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こんなオトナもいるんだ!うれしくてペダルこいだ春。
先生と出会ったあの頃、わたしは人生のドン底でした。
スタートにつまづいたのです。友達のつくり方が分かりませんでした。
いつのまにかできてしまったグループの輪。宙ぶらりんなわたし。何のために、受験あんなにがんばったんだろう。なんで、みんな静かに座っていられるんだろう。学校が、授業が、クラスが、苦痛でした。
頭が良くて、かわいくて、才能のあるクラスメイトたちが、憎らしかった。わたしには何もない。成績もわるい。努力もきらい。隣の芝が青すぎ。これって、思春期あるあるですか?
中学三年の春。先生と出会いました。
のっぽで、のり弁のような眉に、黒縁のメガネ。うちの学校には珍しい、若い男の先生でしたね。聞き慣れない和歌山弁も、おもしろくて、笑ってしまいました。
先生の授業は、とんでもなくおもしろかったです。事件の一つ一つが結びついて、線で繋がっていくのが分かりました。むちゃくちゃ勉強がんばったんですよ。
それでも、平均点スレスレなのが悔しくて悔しくて。劣等感の山がまたも記録更新。
はじめて、先生と二人で話したのは、学年礼拝の打ち合わせのとき。わたしは感話が担当でした。
あの時、自分がなにを話したのか。先生がなんて言ってくれたのか。ひとつも覚えていません。
ただ、はっきりと覚えているのは、
「わたしの話を、こんなに真剣に聞いてくれる大人がいるんだぁ!」
ってうれしくて、うれしくて、うれしかったこと。にやにやした口で、ペダルをこいで家に帰った。あの時の、あったかい気持ちは、今でも忘れられません。
きっと、これが原点です。
そんな大人になりたくて、わたしは教師になりました。
悔しいこと、辛いことばっかりです。子どもたちが憎らしくて、何度も逃げ出しました。
そんなわたしでも、認めてくれる子どもたちがいました。力をかしてくれる子どもたちがいました。
「先生ドジじゃけぇ、貸して!」
中学生って、クソ生意気で、憎たらしくて、いっちょまえに大人。
そのくせ、優しくて、情に厚くて、一生懸命で、かわいくて。
先生がくれたバトン、どこまでつないでいけるでしょうか。
膝の上でねむる息子に、そーっと聞いてみようと思います。
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