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愛犬の看取り Dog Doc. 1

 

16日前 2022年2月9日(水曜日)に イヌの腫瘍に気づいた

その2か月位前 去年の暮れあたりから うんちがしづらそうなのには気づいていたが、高齢の影響かと思っていた。うんちがうまく出ないせいか、お尻が汚れていることが多くなり その日もウェットティッシュできれいにしていた。
すると左後ろ足の上の方に硬い瘤のようなものが手に触れた 瞬間的に嫌な予感がしてすぐ動物病院へ

触診(肛門から指を入れて瘤の大きさや癒着の範囲を探る) 細胞診(瘤に針を3回ぐらい刺して細胞を取って顕微鏡で観る)で ほぼ悪性 つまり癌だろう との告知。 顕微鏡の映像は、染色の紫色の影響も手伝って、いかにも禍々しい印象を受けた。何年か前に雑菌の顕微鏡映像を見たときには、様々な色や形の菌 バクテリアたちがうごめいていて 命に溢れていて 綺麗だとと感動したことを思い出す。
 
 イヌはきつい検査にも ウンともスンとも言わず耐えている
 わかってるのかなあ 

それより前に家で目やにをウエットティッシュで拭いてあげようとした時にやたらお尻を向けてきたことがあった。たぶん「なんとかしてくださいよー」アピールだったんだろう

どうぶつ病院は、怖いけど 不快をなんとかしてくれる所という思いが イヌ的にもあるように見える。 「お医者さん行くよー」から車に乗り込むまでは積極的。いざ着いて病院に入るのは震えて抵抗するけど。
最近やたらとべったりくっついていたのは 体の不調で不安だったのかもしれない。
私が2階へ行くとイヌも階段を上がってきて 椅子の足元や ベッドの横で寝ている。 台所 玄関 トイレ 庭 とりあえずどこへもついてくる。 あまりにまとわりつくので 何度も蹴つまずく。

駅まで車で家人を迎えに行く時も、近くのコンビニへ行くときも 車に乗って来る  
以前から、痛い所 かゆい所は「ここチェックして」みたいに見せに来る。雑種だけど和犬の血が混ざっているのか、普段は甘えたりすることもなくあっさりしている。怖い時だけべたっとくっついてくる。
 
そこまで頼りにされているのが重くもあるけど 仕方がない 覚悟するしか。腹をくくろう。
自分の子ども、人間より、動物の場合治療の選択肢の幅が広い。 動物の病気の悩ましいところ。
人間の治療だと 標準治療みたいなのが一応あってお医者さんがある程度判断してくれる。
動物の場合 飼い主の意向みたいなのが優先される。お医者さんも 飼い主さんの決断と言って、とこちらに振ってくる。
費用もウエイトを占めてくる。どこまでやるか。。保険もないし。高額療養費制度もないし。
そして何より 本人の意思が聞けない。きつい治療でも生命を延ばすことを望むのか できるだけしんどくないのがいいのか、自然のままがいいのか。。イヌ的には  なんかキツイ だけなのかなあ。

イヌの加齢の速度は人間の5倍とか6倍とか言われているのは 知っていた。が、余命とか 5年後生存率とかの計算のときもそうなんだということに初めて気がついた。人間でいう5年余命を伸ばすイコール犬にとっては1年ということなんだ! うちの子のケースでは 大きめの外科手術や放射線治療をして最大限頑張って2年。そうでない場合 年内もつか 半年か。

選択肢は ざっくり3つ

手術
肛門括約筋も切除しなくてはならない可能性もあり、便が自分でできなくなる。肛門あたりなので術後の傷口の感染リスクも高い。飼い主の介護の負担も大きい。
13歳の高齢犬に大手術をするのは身体的にも負担が大きい。 超ビビリ犬なので、まずメンタル的にキツすぎるだろう。以前、数日預かってもらった時も 飲まず食わず おしっこもうんちもしなっかたぐらいの神経質なイヌである。エリザベスカラー?つけたら発狂しそう。ただの留守番でも3時間超えたら ストレスなのかお腹をこわす。
うちの子の場合、かなり上(お腹のほう)まで広がっているし、悪性度が高い癌なので 取りきれなかったらまたすぐ増殖する。

