つながりの力で課題を乗り越えよう(Business Agility Conference 2023に参加しました)
こんにちは、IBM牛込です。
今回Agile Communityで機会を頂き、アメリカのNYで開催されたビジネスアジリティ・エンタープライズアジリティに関するカンファレンス(Business Agility Conference 2023)に2023/4/26, 4/27の2日間参加致しました。今回はその参加レポートとなります。
イベント概要
会場はタイムズスクエアから近い場所でした。前日のフライトと入国審査待ち(2時間強)がこたえましたが無事着くことができました。
コロナ明けで対面でのネットワーキングに対する期待から、ホールでは既に到着していた参加者達がネットワーキングで盛り上がっていました。
Day1のLaura Power, Evan Leybourn, Ahmed Sidkyによる、アジャイルな組織が持つべき5つの要素(The domains of agiliity)に関するセッションに始まり、2日目も、アジャイルソフトウェア宣言起草者の一人として著名なMartin Fowler氏が所属するThoughtworksのSangeeta Sastryらによる「Chaos on Management Mountain」と題した、アジャイルチームにおける「あるある」とアンチパターンに関する楽しいスキットで盛り上がりました。
ビジョンとネットワーク型組織で障害を乗り越える:Day2「Beyond Kotter: Is it time to change how we change?」
Day2の最後の2時間は、「Beyond Kotter(コッター理論の先へ)」と題した、1996年版のコッターの変革の8段階のプロセスの弱点であった「階層型組織」に対する策として2014年版で提示された「ネットワーク型組織」と、そのベースとなる「社会的資本(Scial Capital)」重要性の価値を理解するためのワークショップに参加しました。
<参考> wiki - 社会的資本(Social Capital)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ソーシャル・キャピタル
ワークショップの前段として、組織変革の鍵となる要素を、ジョンコッターの「8つのアクセラレータ」理論から「RIDER(象乗り)・ELEPHANT(象)・PATH(道)+α(後述)」という要素に言い換えてAhmedとRichardが説明してくれました。
RIDER(象乗り=舵取り役):全てのメンバーが「こうなったら良いよね」と思える明瞭な方向性を示す役割(=「ビジョン」)
ELEPHANT(象=推進役):メンバーに変革を起こしたいという気持ちを喚起する役割
PATH(道=環境):変革を起こす環境を構築・整備する役割
そして、この3つに加わるのが本WSのテーマであったSocial Capital、つまりネットワーク組織になります。
ワークショップ(Network-Building Exercise)
WSの内容としては、以下のようなものでした。
Day1であまり会話したことのない人同士で3-4名程のグループを組む
個人的/仕事面での困りごとについて、グループ全員に解決策を募る
メンバーが具体的な解決策を提供する
グループ解散後にも実際に連絡したり、参考資料を送りあったりできるような有効な連絡先(今回はLinkedinでした)を交換する
解散
今回WS内で出てきた困りごととしては、アジャイルコーチとしてコーチングを最近始めたものの、フレームワークに関する知識が足りないのではないかと不安に感じるといった悩みなどがありました。
実際に、20-30分程グループで解決策を出し合ってからLinkedinの連絡先を交換し、何か聞きたいと思った時に本当に頼れるネットワークを構築することができました。
「Be agile」のためのネットワーク
「Don't just do agile, be agile」と言われるように、アジャイルはただメソッドをチームに導入することではなく、組織が常に変化に適応できる高いアジリティを備えた「状態」になること、つまり究極的には組織変革を目指しています。
今回は、従来の少数の優秀な精鋭を募り変革を進めるという従来のコッター理論(1996年版)に対し、今まで通りの階層型組織に組み合わせてネットワーク組織を自主的に形成して成長させるという点が「Beyond(超える)」ためのポイントであるという趣旨でした。
WSを通じて、手法だけでなく組織からアジャイルに変革していくには、スキルのあるメンバーを集めることと同等以上にWSで取り上げた社会的資本(Social Capital)の力が必要だということを改めて理解しました。
レポまとめ
今回NY現地にて参加することにより、対面で会話や議論を行うことの価値を改めて強く実感する機会となりました。
また、アメリカ国外にイギリス・メキシコ・南アフリカなどの国からの参加者もおり、普段の業務やそれぞれの組織についてざっくばらんに会話することができました。日本の組織でよく上がる課題(組織のサイロ化、意思決定の遅さ等)は、やはりどの国でも普遍的なものだと気軽に話す中で気づくことができたことは、今回のカンファレンスでの収穫の一つだと感じています。
最後に、今回カンファレンス参加の機会を下さった皆様、ありがとうございました。
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