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ハーブと土が繋いだ新しい人生 ~元シェフが切り開く里美地区の未来~ #2

 常陸太田市の北に位置する里美地区。

 この自然豊かな地で、都会の喧騒を離れ、新たな人生を歩むことを選んだ
里山のハーブ屋 暦ノ物語代表 で 道の駅さとみ駅長 の 服部 真太朗 さん。

 そんな服部さんが、シェフから農家へと転身したきっかけや、里美地区との運命的な出会いについてお話を伺いました。

VOL.1はこちらから ↓↓↓


VOL.2 『海が見えない』里美地区へ移住したわけ

 服部さんが、農業への情熱が燃え上がり、独立を決意したのは5年前。 

 茨城県内を旅するように巡り歩いた末、服部さんの心を一瞬で掴んだのが里美地区だった。

 「自然の中で農業ができる場所を探して、県西から県南、県北地域の隅々を回りました。様々な有機農家さんを訪ねては話を聞き、休日はずっと移住先を探し回りました。

 そんな中、立ち寄った里美地区で、降り立った瞬間に “これだ!” という感覚が走ったんです。空気が違うというか、直感的にここしかないと感じました。」 

 まさにビビッときた場所。

 だが当時の服部さんには、地域との繋がりも情報もゼロ。
 インターネットで検索しても有力なヒントはなく、どうすれば良いか迷路に迷い込んだような気分だった。

 そんなある日、訪れた笠間市のマルシェで運命的な出会いが待っていた。 
里美地区で有機農業を営む農家さんとの、まさに奇跡の出会いである。

 「その方、すごく気さくで。『里美に行ってみたい』って言ったら、『じゃあ、うち来れば?』なんて軽く言ってくれて。
 早速、その方の畑を見に行きました。
 そしたら、これがまた素晴らしい場所で…。一瞬でここだ、と思いました。
 しかもその畑、もうすぐ返却予定だと聞いたので、『僕が借ります!』ってその日に言っちゃいました。 即決です。(笑)。」

  この運命的な出会いを経て、服部さんは里美地区へ移り住むことになったのである。


VOL.3 一農家から、地域を繋ぐ農家として見据える未来


 現在、服部さんの畑には、まるで植物のテーマパークのようにハーブを中心に珍しい作物が所狭しと並んでいるそうだ。

  例えば、「オレンジミント」「イエルバ・ブエナ」

 普通のミントかと思いきや、噛むと口の中に果物の香りが広がるという。驚くことに、服部さんは年間で50種類以上のハーブを栽培しているらしい。  

 そして、驚きはそれだけではない。
「マイクロキュウリ」「浜クロピー」など、名前を聞いただけでどんな味なのか想像が膨らむような珍しい野菜も手掛けている。

 これらのハーブや野菜は、都心のレストランや茨城の各レストランに使用されるほか、直営店として「道の駅さとみ」で販売されている。
 里美発の“食材エンターテインメント” とでも呼びたくなるほどの多様性である。 

服部さんが手掛ける野菜やハーブ


 これは、元シェフの経歴を生かして、今後は自分の育てたハーブや野菜を使ったレストランの経営など考えているのだろうな。
 そう思って問いかけると、服部さんの答えは“NO”だった。 

「レストランは考えていないです。」 

「里美地区には、小規模で農業をやっている方や、木工などを営んでいる方が多いんです。
 現在、『道の駅さとみ』全体の運営を担っていますが、僕はこの場所を、地元の方々が気軽に集える場として、そして皆さんの活動をさまざまな人々に広められる拠点として育てていきたいと考えています。」 

 普通、道の駅といえば観光地のイメージが強い。
 しかし、服部さんは地元の方にこの施設を生かして何ができるかを考えていた。

 「観光者向けだけでなく、地元の人も、もっと利用しやすい道の駅にしていきたいです。
 里美地区の常陸太田市における本当の意味での情報発信基地として、地元の人々が気軽に集まり、さまざまな人々と交流しながら楽しめる場所を目指したい。」

   地元と市外地から来るを繋げるために活動を広げる服部さん。
 彼の挑戦は、里美地区の地図に「ここが面白い!」というフラグを立て、そこに人々が集まり、新しい繋がりが生まれるであろう。

 服部さんのアイデアを軸にどんな道の駅に生まれ変わるのか楽しみでならない。そう思えた取材だった。


(写真左)服部 慎太郎さん  (写真右)道の駅さとみ


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