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お散歩日記。冬と春のにおい。友人とチュロス。
会うのは3年前に木登りして遊んだ時以来だと思う。友人が遊びに来てくれた。
用事があってそちらに行くから1時間くらい寄るねと言ってた。一緒に食べよう、とパンを買ってきてくれた。
私は、家に荷物を置いて、良いお天気だから川原で食べよう、と誘った。
いいね!と喜んでくれたので良かった。
一緒に川を見て、空を見て、鳥たちを見た。
枯れた草や石や、白く広がる粘土質の土を踏みしめ歩いた。
枯れた草は刈られているので歩くと足の裏でポキポキと鳴る。葦の空洞の部分が鳴るのかな。
ふわりと湿った柔らかい塊が昇ってくる。今の空気は冬と春のにおいが交互にする。
北風、梅、緩み始めた土、北風、花びらばかりのサザンカ、北風。
鳥の声を聴き、風の音を聴き、遠くを通りすぎる電車の音を聴いた。
はだかんぼうの木に4、5枚程の枯れ葉がかたまってくっついていた。風に吹かれるたびに、ただ唯一のその場所からカサカサと擦れあう音がする。
今朝一人で感じていた空気を一緒に感じた。
友人は心を空っぽにして体中をセンサーにしてその空気の中にいるみたいだった。
私は嬉しくて愛おしい気持ちだった。
同じ景色の中で何を見ているのだろう。
友人は、天国みたいだね、と言っていた。
平和だね。と言っていた。
私は、うん、そうだね。と言った。
二人とも天国にいた。
友人は「ナウシカのあの腐海の下の場所みたい、この土まさにそう!」と粘土質な白い土を触った。私も一緒に触った。私もよくこの土の欠片をこうして触るのが好き。
パキンと割る。
「鳥たちが山梨と全然違う。みんな平和。」らしい。どうもみんな穏やかなよう。
「そうなんだ。確かにあの鳥は今、何も考えてないね。」と言って、絶対考えてないね、と二人で笑った。
鳥を思うと鳥になる。じっと無心な鳥の気持ちになった。ただ風に吹かれてそれを感じたり。二人で重なる気持ちのまるを楽しんだり。ナウシカになったり石や鳥になったり遠くに飛ばしたり転がったり。
自由に大きく広がって遊んだ。
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私はさっきの食事の時間を
「見誤った。お腹空いてないや。」と言ったら「みあやまったって何?さっきから難しい言葉使わないで!」と言われた。
「え、難しい言葉使ってた?何?」と聞いたら
「ふかん。」「あ、俯瞰かぁ。」となった。
(さっき友人の足にいっぱいついた種を取ってあげた時、ズボンの生地と同じ色の種を見付けるのにだんだんコツを掴んできて、俯瞰して見ると種が見える、と私は言った。確かに言った。コツが分かったと得意気に言った。ずっと人とお話ししてないし私の話し方なにか変なのかな?)
「お腹空いてないなら見てればいいじゃん。食べたくなるよ。」「うん。なる。」
とか言っていたらちゃんとその通りになった。
チュロスはびっくりするほどサクサクで美味しかった。チュロスの断面を見るとサクサクに適した形過ぎて感動する。噛むたびに同じ断面が出てきて心地よい食感に感動する。
私はシナモン味を一気に。友人はチョコレート味を少しずつゆっくりと食べていた。
ふわふわパンのたっぷり卵サンドは後でいただくことにした。
私はいつも心のなかで思っていたことを聞いてもらった。
「見て見て。真上の空の青は濃い色で空の端っこは淡い色なの。」とか
「ここにね、斜めのミノムシがいるんだ。」とか
「日が沈むと太陽とは反対側の地平線の少し上がだんだんピンク色になっていくの。不思議で綺麗だから見せたいな。」とか。
友人は
「本当だ!山梨は山に囲まれてるから空の端っこは見えないんだ。見えてるのは真上の濃い色のところだ。」
「ミノムシ超かわいい。」
「なんでだろう。赤が映るのかな。綺麗。見れて良かった。」
と言ってくれた。
一緒に見てくれて嬉しかった。
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太陽の反対側の空。
冬の夕空は淡く優しい。
帰り道に友人は
「体が超軽くなった。心が変わった。幸せ。心が変わったら見える景色が全然違う!!全部が平和に見える。あの茶色い玄関の扉なんて板チョコに見える。すごくない?」
と言ってた。
板チョコの扉(*´ ˘ `*)
私も一緒に過ごせてとっても幸せになった。ほくほくふわふわにこにこ。ありがとう。大好き。
明日から、歩きながら幸せのチョコレートの扉を探す楽しみがひとつ増えたなあと思った。
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