貝塚伊吹のベストソング 2019 (神々が作った季節)
「たった今この時間にこれを読み始めたすべての人々へ。最近どうだった?日々のニュースは、キツかった?普通だった?何も感じなかった?何か知っている?それとも、何も知らない?
ステキな恋人が 出来た。大いに結構。代々木公園で花見が出来なくてつまらなかった。大いに結構。新しい触感のタピオカがおいしかった。素晴らしい、結構。特に何の変哲もなく、家でも忙しくてバテた?大いに結構。個 人的にトラブルがあって、ちょっとキツかった?結構。病気をしてしまった。お大事に。でもそれも結構。ラジオやテレビをつけっぱなしにするぐらいしか出来ない程 の、大変な喪失や事故やパンデミックがあって、今動く事も出来ない?真剣に言うけれども、最終的にはそれも結構。特に何もなく、そして、物心ついてからずっと理由も無く 苦しい?大いに結構。今年も死にたいと毎日願いながら死なないまま今日を迎えた?大いに結構。どうしても殺したい奴がいるが、殺す事が出来ない?一番結構 かも知れない。なんか何でも結構結構って、鶏みてえでウソくせえな?と思った?それも、大いに結構。
つまり、こういうことだ。今、シンプルに質問するので、各々の場所で答えてほしい。人生が地獄、もしくはそれ以下、あるいは天国、もしくはそれ以上、あるいは ごくごく普通、それ以上でも以下でもないぬるま湯だとする。だとして、だ。生きる事は、そんなに、巷間言われる程辛い事なのだろうか?あなたが今抱えてい る問題は、両手で揺らす事すら難しい、特殊な合金の巨大な塊の様なものだろうか?答えは間違いない。ノーだ。今からその証拠を見せる。しかも無料で。
薄笑いを浮かべ ている人や、キレかかっている人、憂慮している人さえいる事は100も承知でもう一度言う。人生には救いがあり、しかもそれは無料で手に入 る。だがしかしそれは試供品だ。あなたがそれを自分の体内で無限のアンセムにアップグレードするのはあなたの自由、そしてコツはひとつしかない。
音楽は通常、過去に制作されて現在聴く。なので、誰もが時間の流れを一方向に考えている。しかし、あらゆる音楽の響きの中には、未来から循環的に逆行して 届くメッセージが含まれている。端的に、初めて聴いた曲であれば、それが1000年前の曲であろうと、その音楽が未来から少しずつ流れて来るし、何100 回聴いた曲でも、未来からの時間の流れは必ず含有されている。その時間感覚に気がつく事は、知的な事ではない。計算式は要らない。ある日突然、自転車に乗 れるようになるのに似ていて、ふと気がつくと、ソウルバーの中で掴んでしまう可能性がある。ノスタルジー1辺倒も大いに結構だが、あれはもともと鬱病の変種だし、冷笑家やニヒリストになってしまう危険と紙一重だ。
常にフレッシュでいる事。それが福音の第一番だ。フレッシュでいる限り、人間は自滅しない。もう一度聞く、あらゆるすべての皆さん。今年の夏はどうだった?何らかのフレッシュを、何らかのスピーカーから聴いたかね?
つまり答えはこうだ。あなたが、春に、「ああ、懐かしいな。」と思ってうっとりした瞬間、あなたは過去から流れている時間だけを生きているのではない。初めて聞く曲と、何千回も聴いた曲には、未来からの、同じ時間が流れている。春という季節は、神々が我々にその事を教える為に作った季節なの だ。スピーカーの音量は最大に。今からあなたの感情も体も激しく動くが、驚くべき事は何も無い。」
という文章は2019年僕が大変な喪失があった時に聴いて救われた菊地成孔の言葉だ。↓
2019年も楽しいことも苦しいこともたくさんあって、本当にいろんな音楽に助けられたはずなんだけど、そんな記憶は吹っ飛ぶくらい2020年春がこんなに最悪なことになっているとは思ってもいなかった。
僕はバーで働いているのだが、3月末から徐々に帰る時間が早くなり始めて、その時は「仕事が早く終わってラッキー」くらいにしか思っていなかったけど、4月に入ってとうとう「週3日しか来なくていい」から「週1日でいい」から「ごめん。5月まで店閉めます」と日に日に状況は悪くなった。とにかく今は「緊急事態宣言」とやらが解除されるまでは自宅待機だ。 と言っても僕は楽天カードを駆使しながらだいぶ赤字、もしくはギリギリ赤字の自転車操業で生活してきたのでバイトを探すかネトフリを見るかラジオを聴きながら散歩する毎日である。
時間はあるので2019のベストソングを書くことにする。2018年のベストはこちら↓
10位 Billie Eilish「Bad Guy」
わざわざぼくが勧めるまでもないが、初めて聞いたときの衝撃たるや。ウィスパーで歌ってるのに力強くて、キュートなのに暴力的。新しいポップアイコンが生まれた瞬間に立ち会えた。曲もすごすぎる。サビまではベースと最低限のドラムしか鳴ってない。ってかサビの音でさえあの『タランタタラタラ〜』ってシンセのみ。なんなんだよこれ、あと最後のテンポまったりのトラップもなにあれ。マジですごい。
9位 カネコアヤノ『かみつきたい』
弾き語りのライブを生で見て完全に心を持ってかれた。ラブソングだろうとどんな曲でも怒りながら歌っててすげぇカッコよかった。んで歌い方が独特すぎる。ウィスパーからの巻き舌からのファルセットになったりをいったりきたり、テンポめちゃんこ変わったり、、狂っている。
8位 Leon Fanourakis ft.SANTAWORLDVIEW『BONCE』
