これまでの経験を経て知った「生産性の可視化」の重要性。組織で働くエンジニアに必要なこととは。
▼プロフィール
<株式会社IBJ>執行役員 Labo部統括
<株式会社サンマリエ>取締役 プロダクト部統括
―東京都八王子市出身
―小学生から社会人までサッカーに打ち込む(ポジションはFW、MF)
―2020年1月 株式会社サンマリエ入社
―2022年1月 株式会社IBJ執行役員、Labo部統括就任
(人事)小笠原さん、よろしくお願いいたします!
早速ですが小笠原さんの今までのご経歴を教えてください。
結構長くて迷いますが・・・
職種で言うと新卒1社目は工事現場みたいな人でした(笑)
ネットワークエンジニアとして採用されたはずでしたが、入ってみるとLANケーブルの配線やラック配置などの現場寄りの仕事をしていました。
面白かったですが、ずっと続くのは嫌だったため転職を決めました。
2社目はセールスエンジニアで、営業担当に同行し、クライアント先のヒアリングを行いながら受注をもらい、サーバー構築、ネットワーク構築など細かいPC設定を行っていました。
(人事)セールスとエンジニアの両方をやっていたのですか?
両方でしたね。2社目でPC知識やネットワークとサーバーの基本的な知識を学びました。
3社目はwebのプログラミングを行い、4社目でマーケティングを学びリスティング広告を運用しました。5社目でクリエイティブチームのマネージャーを経験し、その後にIBJグループ会社のサンマリエへ入社し、現在に至ります。
(人事)様々な経験をされていらっしゃいますね。もともとエンジニアを目指していたのですか?
もともとエンジニアを目指していました。
セールスエンジニア時代は既製品であったり、いろいろな企業が発売をしているバックアップのソフトやWindowsを使い、販売していましたが、製品自体の中身を知りたくなりました。
そして中身を知るにはプログラミングが必要であると気づき、そこからプログラマーに転身しました。
(人事)小笠原さんは様々な会社で経験を積まれていますが、転職の軸はありましたか?
その時々の「次はこういうことを経験したい」を軸に転職をしていることが多いですね。
スキル面ではエンジニアリングよりもプログラミングスキルを身に着けたいと思い転職をしました。
マーケティング会社への転職は特にマーケターになりたいというわけではなかったんです。でも、運よくマーケティングのマネジメントを経験できたのは良かったですね。
ただ、当時のマネジメントメンバーは5~10人と少なく、50人近いメンバーのマネジメントを経験してみたいと思ったんです。
そこで規模の大きい会社を探してKDDIの子会社に入社し、様々なスタッフのマネジメントを経験させてもらいました。
さらに自分のレベルを上げるために「組織」を作ってみたいと思うようになり、立ち上げに近いフェーズのサンマリエに入社し、現在に至ります。
(人事)好奇心旺盛に進んでこられたのですね!思ったことを突き詰めたい性格ですか?
好奇心旺盛なのか飽き性なのか・・・(笑)
ただ、求められることには応えたいなと日々思っています。
(人事)今まで経験されてきた会社とIBJはどう違いますか?
IBJやサンマリエも、働いているスタッフは会社のことが好きな方が多いと思いますね。エンジニアも「婚活・恋活業界をやってみたい!」で入社する人もいるくらいなので。あまり良くないですが、僕は事業キッカケで入社することが今までなくやりたいことベースだったので、IBJとサンマリエのエンジニアは事業に興味がある人が多いと感じます。
(人事)今まで、IBJのエンジニアの存在って社内でも壁があるというか別世界のイメージがあったのですが・・・小笠原さんが統括されるようになって身近に感じるようになりました。
それは当初から感じてましたね。エンジニアに対して求めることが10年前のイメージだと思ってて(笑)
でも、世の中はもっと普通なんですよね。
例えば「エンジニアはコードが書ける=すごい存在」ということはほぼなくて、どちらかというと
きちんとコミュニケーションが取れる人
+
スキルに対して貪欲な人
↓
優秀
というのが市場のイメージなんです。
(人事)確かに小笠原さんの経歴もそうですが、スタッフとエンジニアのコミュニケーションが取りやすくなったのは小笠原さんのおかげだと思っています。
担当しているサービス形態によって活躍する人材はもちろん変わってきますが、IBJは「ヒトに対してのサービス」なので、周囲の人に壁を作る存在はサービス上適切ではないと思うんです。
そういう点では、きちんとしたコミュニケーションを取りながら働ける人がIBJに合っていると思いますね。
(人事)ヒトに対するサービスを扱う会社にはコミュニケーション能力の高い人が必要なんですね。他にもエンジニアに必要なことはありますか?
