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”コロナ根絶”に近い各国の次の一手は?鎖国を続ける限界とは

英国経済誌The Economistによると、

韓国、台湾に続き、オーストラリアとニュージーランドはコロナウィルスの拡大の抑制に、比較的成功しています。ニュージーランドは、この一週間の毎日の新規感染者数は一桁台におさまっています。

オーストラリアは人気のビーチを解放したり、韓国は国内旅行を解禁。台湾に至っては、レストランやバーさえ一度も閉店させることなく、ここまできています。


しかしこれら4国は、まだまだ警戒の手は緩めそうにありません。コロナウィルス感染爆発の”第二波”は今冬に来るという専門家の警告もあります。韓国は、クレジットカードの使用履歴や、スマートフォンのGPSによる追跡を使い続けています。オーストラリアも今後も検査を積極的に実施していく予定です。


その中でも、ニュージーランドの対策はより厳格なものです。

ニュージーランドの目標は、新型コロナウィルスをその島国から”完全に排除する”ということです。

ニュージーランド政府は、欧米先進国がとるであろう「ロックダウンの解除。ひどくなったらまた開始」などをダラダラと繰り返すことで、再び感染者数が爆増するのを恐れてます。

「今、我々の国にとって最もやってはならないことは、ロックダウンと平時を行ったり来たりする、ということです」ニュージーランド首相はこう主張します。


しかし、コロナ感染者の”最後の一人”を見つけるということは、本当に可能なのでしょうか?

「それは草原のなかから一本の針を見つけることのように難しい」とオタゴ大学教授はいいます。

現在行っている、感染リスクが高い職業者へのランダムテストを実施し続けなければならないし、「人と人との接触追跡」もさらに厳密に行っていく必要があります。

また国からのコロナウィルス”根絶”のためには、厳重な国境コントロールも不可欠です。つまり”鎖国”を続けなければなりません。

現在ニュージーランドでは、海外から帰国する市民に限り2週間の隔離を行えば入国できますが、外国人は一切入国できません。4月22日、この国に入国した人は人っ子ひとりいなかったほどです。

また空港だけでなく、港も厳重にコントロールされなければなりません

船から貨物などを受けるための職員は、マスクを着用し、みんな自分専用のトイレを使い、仕事中は色別のベストを着た3人の限られた担当者としか接触できないなど、かなり厳しい環境で働いています。

ニュージーランド政府の経済相は「少なくとも海外の遮断を1年は続けなければならない」としていますが、本当にその価値があるのか、疑問を呈する専門家もなかにはいるようです。


つまり、「このような異常な状態を長期で続けることはあまりにも弊害が大きすぎる」という意見です。


もし、この厳重なロックダウン、つまり鎖国を長期で続け、”コロナ根絶”を達成したとしても、多くの外国からの入国を遮断し続けなければならないため、観光業は壊滅的なダメージを被ります。

人口500万人のニュージーランドでは、GDPのうち観光業は5%をしめ、約10万人が職を失うと想定されます。


また、”鎖国”を続けることで、農業も甚大な影響を被ると予想されます。なぜなら、毎年オーストラリアやニュージーランドには、何万人もの季節労働者が海外から着て、フルーツや野菜のピッキングを手伝っています。

私自身、学生時代にオーストラリアのタスマニア島に行き、半年間近くリンゴやチェリーを摘んだのは良い思い出です。


ニュージーランド、オーストラリアはそのような「海外からの労働力」によって、国内農業の人手不足をこれまで補ってきたのです。この人手不足により、国の強みである農業に悪影響があることは必至です。


一方、”根絶”にリーチがかかる他の国は、柔軟なアプローチをとっています。韓国や台湾は、ビジネス目的に限って海外からの入国を許可しています(2週間の隔離はマストになりますが)


それでも、ニュージーランドの国民は”鎖国”に強い支持を表明しています。4月初旬に行われた国勢調査では、84%もの国民が”鎖国”に賛成しています。G7先進国の平均より30%上回っています。


”根絶”を目指し鎖国を続けるのが良いのか、”共生”を目指し多くの病人・死者を出していかなければならないのか、我々一人一人が考えなくてはなりません。


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今回の記事では、コロナを”根絶”できたからといって、それがイコール”天国”ではないということがわかりました。

海外とのヒトの行き来を制限する限り、これまでグローバル経済が受けてきた恩恵は、かなりの部分で受けられなくなってしまうということです。

こう考えると、私はコロナを完全に根絶するというのは諦めて、コロナとの共生を目指すことが大切になると思います。かつて地球上で猛威をふるったインフルエンザと我々が共生しているように。



2020/4/23 英国経済誌The Economist 「What next for countries that are nearly covid-free?」より内容をかいつまんでご紹介いたしました。



では、いつも通りマネークリップをポケットにしのばせて、散歩でも行ってきます。

引き続きよろしくお願いいたします。


本日のマネークリップ


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