高校生ラップ選手権とラップスタァ誕生ダブル優勝したLeonによる曲。この声このフロウ誰も勝てないと思うけど、私がこの曲で好きなのはフィーチャリングしてるSantaのバース。Leonの低い声でビートを広くとったリズム感に対してSantaは甲高い声で16分を刻むラップ。しかも詩はほぼコンプラです。キマッてる〜。
7位 Yaeji『Rain Girl』
フジロックで夜中のレッドマーキーで見た。正直全然期待してなかったけど、夜中のフジロックってレッドマーキーと岩盤くらいしか行くところなくて酒をしこたま入れて見に行ったところ、この曲を生で聴いて感動した。隣には次の出番でDJする菊地成孔がいるし、踊ってる外国人めっちゃ大麻の匂いするし、『わぁ〜!フジロックきたぁ〜!』って感じがした。
6位 Jinmenusagi『So goo』
Lo-fi感溢れる優しいトラップに乗せられる詩は全てのメンヘラ男子のための鎮魂歌。
「そわそわする23時
部屋干しのブラとパンティ
眠れないよ 朝の三時
迷い込んだ先 ジュマンジ」
都会のワンルームで日々過ごす若者には身に覚えがありすぎる。
悲しいことにある日ぶちあたったら安い酒で悪酔いするよりこの曲聴いたほうがてっとり早く癒される。
sweetwilliamは日本のtom misch。
5位 柴田聡子『後悔』
#NewTown という多摩センターでやってるフェスで見てアゴにアッパーくらいました。誰もが共感する歌詞を脅威を感じるメロディに乗せて歌うので、聴いてるこちらは泣くしかない。
クライマックスの歌詞
『ああ、抱きしめていれば
抱きしめ合ってれば
自然と本気に
抱きしめてくれたら
抱きしめていれば
抱きしめ合ってれば
自然と本気に
抱きしめてくれたら』
うぅ〜んも〜なんだこの転調は!犯罪級よ!あの日あの時思っていた俺の!あなたの!気持ちを言語化してくれたような歌詞。こんなん泣くしかないよ。
4位 Thom Yorke『Traffic』
2019年の音楽体験、、ってか人生経験として重要なことがあって、初めてのフジロック参戦だったわけですよ。宿も取らずに朝イチ到着して次の日の朝追い出される時間まで踊っちゃお〜っていう超無謀なプラン。ま、自然を舐めすぎてて朝イチのレッチリ(red hot chilli pipersのほう)を炎天下で見た時点でもうクラクラしてしまって、熱射病なのか脱水症だったのかわからんすけど人通りの少ない森でぶっ倒れましたね。しばらくぶっ倒れてから七尾旅人の声がホワイトステージから聴こえて復活して、さっきまで頭痛かったのに七尾旅人で回復してびっくりした。その後一日中好きなアーティスト見まくって
もう、疲れまくった状態で夜トムヨーク見たんだけど本当によかった。もうサブスクでなんでも音楽聞けすぎちゃってて、『好きなアーティストのアルバムを買う→聞きまくる→アルバムツアーを見に行く』ってサイクルなくなってたんだけど、トムヨークのライブを見るにあたってちゃんとアルバム聴きまくって超好きになってからライブ見てアガルって体験を久しぶりに味わえて超気持ちよかった。あとイッチャってる人のステージ見るのほんといいですよね〜。
3位 half•alive 『still feel.』
MVverも素晴らしいんすけど、僕の好きなのはこのTVver。あえてダサダサ例えするんすけど、曲はサチモス、星野源のようなシティポップでMVはサカナクション『アルクアラウンド』以降の1カットMVなんすけど、もう〜この圧倒的多幸感にはだれも勝てん。優勝よ〜!(酔ってきた)ボーカルの人キムタクに似てるね
2位 friday night plans『Plastic Love』
昨今のヴェイパーウェーブ、lo-fiブームの一要因である竹内まりあ『Plastic Love』のカバー。私、Plastic Loveにたどりつくまで超遠回りしてたんすよ。
まず、YouTube掘ってたら台湾のラッパーの『b.o.』って曲見つけて
ま、今聴くとこれ思いっきりPlastic Loveのパクリなんすけど、、
んでこの曲のft.されてる9m88って台湾のシンガーで検索したら
え!?なにこれめちゃいい曲やん!ってなったんすけど、
よくよく調べると
トーフビーツもカバーしてるし、そもそも竹内まりあってか
山下達郎の曲なんかい!ってやっと気づいたんすよ。
んでまぁその後も色々カバーとかremixとか聴いたんすけど、
friday night plansっていう日本の覆面シンガーのカバーが圧倒的に最高だった。
恵比寿リキッドルームとか代官山ユニットで夜中1時酒飲みながら聴きたいすね〜。早くそんか日がくればいいのに。。
1位 BLACK PUMAS『colors』
生まれて初めてイントロ4小節のギターで泣けた。
グラミー・ウィナーのギタリスト/プロデューサー、Adrian Quesada(Grupo Fantasma、Brownout、2018’s Look At My Soul)とオーディションで選ばれた27才の新人ヴォーカリスト、Eric Burtonによるユニット。。
彼が同い年なんて信じられない、、。ギターと歌声に深みがありすぎて同じ年月生きてきたとは思えない。
俺だけじゃなくて全世界が『とんでもないやつ見つけた!!』って思っただろう激薬サイケソウルユニットです。
ひとりで寂しい夜にも、ちょっと頑張らないといけない朝にもどちらにもよく聴くいいクスリです。
彼ら今年のフジロック来日するらしいので絶対生で見たいんだけど、それまでにコロナマジでなくなってくれ。頼むぞマジで。