グループワークを攻略!「話し合いモデル」を意識して合格を近づける

こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
ここ数年で、中学入試には様々なパターンが登場しはじめました。従来型の中学入試に加え、iBASEが対象としている「適性検査型」の入試が一般的になってきたのはもちろん、グループワークやプレゼンテーションを課す入試が首都圏を中心に増加傾向にあります。

iBASEでグループワークの講座を開くたびに、多くの受検生から「話し合いが苦手」「どうやって議論を進めたらいいのか分からない」など、様々な悩みの相談を受けてきました。今回の記事ではそんな悩みに応えるために、グループワークにおける「話し合い」について、その基本的な考え方をまとめておきたいと思います。


グループワークの”落とし穴”

グループワークに臨む際、多くの受検生がハマってしまう”落とし穴”があります。それは「有意義な話し合いをすること」以上に、「手軽に素早く結論を出すこと」を優先してしまう状態を指します。
こうして優先順位が変わってしまうと…

●ある議論に対して「自分は違う意見だけれど黙っておこう」と、思ったことを言わない(言えない)
●十分に検討もされないまま、最初に出たアイディアがグループとしての結論になってしまう

そもそも「議論」というのは、参加しているメンバーそれぞれが違う見方・考え方を持っているからこそ成り立ちます。誰かとの対話によって、一人ではたどり着けない素晴らしい考えに至るために、協力して行うものです。グループワークという入試も、そうやって他者と協働することで「新しい知」を生み出す振る舞いを見ているので、上記のような「事なかれ」的な状況は、評価されるはずもありません。

しかし多くの受検生が「人と違うことを言う」ことの怖さを抱くのは当然のこと。また「場を乱すことをしてはいけない」という同調圧力を打ち破るのもまた、決して簡単なことではありません。では、どうやってこの「落とし穴」にはまらないようにするのか? iBASEでは次のような考え方(話し合いのモデル)をベースに敷いた対策を行うことで、安心して話し合いに臨めるようになると考えています。

話し合いのモデル

このモデルでは、話し合いを大きく3つの段階に分けて考えます。1つずつ見ていきましょう。

Sam Kaner『Facilitator's Guide to Participatory Decision-Making』(2014)を元に、iBASE作成

広げる

ある課題に対して、すぐに結論を出すことはしません。グループメンバーそれぞれの見方や考え方を出し合い、いろいろなアイディアを拡散的に出し合うことが大切です。ここでは早急にまとめようとせず、あえて逆の視点から考えてみたり、ウケ狙いのふざけた意見を出してみたりと、とにかくグループ内の発想を広げていく時間を過ごします。

とにかく「質より量」という原則を、全員が理解しておくことで話し合いはスムーズになるでしょう。急な思い付きや全く関係ない雑談が、ひらめきに繋がることだってあります。互いの発言を否定せずどんどん承認しながら、お互いの意見に乗っかってアイディアを出し合っていくようなイメージが理想的です。

うなる

いろいろな意見を出し終わったら、次の段階に進みます。「うなる」は、ここまでたくさん出た意見やアイディアを吟味したり膨らませたりする時間です。まだそれぞれが自分の立場を決め切ることなく「ああでもない。こうでもない」と、とにかく「結論を出さない」時間を楽しみ合うことが求められます。

人それぞれによって、役割を分けてみることも有効です。たとえば、ある人は今あるアイディアの「ポジティブな側面」を考えてみる。またある人は「ネガティブな側面」を考える…などです。異なるアプローチで意見を練ってみることで、おのずとグループの中で進みたい方向性が立ち上がってきます。(※「シックス・ハット(6つの帽子)」とも呼ばれる思考法です。詳細は、以下のリンクからご覧ください。)

収める

「うなる」の時間でなんとなく方向性が固まってきたら、最後はそれを収束させる時間へと移っていきます。この時間ではグループ全員の「納得解」を紡ぎだしていくことになります。「収める」がうまくいくかどうかは、十分に「広げる」ことが出来ているか。そして十分に「うなる」時間を過ごせたかどうか?にかかっています。

もし、グループで意見がまとまらないときには、もう一度「広げる」に戻ってみたり、別のアイディアで「うなる」時間を持ってみたりすることが、打開策として有効かもしれません。

「話し合いモデル」を使うとどうなるか

iBASEの対策講座では、このモデルに則って生徒たちに話し合いの練習を行ってもらいます。モデルに沿って話し合いの時間を過ごすことで、生徒たちは知らず知らずのうちに「手軽に素早く結論を出さねばならない」という思い込みを、徐々に手放していきます。

そして「広げる」の時間を意識することで他人と異なる意見を出すことが怖くなくなり、むしろ違うことを言ってみることの価値を体感していくことが出来ます。また「うなる」の時間でも、あえて結論を出さない時間を過ごしてみることによって、他者と対話することによって自分の知が広がる体験をし、一人ではたどり着けない結論に至る楽しさを、肌で感じていくことになるのです。

おわりに

今回はグループワークにおいて陥りやすい落とし穴を紹介しながら、「話し合いのモデル」について解説を行いました!入試においてグループワークが課される学校を受検されるみなさんは、ぜひ参考にしてみてください!

※広島叡智学園 志願者の皆さんへ

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