プロダクトオーナーってなんだろう 〜研修を受けての感想〜
みなさん、初めまして。日本IBMの守谷です。
私は、社内ではアジャイル関連の研修講師やお客様からのアジャイル教育の相談支援などをおこなっています。
そんな私ですが、ScrumAllianceのA-CSPO(Advanced Certified Scrum Product Owner)の研修を受講し、無事資格を取得しました。この研修を受け、プロダクトオーナーってなんだろう?何をすれば良いのだろう?という部分について改めて考えることができましたので、その時の感想や考えたことなどを少し書きたいと思います。
プロダクトオーナーの仕事って何?
<私のイメージでは>
ビジョンを定義する
バックログを作成/管理する
バックログに優先順位を付ける
開発の進捗を把握する
プロダクトのROIを算出する
ステークホルダーとのコミュニケーションパスとなる
などです。
どれもプロダクトオーナーとしては必要な作業で全て実施する必要があるのですが、今回受講したA-CSPOでは、これら全てを講義に含めていたわけではありませんでした。
この中で講義の中心となっていたのは、
Visionを描き、それを現実に持っていく段階的な思考、それをステークホルダーに伝えるための方法(対象ステークホルダーの特定や伝え方)が中心となっていました。
今までの経験上、Visionは最初に作り、ある程度の人たちに共有した(つもりになって)らあまり見返すことがなくなり、バックログの作成やメンテナンス、進捗の把握やレビューの準備に追われてしまいがちでした。
ただ、バックログのリファインメントやレビュー時のステークホルダーとのやり取りも、根本となる部分はやはりVisionであり、Visionが全てのステークホルダー、開発者に正しく共有されることがとても重要であることに改めて気付かされました。そして、Visionの作成は、今まで私が思っていたよりも大きな視野で夢を語ることが重要であるということも学ぶことができました。
大きな視野でVisionを語るってどんなこと?
このプロダクトで世界を平和にする、このプロダクトで世界を笑顔にするといったより感覚的なものを最初にイメージし、夢の段階に落とし、最終的に実現可能なレベル(Consensus Reality)まで持っていくといった手法を使い考えていくといったことを学びました(3Levels of Realityと題されていました)。この方法は、自分が本当に何を求めているのかを理解することができ、相手にもその意図を伝えることができれば、感覚レベルで共有できると現実的な話をその感覚レベルに立ち戻って話をすることができ、プロダクトの方向性を決める上で有効な手段となると思い、この話を伺い目から鱗が落ちる思いでした。
3 levels of reality ( levels of reality )
・Consensus Reality
・Dreaming Level
・Sentient Essence Level
また、これらの内容を伝えるべき相手(ステークホルダー)の選定も非常に重要です。研修内のワークショップの中では、会話するステークホルダーを特定し、ヒアリングするというものがありました。時間の限りもありましたが、なかなかこちらの想定と相手の思惑が合わない(ずれてしまう)ことがわかりました。
現実でもよくある話ではあるのですが、この時に誰に話を聞くと良いのか、またそれをどう特定すれば良いのかという点について、講師に確認したところ、その回答が、この研修の中では非常に私には刺さりました。
ステークホルダーを特定するために何する?
それの回答は、全てのステークホルダーと対話しなさいというものでした。
どんな相手かを理解する上でも、少しでも関係する相手については、メールでのやり取りや今であればオンライン会議でも良いですし、Slackなどのチャットでのやり取りでも良いですが、兎に角一度は相手と対話するべきであるという回答でした。確かに、会話したこともない相手のことは分かりにくいですし、会話してみて理解できる部分もあると思いました。
自分自身振り返ると、ステークホルダーとなる全ての相手と対話できていたかといえば、関係が薄いと除外している場合もあり、今後はそういった人とも少しでも対話する機会を用意するようにしていく必要があるなと思いました。
そして思ったこととは?
研修を終えて思ったことは、プロダクトオーナーはPMと同様(あるいは類似した役割)に語られることも多い役割ではありますが、実際には企業の社長としてどうしていくべきかを考えるくらいのマインドで挑まなければいけないものなのだということです。
今後の活動ではこのマインドを持ちつつ、研修講師であれ、プロダクトオーナーを実際に行う場合であれ進んで行かなければとおもいました。
また、今回の研修のように、一度、理解したつもりでもこういった機会を設けて改めて自身の考えを見直すこと、進化する情報やフレームワークに追随していくことの難しさや大切さを感じることのできた研修でもあったなと思いました。