール屋さんで一番新しいところです。
後藤さんやスタッフさんの中にも浅虫温泉生まれ浅虫温泉育ちの方がいらっしゃいます。浅虫の賑わいが少し寂しいなかで、浅虫温泉をどうにか盛り上げたいと思い、クラフトビールを選び作られています。志があり、味もとても美味しい。本当にいろんなビールを試されて、研究熱心でもある方で、今後も要チェックのお店だと思います。
Keika Brewingさんの詳細(食べログHP)
ーー人のパワーを感じますね。ちなみに、角間さんが地域おこし協力隊になった経緯はなんですか。
僕、長野県出身なんですが、妻との結婚と出産が重なりまして、どちらかの地元へ移住しようという話になったんです。それで、妻の地元である青森市に移住する決断をしました。前職が柔道整復師(接骨院の施術スタッフ)だったので、同じように整骨院に転職を考えました。でも、僕が青森市を知らずに整骨院を開業しても地域に根ざして貢献できないなと思ったんです。
なので、まずは青森を知ることから始めないといけないと思っていた矢先に、知人から地域おこし協力隊の募集を教えていただきました。青森のことを知りながらそれを発信していく、また協力隊のミッションが移住を誘致する活動なので、今の僕にピッタリだと思い志望しました。
知人からは「よく決断できるね」って言われるんですけど、住めば都だと常に思っていたので、行けばなんとかなると楽観的に捉えてました(笑)。長野県出身なので、寒さや雪の耐性はある程度はあるんじゃないかと自負もありました。
ーー最後にPRをお願いします。
もちろん、浅虫温泉に来ていただきたいですが、浅虫温泉は青森市のなかの一つのピースであって、他にもたくさん魅力があることを知っていただければと。その中で浅虫温泉は、 温泉があり、湯ノ島のかわいいシルエットや美味しいビールを楽しめ、ゆったりできる場所だと思います。あと、体験でいうとTENJIKUを使っていただけると地域の方々とのコミュニティに参加でき、お手伝いができるので、そういうのが好きな方は是非来ていただきたいなと思います。夏は小形さんが所属されている4-Rideさんが、アクティビティのサービスを提供していますし、冬は足湯で温まりながら温泉卵を食べたりと。四季問わず楽しめますね。
観光の仕事にビビっときて、青森の旅を手掛ける小形さん
続いては、小形峰雄さんにお聞きしました。角間さんと同様に青森市には色んな観光スポットがあり、「その中のピースとして浅虫温泉に訪れて欲しい」と言います。浅虫温泉の魅力と小形さんが観光に目覚めたキッカケを語って頂きました。
ーー小形さんが思う浅虫温泉のおすすめを教えてください。
海も良ければ山も良い、食べ物も良ければ温泉も良い。おすすめがありすぎて全てを言わないといけないですね(笑)。「浅虫が恵まれすぎてて文句ないでしょ?海があるでしょ、温泉があるでしょ、裏山のトレッキングコースできるでしょ、全国でこんなところ無いっすよ」って、このあいだのセミナー講師の先生に言われたんです。のんびりしたいなっと思ったら、良いところじゃないかなと思います。
ーー恵まれた場所なんですね。浅虫温泉でおすすめの観光プランはありますか?
二泊三泊の連泊プランで一日目は海遊び、二日目は裏山で遊んで、最終日は温泉に浸かってていうような感じで浅虫を丸ごと体験してもらえればいいかなって。あと、お酒好きな方であれば、最近Keika Brewingさんができたので、おいしいクラフトビールも飲めますね。
ーー季節によって楽しめるものはありますか?
新型コロナ禍の影響で一時中断してましたが、春には湯ノ島で群生しているカタクリの花が見れるんですよ。裏山にもあるんですが、湯ノ島に自生しているカタクリが裏山よりひと回り大きいんですよね。来年に向けて湯ノ島への渡し舟を船会社に依頼しています。
夏は花火大会があり、迫力がありますね。他の花火大会に比べると規模は小さめで、花火の玉も小さめですが、打ち上げする場所から100mちょっとのところに観客席があるんですよ。200m以上離れている秋田の大曲で開催する花火大会と比べると、距離が近いんです。なので、迫力は負けてないと思います。
あと、食べ物が美味しくて6月のウニの時期も特に良いですね。海沿いでやってる正立食堂さんやもりや商店さんでは漁師さんが採ってきものをそのままさばいているので新鮮ですよ。ウニ丼が3000円位で食べれます。マグロのてんこ盛りで有名な鶴亀屋食堂さんではリーズナブルに堪能できる三天定食がおすすめですね。
ーー魅力的なところがいっぱいです。ちなみに、小形さんが観光の仕事をやるキッカケはありますか。
京都で観光ハイヤーのドライバーをやってた時ですかね。諸事情で就職活動をしていたところ東日本大震災が起き、県内の求人先がどこもなく。それで県外に出ることを決めた時に、そういえば修学旅行で京都は楽しかったよなと思って、京都の求人先を検索したら観光ドライバー募集があって。これは面白そうだなと応募して。そしたら、面接を受けて内定になりまして。
3年位働いたのかな、その当時は単身赴任で仕事して、前向きな性格なんで観光タクシーを頑張っちゃってね(笑)。歩合制なので、観光ツアーを組んだものだと手取りが良く、これからは観光だとビビっと来たわけですよ。この時が観光に目を向けたキッカケかな。
取材を終えて
今回お二方とも楽しくインタビューさせて頂きました。前向きに取り組む姿がお話をしていて、とても印象的でした。今後も浅虫温泉がより活気がでることを期待したいです。海も山も温泉もある町、浅虫温泉。是非、浅虫温泉を訪れてみてはいかがでしょうか。
取材・執筆・撮影:いぶりくりーむ 写真提供:角間さん・小形さん
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