エンジニアに求められることって世の中で言うと「より早く、より安全なものを作る」という開発の生産性や効率を上げていくことだと思います。
自動化の波は来ていますが、実は書くスピードには限界があるので、どちらかというと「何を作るか」をきちんと捉えて把握する力が大事だよねとエンジニア界隈で話題になっています。
さらにプラスして、人々が何を求めているのか、会社がどういう風になっていきたいのかを把握するためには、事業に興味があるかどうかや、自分のやりたいことと会社の方向性がマッチしていることが大事だと思います。
まさにIBJのスタッフはそこがぴったり当てはまっていますね。
スピード感を上げていくためにはサービスを好きになる必要があるし、そもそもの生産性を上げたり、効率化したいという志向がマッチする人でないと難しいと思います。
ただコードを書きたい、この言語がやりたい、単純に給料を上げたいというだけの方は正直IBJには合わない気がしますね。
(人事)では、小笠原さんから見たIBJの良さは何ですか?
全体で言うとやっぱりホスピタリティ精神に溢れていることですね。
スタッフが優しいところも(笑)あとはスタッフが事業や会社を好きなところですね。
社員に対してもお客様に対してもより良くしていこうという思いが事業部にあり、そのホスピタリティがサービス優位性にも表れるし、会員様の質の向上にもつながっているので、これは全社的に良いところだと思います。
チームで言うと今のチームは入社歴の長い人と、新たに入社した人の両極端で、視野を広げるための前向きなディスカッションの場が少ないと感じています。
成長意欲が高かったり、自発的なスタンスを持っている人材が多くなるとチームはもっと良くなると思っています。
これは育成次第なので、3~5年の長期的なスパンで今のメンバーが育つようにチームとして育成・研修をしていこうと思っています。
(人事)そう思うようになったキッカケは何だったんですか?
あるスタッフに言われたんですよ。
今までは「こうしてほしい、こういう風に動くんだ」という理想像の話や、行動指針を作って伝えてきましたが、これってメンバーに浸透しないなと思ったんです。その時に、浸透させるには生産性の可視化が重要だと思うようになりました。
例えば、何のために理想像になる必要があるのか、問題に陥った時はどう振る舞ってほしいのかというイメージがあっても、実際に問題に陥ることがなければ何も変わらないんですよね。
だから、「この生産性をもう少し改善させましょう」だったり「その指標はではなく違う指標を作りましょう」と問いかけると、改善のためにいろんな施策を提案するきっかけが生まれます。
その積み重ねが、これまで伝えてきた理想像や行動指針を浸透させることに繋がっていくのではと思っています。
(人事)理想像や行動指針は示してきたけれども、キッカケを作るには生産性を可視化する必要があるということですね。
ですが、生産性の可視化をするということは「●●で大変なので時間が掛かります」ということが通用しなくなります。
それがエンジニアにとって監視されてる、嫌だとマイナスに捉える人も出てくると思うけれど、世の中では当たり前になってきているからIBJでも取り入れていきたいと思っています。
(人事)生産性の可視化はエンジニアにとって明確になっていないのですか?
