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No.7_株式会社伏見屋
はじめに
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大豆と水、にがりだけを使った昔ながらの製法を守り続ける老舗豆腐メーカー、株式会社伏見屋。こんにゃく屋から豆腐屋へ、そしてB to BからB to Cへと大胆な変革を繰り返しながら伝統を守り、美味しくて安全なできたてのお豆腐を食卓へ届けることへの強いこだわりを忘れずに歩み続けています。今日は専務執行役員の上田竜也さんに、お話を伺いました。
どんな会社ですか?
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私たちの会社は明治24年に創業し、133年目を迎えます。最初はこんにゃく屋としてスタートし、次第に事業を拡大してスーパーマーケットや百貨店へと商品を卸すようになりました。1988年に百貨店のバイヤーさんから「美味しい豆腐屋さん知りませんか?」と聞かれて、現社長が京都向日町で当時一番美味しいと評判の豆腐屋さんに出会いました。しかし、市場の立ち退きと店主が高齢のために店を閉めることを考えておられ、「作り方を教えるからこの味を継いでほしい」といわれ、弊社でその店主を雇い入れて京都の大原野に豆腐工場を新たに設立しました。これが豆腐作りのスタートになりました。しばらくは百貨店向けにこんにゃくと豆腐の卸販売をしていましたが、時が経つとともに激しい価格競争に巻き込まれて、市場には安価な外国産大豆を使用した商品が溢れ、工場を自動化して価格を下げるという流れになってきました。その頃に、創業時からの想いとかけ離れていくのを感じた社長が直売を開始し、お客さまから直接お褒めの声をいただいてより喜ばれる豆腐づくりに専念したいということで、7年前に思い切って卸販売から完全に撤退しました。現在は社員30人、パートさんも含めると40人ぐらいで、直営店が12店舗、移動販売車が22台、そして関西を中心とした百貨店の催事の三本柱で販売を行っています。豆腐専門店として、できたての豆腐や厚揚げ、湯葉にお惣菜、豆に関連するいろんなものを美味しく食べていただけるようにと日々試行錯誤し作り続けています。最近では、地元のいいものを扱いたいというデパートやスーパーから、お声がけいただいてB to Bも少しずつ再開しています。
日頃どんなものを作っていますか?
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水と大豆とにがりだけで作る生とうふ(絹・もめん)、出来立てをくみあげた大豆の味が最も濃いくみあげざる豆腐、しっとりやわらかくて人気の高いおさしみ生湯葉、菜種油で丁寧に揚げた絹厚揚げなど、定番の商品に加えてさまざまな豆腐製品を製造しています。また、豆腐や豆乳を使ったお惣菜やスイーツ、湯葉と厚揚げの入った豆腐屋ならではの太巻きなども人気です。ちなみに、私が一番好きなのは絹どうふをそのままか、岩塩を少し振って食べています。子ども達は湯葉をよく食べますね。
基本的に使用する大豆は、主に北海道や西日本から厳選された国産大豆を使用し、季節や天候に合わせてブレンドしています。たとえば甘みの強いものは風味は良くても固まりづらい、様々な豆の特性を使い分けて最適な風味と食感を追求しています。製造工程では、消泡剤などの添加物を極力使わず、大豆本来の風味と柔らかさを大切にした昔ながらの豆腐作りの方法を守っています。まず大豆を一晩かけて水に浸します。夏場で8時間から9時間、冬場なら12時間以上でしょうか。翌朝5時から大豆をすりつぶし、炊き上げます。このとき、大量の泡が出るので炊きムラをおさえるため消泡剤を使うメーカーさんが多いのですが、弊社では使いません。最後ににがりを加えて固めます。にがりとの反応や混ざり具合を確認しながら配合を調整し、最終的には出来上がった豆腐を実際に食べて、仕上がりを確認します。固めるのには機械を使いますが、仕上げは職人の目と感覚を頼りにしています。
もうひとつのこだわりは、仕上げによく行われるボイル殺菌をしないことです。そのため賞味期限は4〜5日と短めですが、豆の風味と柔らかい食感を残る生とうふができます。その分、徹底した衛生管理をしています。こうして昼過ぎに豆腐製品が出来上がり、直売店や移動販売、催事に向けて発送されます。
大切にしていることはなんですか?
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会社として掲げている「大切な人にも食べさせたい、安心・安全・美味しい豆腐を製造・販売します」という行動指針を常に意識しています。自分の子供にも安心して食べさせられるような、安全で美味しい豆腐作りを追求しています。そのために消泡剤や添加物を一切使わずに、大豆本来の風味や食感を活かす製法へのこだわりを持って、心から自信を持てる製品をお届けしたいと考えています。これは、社員皆が共通して持ってくれている価値観だと思います。
ターニングポイントはなんですか
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私自身、大学卒業後に4年間大手食品メーカーで働いた経験は大きかったです。その間様々な経験をしながら、がむしゃらに働いて楽しかったですね。いまは全然違う環境ですが、家業を継ぐにあたって指針になることも教わりましたし、今も定期的に集まる大切な仲間に恵まれました。会社として大きなターニングポイントは、やはり7年前の卸業撤退です。私が会社に入ったときにはもう移動販売は動かしつつあったのですが、完全撤退して直売に切り替えたのは社長の意向でした。大手デパートのプライベートブランド向けの商品など1日2万丁の豆腐を生産していた時期もあったのに、5千丁ほどに減少したので、売り上げとしてはかなりの痛手でした。私も含めて周囲は大丈夫かな?と思っていましたが、社長は一度決めると、信念を貫く人なので。ここまで思い切って方向転換しなければ変われなかったと思います。それまでシフト制で365日工場を動かしていたのが、週休2日になり、従業員としては働きやすい環境になりました。
今後の課題はなんですか?
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一番の課題は「売り方」にあると感じています。どうすれば、もっと多くの方に伏見屋のお豆腐を知っていただけるか。移動販売は一人店主みたいなもので裁量は全てその人に任せていますが、一人休めばその分販売が止まるという不安定さがあります。百貨店や高級スーパーでの販売も信頼性を高める一方で、人員配置や配送などが課題です。ネット通販のご要望もあるのですが、日持ちが短いこともあり、全国展開は難しいと感じています。理想は、もっと地元や関西圏内で「伏見屋のお豆腐」としての認知度を高めることです。直売でしっかりと頑張って、多くのお客様に「美味しいお豆腐=伏見屋」と思っていただけるようになれば、また新たな販路も拡大でき、様々な可能性が広がると考えています。
現在の工場長が豆腐づくりに真剣に向き合ってくれているので、その後を継げるような若い人材もこれから育てていきたいと思っています。製造も販売も含めて、全スタッフがうちで働いていることを自慢できるような会社になりたいですね。
ライターが感じた伏見屋さんの魅力
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豆腐がスパスパと一気にカットされていく様子や、湯葉が5分ごとに掬い上げられる光景はとても気持ちよく楽しく、そして自分でも体験してみたくなるような作業でした。工場内で行われるお豆腐やお惣菜づくりには昔ながらの手作業が多く、見ていて安心感がありました。お豆腐も湯葉も、お話しでうかがったとおり豆の甘味がしっかりと感じられて出来立ての「生」感があり、なにもつけずにそのままたべたくなる美味しさでした。
企業情報
株式会社伏見屋
http://www.fushimiya.co.jp/realstore.html
運営・制作
〒543-0062 大阪府八尾市神武町1-36
いばらきオープンカンパニー事務局(株式会社友安製作所 内)
E-mail:socialdesign@tomoyasu.co.jp
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