<国際交流・協力ネットワーク会議>がありました
7月15日に茨城県国際交流協会が主催する毎年恒例の<国際交流・協力ネットワーク会議>が開催されました。
今年度は、久しぶりの対面での開催となりました。(オンライン同時開催)
今回の基調講演はYSCグローバル・スクールの田中宝紀さんでした。YSCグローバル・スクールや田中さんについては6月1日の記事でご紹介しました。
たくさんの方に参加してほしいと願い、事前に記事を書きました。実際に、いろいろな立場から多くの方が参加されていたので、今後につながればいいなと願っています。
田中さんのお話は、データやクイズ、実際の子どもたちの話などを盛り込んで、非常に分かりやすく、外国ルーツの子どもたちの現状が理解できる内容でした。
まだまだ十分な支援が届いていない子どもたちが多くいること、それでも、少しずつ公的な支援が進んできていることも分かりました。ただ、地域によって支援に大きな差があり、どこに住んでいるかによって受けられる支援は運次第という現状もあります。
印象に残ったのは、外国ルーツの子どもの母語についての問題です。2つの問題があります。
1つは、幼いときに来日したり、日本で生まれたりして日本語が母語となり、外国人である親の母語があまりできない場合に、親子での意思疎通が困難になるという問題です。子ども時代に親としっかり意思疎通ができないというのは、いろいろな困難が生じる可能性があるでしょう。
2つ目の問題は、家族の中で、その子どもだけが日本語ができるという状況になった場合に、ヤングケアラーになってしまうということです。両親のために、兄弟のために、いつも通訳を強いられてしまいます。病院でのやりとりなどのような専門的な、そして非常に深刻な内容を通訳して家族に伝えなければならない場合もあるそうです。
似たような話は、家族の中で一人だけ健聴者である娘を描いた『コーダ あいのうた』という映画でも描かれていました。
外国ルーツの子どもたちの母語教育(継承語教育)は、もっと広く認知され、取り組まなければならない問題だと思います。
講演では、YSCグローバル・スクールの取り組み<NICOプロジェクト>についても、詳しいお話がありました。これは、外国ルーツの子どもが遠隔(オンライン)でYSCグローバル・スクールの日本語学習に参加できるというものです。わたしも、これまでに何人かの外国ルーツの子どもの保護者の方に紹介してきました。
わたし個人では限界もありますし、もっと広く教育機関や自治体は、このようなNPO団体と連携してほしいと切に願います。今回の会議には、自治体の職員の方、国際交流協会の方も多く参加していました。しかし、学校関係者は参加していませんでした。(会議の主旨とは合っていないためか、恐らく会議の情報も届いていないのかもしれません。)田中さんのお話は、学校関係者にこそ、聞いていただきたい内容でした。
少子高齢化の日本は、外国人の助けなしでは立ちゆかなくなるでしょう(今もすでにそういう状況ですが)。今は日本に来てくれている外国人の人たちも、このままでは、やがてほかの国を選ぶようになるのではないでしょうか。外国人や多様な人々が住みやすい社会にすることが、日本の未来につながっていくことだと思います。
外国ルーツの子どもたちは、日本社会にとっての財産でしょう。
国も自治体も学校も、外国ルーツの子どもたちにもっと目を向けてほしいと願っています。
(山)