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茨城県北で本物のリゾートホテルを~120年続く老舗旅館の5代目の挑戦~vol.3

 120年続く老舗旅館「としまや 月浜の湯」の5代目 渡辺 悦夫氏に、としまや別荘「海と空と...」の魅力と社長の想いを取材しました。

vol.1はこちらから ↓

vol.3 人間は自然の一部 それを忘れてはいけない

 部屋や廊下など、至る所に趣のある絵画が飾られている・・・。
 聞くと、20年前に亡くなった知人の娘さん夫婦から譲り受けたものだという。

「2枚は購入したんだけれど、その後、娘さん夫婦から絵を引き取って欲しいと言われたんです。とても素敵な絵でしょ!というわけで、館内は作者の『木村美術館』にしてしまいました!」

「提供しているコーヒーも、うちのオリジナル。自分が通っているコーヒー店の方に、焙煎からすべてお願いしました。」

 渡辺社長の、人としての温かみがうかがえるしつらえと、こだわりの品の数々・・・

 ここで宿泊するなら絶対に2泊だな・・・朝から晩まで部屋で波の音を聞きながら、1日中のんびりするという社長お薦めの過ごし方をしたい。
「旅行=観光」で、せっかく来たのにもったいないと言わんばかりに、家族を引き連れ、盛りだくさんの観光地巡りをしていた担当にとっては、まさに目から鱗だった。

色々な時間の愉しみ方がありそうだ

 でも、これこそ本当の贅沢なのかもしれないな・・・そんなことを考えていると、社長がホテルの名前の由来を教えてくれた。

「実はね、『海と空と…』の本当の名前は『海と空とあなたと私』なんです。でも「あなたと私」は、親子だったり、恋人だったり、友人同士だったり、人によって違うかなと思って「・・・」にしているんですよ。

 このホテルの最初のお客様は、息子さんが80代のお母様を連れていらっしゃいました。あとは、娘さんがお母様の誕生日祝いとして、2人でいらっしゃったというケースもあります。それぞれ、思い思いに過ごしていただきたいですね。

 そして、皆さんに大自然と一体化するという体験をしていただきたいです。
 人間が自然を支配しているのではなく、人間は自然の一部だということを感じて欲しい・・・。

 私がそれを痛感したのは、東日本大震災です。
 震災で電気が使えなくなって・・・その先の国道から、海側で電気が使えるようになったのは、地域でも一番最後でした。電気が通じないと、水も使えないし、お風呂も入れない・・・。
 でも、あの震災がなかったら、ずっと便利な生活が当たり前だと思っていたと思います。人間が、自然をコントロールしているという意識がありましたが、色々思い知らされました。本当に、人間の無力さを知った。

 そして、ここは自然と一体となることで、大自然の美しさや、すごさを享受できる。また、それを感じてもらえるようなところだと思っています。」

 最後に、渡辺社長の想いと今後の挑戦について伺った。

「震災以降、新型コロナウィルス感染症流行もあり宿泊業界は低迷していました。
 でも、今年は茨城県でJRのデスティネーションキャンペーンも開催され、勝負の年だと思います。また、こういうところは、自然の素晴らしさや日本の伝統文化を守って広げる使命があると思っています。
 ここでは、従業員への研修として、お茶やお花、日本舞踊を教えています。従業員にも、お客様に共感される感性を磨いていって欲しいです。
 
 そして、先の話ではありますが、このホテルももっと良くしていきたいですね。例えば、『全部の窓から、海が見えるようなレストランや部屋を作る』とかね・・・。それが実現するまで、元気でいないとね(笑)」

 サラリーマン時代の経験を力に、旅館を引継ぎその手腕を発揮し、東日本大震災や新型コロナウィルス感染症の影響も受けながらも、茨城県北で本物のリゾートホテルに挑戦する。
 そんな凄腕社長は、自然を愛し、敬い、人とのつながりを大切にする人情味溢れた方だった。

 これからも渡辺社長と、「海と空と...」にぜひご注目ください!

担当のリクエストに応え、ポーズをとってくれた渡辺社長