【過去問解説】広島叡智学園中学校の理数科って、どんな問題?(2022年_適性検査A)
こんにちは!公立中高一貫対策のiBASEです。
今回は、全国的にも注目度の高い「広島叡智学園中学校」の適性検査A(理数分野)の問題について解説・分析を行います。
前回の記事では2021年広島叡智学園中学校適性検査Aの概観について解説しました。今回は理数分野について、より詳しく見ていきましょう。
0.検査A
今年度の検査Aは非常に難しい問題だったと思います。例年通り算数と理科が明確に分かれていないという特徴は継続されていましたが、純粋な「計算力」と「発想力」、「論理的思考力」が求められた問題だったと考えます。
1.検査A 大問1-1の出題
4つの資料から条件を読み取り、条件を満たすようにジュースを作るという問題でした。その条件とは「人数」と「予算」です。
もはや叡智学園の鉄板と言ってもいい比較する問題。ここでは「単位量あたりの大きさ」が超重要です。
「どっちがいい?」「どれを使う?」といった比較する問題は「単位量あたりの大きさ」で比較することを徹底しましょう。
なぜならば、
「分速60mと時速2kmはどっちが速い?」と聞かれた場合は単位を揃えようとしませんか?この考え方が「単位量あたりの大きさ」です。
まずは「最低限満たすべき条件」をクリアした上で、「どっちでもいい条件」をクリアしていくという順番が重要です。
この「どっちでもいい条件」があることで混乱した受検生は多かったのではないでしょうか。日常生活においても「どっちでもいい」と言われるとちょっと困りますよね。笑
そんな時にどのような判断軸で決めるのかが重要です。
この問題では安くたくさん作れる方を優先してあてはめていき、その後で予算内に収まるように微調整していくという流れが重要です。
今回の問題は過去の問題よりも「計算力」が求められる問題でした。計算ミスなく答えにたどり着けるかどうかも合否の分かれ目だったと言えます。
2.検査A 大問1-2の出題
個人的に2022年の問題で最も難しかった問題だと思います。受検本番でこの問題に時間がかかりかかっていた場合は、まず大問2を解いておく方が賢明だったと思います。
この問題のアプローチとしては以下の順番です。
1.四角形の1つ分の大きさを計算する。
広場全体の面積は1750cm2ですので、1つ当たりの面積は1750÷5=350で350cm2とわかり、350cm2はマス目としては350÷25=14で14マス分ですね。
2.形を推測する。
14マスの場合、作れる長方形は2マス×7マスしかありません。
よって、残りは台形や名前のない四角形になるとわかりますね。
台形の場合は
①上底:3マス・下底:4マス・高さ4マス、
②上底:2マス・下底:5マス・高さ4マス、
③上底:1マス・下底:6マス・高さ4マス、
④上底:6マス・下底:8マス・高さ2マス、
⑤上底:5マス・下底:9マス・高さ2マス、
といった形が考えられます。(その他にもありますが、今回の広場に入りそうな形としてはこれくらいです。)
3.角から順に当てはめてみる。
四角形の形が推測できた後は実際にあてはめていきましょう。あてはめる際に重要な考え方は「条件が厳しいものから考える」ことです。今回の場合、左下のようにいびつな形をしている箇所ですね。
つまり、左下は辺の数が多くなってしまいそうなので、下2マスで分けることが無難だと考えます。(図の①②③④のイメージです)
次に右下が四角形になるようにするためには①~④の図形の右上の角を広場の右上の角と結ぶ必要があることがわかります。
この場合右側が14マス分となるのは②ですね。(④は三角形になっていますのでNGです。四角形にしようと思うと更に多くのパターンが出てきます。)
あとは残った縦:6マス、横7マスの長方形を3等分しましょう。ここまでいけると答えが見えてくると思います。
3.検査A 大問2の出題
最後に大問2について解説します。この問題は条件が複雑で読み取りにくかったかと思います。ア~エの4ヶ所にどの植物のプランターを配置するのかを問う問題でした。
基本的な考え方は大問1-2と同様に「条件の厳しいものから考える」です。
今回の条件は「花が咲く時期」「花が咲く場所」「花の色」です。
まずA~Hの花の特徴として、
A~Dはどこでも育つが、E,Fは「ア」のみで育ち、G,Hは「ア」と「イ」で育つと分類できます。
よって、今回は
「ア」→「イ」→「ウ・エ」の順番で埋めましょう。
「ア」について、
まずはE,Fを優先して計画を立て、EとFで埋めきれない時期はA~Dの何かで埋めれば問題ありません。
「イ」について、
G,Hを優先して計画を立てましょう。G,Hで埋めきれない時期はA~Dの何かで埋めれば問題ありません。
「ウ・エ」について、
残っている花で埋めていきましょう。
この順番で考えていく際に注意しておくべき条件は「いつでも3色の花が咲いている」ことです。同じ場所にはできる限り同じ色の花を集めて計画を立て、”最後”にいつでも3色の花が咲いているかをチェックするという順番で考えるとスムーズに解けます。
最初から全ての条件を満たそうとして考えると混乱してしまいますので、条件についても「花が咲く場所」→「花が咲く時期」→「花の色」という順番で考えていくことが大切です。
4.合格への対策
叡智学園の認知も広がってきて受検生のレベルも上がってきていると思われるため、これまでの出題よりも計算力が問われた出題もありました。
一方で根本的には以下の3つの能力が問われいます。
■比較する力
「AとBのどっちを先に使いますか?」「AとBの違いは何ですか?」と考える問題が例年出題されています。
この力を養うためには「対照実験」「単位量あたりの大きさ」の考え方が非常に重要です。
「対照実験」とは条件を1つだけ変えて比較する実験のことです。複数の条件を変えてしまうとどの条件が結果に影響を与えているのかがわからなくなってしまうので、”1つだけ”条件を変えて比較することがポイントです。
「単位量あたりの大きさ」とは単位を揃えることと言い換えられます。
上述の通り、速さを比べようと思うと単位をそろえて比べますよね。この考え方を身に付けておくことは最低条件と言っても過言ではないでしょう。
■筋道立てて考える力
よく筋道立てて考える力と言われますが、皆さんどんなイメージでしょうか?iBASEでは「優先順位をつけて考える力」と定義しています。受検生が混乱するときは「何から考えていいのかわからない」という状態になったときです。こんなときに冷静になって、優先順位を付けて、1つずつ考える力が求められます。
「条件の厳しいものから考える」という基本を徹底し、1つずつ可能性を確認していくことが必要です。
■自分の答えを説明する力
最後に求められる力は「自分の答えを説明する力」です。この力を鍛えるためには「解説を作って他人(親でも、兄弟でも、誰でもOK)に説明する」→「コメントをもらう」→「説明し直す」の繰り返しです。
他人に説明することでどうやったら相手に伝わりやすいのかを試行錯誤してください。
5.終わりに
いかがでしたでしょうか?長文かつ複数の条件を読み取る複雑な出題ですが、優先順位を明確にして一つ一つ考えていくことが大切です。
広島県外からの受検も増加傾向にある中、その特殊な出題傾向にフィットした対策は難しく、お困りの方も多いのではないでしょうか。公立中高一貫対策を専門に取り組むiBASEは、広島叡智学園の専門対策に取り組み今年で3年目に入り、これまで特に広島県外から合格を目指す受検生の支持を多く頂いてきました。最後の追い込みに、ぜひご活用ください!