抗がん剤
 副作用で吐き気などの副作用のある子が 高確率でいる。 公表されている確率よりお医者さんの印象では多いらしい。自分の母親の抗がん剤治療を見ていた時、半端ではない辛さに見えた。そんなに効果が見込めないのだったら あのしんどさは 報われない。
ネット情報では、動物の抗がん剤の場合、人間ほど何が何でも生存完治を目指しているのではないから、私たちが抱く一般的な抗がん剤のイメージよりは副作用が少ないらしいが。
やっつける分子を特定した抗がん剤も進化していて 効くかもしれないが、かなり高額。

投薬
 炎症を抑えるステロイドやサプリメント
 その他 対症療法的な薬

そして 何もしないでそのまま 自然のままという選択もある

さあ、どうしよう

薄々 前からいずれはこういう日が来ることはわかっていたが、いざ突然来ると、パニック。
Docの説明もあまりに情報量が多すぎて 混乱した脳みそからこぼれ落ちてしまう。方針を決めなければと前のめりでドキドキしているのに時々話の内容が広がりすぎて進まなくなると気絶しそうになる。
それを予想して 娘もわざわざ大阪から付き添うために駆けつけてくれた。
2人の頭脳を補い合ってもまだこぼれていく。 次の診察には 息子もさらに加わって3人で、ああ言ってたよなあ、こう言ってたよなあと確認し合う。

とにかく その場では決められないので一旦持ち帰って家族で相談することに。ことが大きすぎて 考えることも多すぎて。。。
もち帰ったはいいが 今度は ネットで調べまくり、別の地獄へ。
病院や保険会社の広告絡みの情報が多く、「高齢で無理と言われてもあきらめないで」とか「こんなにひどくなる前に切除しましょう、今はこんなに元気に走り回れるようになりました」の例が写真付きでがたくさん出てくる。本当か? もちろんケースバイケースだけど。 お尻の膨れあがった瘤を切除してもらってすっきりした写真を見ると、つい癌は治らなかったとしても 動きやすく、排便しやすくなるのであれば、切除だけでもしてもらおうと思った。排便に支障のあるところだけ切ってもらうというのはできますかと聞いたら、お医者さんは一瞬キョトンとして、残った腫瘍がすぐ大きくなる意味がないと言われた。
手術自体に耐えられないかも。

 結局、命の長さは諦め、できるだけしんどくない方法を選択することに。

 ということで 気休めかもしれない免疫抑制剤(ステロイド)と免疫力を上げるサプリのアガリペットの2本立ての投薬で様子を見ることに。サプリは アガリクスとサメの軟骨。
 アガリクスは例の、人間用にもあるやつ。でも人間用はかなり高かったように思うが、ペット用はそうでもない。ステロイドも 炎症を抑えるのと うまくすれば抗がん剤的効果があるかもしれないらしい。
素人としては、免疫を抑制して免疫力をUPというのが理解しにくい。 下剤と下痢止め一緒に飲むようなイメージ。

その他、肛門付近に腫瘍があるから物理的に排便しにくいので、便を柔らかくする油状の薬と胃薬も。
便を柔らかくする薬は量の調整が難しい
便が硬いとしぶりがひどくなり かわいそうで、かといって薬を増やすと柔らかくなりすぎ 何回も出てしまう

投薬を始めた次の日から いきなり元気になった。早っ!
悪性というのは間違いだったのでは、と淡い期待をしてしまう。
伸びていた肛門も引き締まり、腫瘍も縮んでいる
何より、散歩の勢いがすごくなり 若い頃のように好奇心満点であちこちクンクンする。寝てばかりだったのが活動的になり 家の中をウロウロしている時間が増えた。食欲もある。お尻の位置が上がって 背が高くなったように見える。 しゃきんとした感じ。
これはいいぞ!と嬉しくなり 家族らに写真を送る。
しばらくぶりに ぐっすり眠る(自分)
そして、動物病院には 薬をもらいに行くだけでよかったのだが、よくなった様子をDocに見てもらおうと、本人(イヌ)も診察に連れて行く

そして
Doc. 喜んでいるのに気の毒ですが、薬の効き目でそうなっているだけで、がんの本体自体は先週より充実してきている 坐骨も触れなくなってきている

がっくり
でもある意味 覚悟はできていたので、以前ほどの混乱はない
もう方針もほぼ決まったので、迷いはない。
薬をもらって 帰る。

 つづく



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