明確に表せなかったものもあるんです。
同じ作業をずっとやっているわけではなく、案件を担当したことで売上というビジネス的KPIに直接つながるわけでもないので、売上にコミットする開発組織を作ることは難しいんですよ。
でも、「安全なものを数多く世の中に出す」ということは、間接的に売上貢献や組織の成長に通ずるという考えが界隈で広まってきていて、可視化することの重要性を改めて感じましたね。
ただ売上を上げるための可視化ではなく、「○○の施策を何か月間に何回行ったか、バグがどれくらい減ったか・増えたか」など、開発組織のケイパビリティなところを可視化することで、行動指針と合わせて動いていくとさらに成長につながると思っています。
(人事)なるほど。監視的なことが嫌だと思って反発する人もいるかもしれないですが、可視化されることにより、不足していた前向きなディスカッションができるようになればという試みですね。
まさにそうですね。
なので、チームの中に1人でもポジティブに捉えられる人が増えれば良いなと思っています。
(人事)そう思うようになったキッカケはスタッフからの一言だったんですよね?
そうです。
「自分はリーダーを育成することはできないから、小笠原さんにリーダー研修をやってほしい」と言われ、リーダーに求めることを整理した時に「なんで改めて研修しなきゃいけないんだっけ?」と考え始めたんです。
それで深掘りしていくと気づいたという感じです。
(人事)かなり深いところまで聞くことができました。では、IBJにはどんな人に来てほしいですか?
先程の話にもありましたが、行動指針をきちんと理解してくれる人ですね。
物事をポジティブに捉えられるかなど細かい点はありますが、サービスやIBJ自体に興味がある人に来てもらいたいです。
行動指針の内容的にもコードを書くだけが仕事ではなく、書くことと開発が好きということがベースであり、エンジニアとしての存在価値を上げるための実装スキルを自ら学ぶことは当たり前だと思います。
その上で「自分で得た武器をどう使うか」を学ぶのがIBJなので、主体的に動ける方が良いのではと思っています。
あとは、IBJとご縁がありIBJを好きで入社されるなら、コードを書くだけでなくきちんとサービス理解をして、実装を最短で行うことは求められると思います。
(人事)社内でも日頃から勉強をしているエンジニアが多いですが、実装するための勉強であり、本当の学びはアウトプットして何かに役立てたり反映することなんですね。
ですね。なので勉強して「コードが書けます」は自己満であり、依頼がなければそれを活かす場もないので、それなら趣味でも良いと思うんです。
どちらかと言うといろんな経験したい・いろんなことをやりたいという人の方がIBJには合うと思います。
(人事)では、最後に今後の小笠原さんの目標を教えてください。
仕事においては、組織開発と事業成長をリンクさせていきたいです。
組織開発系は十分経験できたと思っています。ですが、マーケティング部門においては、どれだけ事業のためになっているかという経験がないので、そこに挑戦できたら良いなと思っています。
(人事)石坂社長もマーケティング思考を持とうと言っていますからね。
事業会社だから開発だけではなく、ビジネスにリンクしていけたらということですね。
明日「クビです」と言われても困らないようにしておきたいので…(笑)
ある程度のスキルセットと経験があれば誰でもマーケティング思考を持てると思っています。いずれ会社にインパクトを与えることができたら嬉しいですね。
(人事)今までのご経歴・スキルセット・マネジメント・マーケティング思考をお持ちの小笠原さんが、たった今会社をクビになっても引く手あまたかと思いますが(笑)マーケティング思考を一人でも多く持っていればさらに良いチームになりそうですね。
うーーーん。全員が変わるのは難しいと思いますし、チーム長の形も人それぞれだと思います。僕的には組織のアッパーになってはいけないと思っているんです。
リーダーがやりたいようにやるのは良いとは思いますが「その人だからうまくいったんでしょ」となるのは良くないと思っていて。
リーダーは何もしてないと思われる中で「みんなが頑張ってやってくれてるんです」と言えるのが理想です。
レイヤーが上がったら【判断をする】ことが中心なので「みんなが頑張ってやってくれたからうまくいってるんですよ。僕じゃなくても大丈夫ですよ!」って言っている方が僕は良いんですよね。
自分はそういう存在になっていきたいなと思っています。
(人事)ありがとうございました!さらにレベルアップしていくLabo部が楽しみです!