得た情報は、どこの誰から来たものなのか、《でどころチェック》を心がける (大変な状況のなかでの暮らしのヒント)
今日紹介するのは、《でどころチェック》です。
最近、新型コロナ関係で、世の中の状況・動向を知り情報を得るために、以前よりも、ネット上の記事をよく見るようになったのではないでしょうか。
SNSでも、いろいろな情報が流れてきます。
そのなかには、自分に役立つものもあれば、びっくりするような内容のものも多くあります。
気をつけなければならないのは、そのすべての情報が本当に正しいわけではないということです。
なかには、とにかく多くの人に読んでもらおうと、衝撃的で目立つタイトルをつけたり、強い書き方をしたりして、歪んでしまっているものがあります。
あるいは、政治的意図や利益誘導のために、反発心や恐怖心を煽るようなものもあります。
もっともらしく見えるものが、実はフェイクニュースだということもあります。
そういうものをそのまま信じてしまうと、正しい判断ができなくなってしまいます。
また、それを周囲に広めてしまうと、他の人にも悪い影響を及ぼしてしまいます。
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そこで、自分が得た情報がどこから来たものなのかをきちんと確認し、それを踏まえて理解するようにします。
誰・どこが発信している情報なのか、そのおおもとの情報源は何なのか、ということを意識的にチェックするのです。
もしかしたら、それは事実を書いたものではなく、誰かの解釈・考えを書いたものかもしれません。
あるいは、ある特定の意図や利益をもつ団体や個人が、特殊な角度から書いたものかもしれません。
もしかしたら、誰かの想像・予想で書いているに過ぎないのかもしれません。
そういうものを事実だと思い込まないように、きちんと、どういうタイプの情報なのかを見極めるのです。
もちろん、いま挙げたような情報に、まったく価値がないとは言えません。
「こういうとき誰々はこう解釈するのか」とか、「こういう立場からはこういう発信がなされるよな」とか、「なるほどたしかにそういう面だってありそうだ」と、世の中を立体的・多面的に理解する一つの参考情報としては有用なことがあるからです。
いずれにしても、そのように活用するにしても、その情報の でどころ をチェックすることは欠かせません。
ニュース記事などを読んだときに、重要な情報であれば、政府発表や会見内容、論文など、もとの情報源にもあたるとよいでしょう。
さらに、一つのサイトで読むだけでなく、いくつかのメディアにあたって確認することも重要です。
海外からの発信は、もとの言語のソースも読むことで、翻訳上の間違いやニュアンスのズレを確かめることができます。
こうして、なるべくよりよい情報を得るように、心がけるのです。
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そうすると、怪しい情報を避けながら、よりよい情報をもとに意思決定を行うことができるようになります。
残念ながら、テレビで言われているから信じられる、新聞で書かれているから正しいだろう、とは言えない時代にあります(今に始まったことではなく、マスメディアというのは、もともとそういう面があるものなのですけれども)。
自分でしっかり情報のルーツを辿り、その情報の確からしさ・信憑性を調べる。
日頃から、このような姿勢をもつことが大切なのです。
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《でどころチェック》は、「探究パターン(創造的な探究のためのパターン・ランゲージ)」で紹介されている「情報収集」のコツです。
この「探究パターン」は、高校の探究学習の実践のコツをまとめたものです。
課題を設定し、情報を収集し、分析・考察して、まとめる。
そのような探究をしていくことを支援するパターン・ランゲージです。
いま日々私たちが行っているように、刻々と変化する状況のなかで、情報を収集し、分析し、自分(たち)なりの意思決定をしていく、ということは、「探究」活動の一種だと言うことができます。
なお、この「探究パターン」は、株式会社クリエイティブシフトと株式会社ベネッセコーポレーションの共同開発でつくられ、ベネッセコーポレーションからは、高校で用いられる『探究ナビ』という教材のなかに収録されています。
昨年は教材としてのみの提供でしたが、今年、一般の方も「探究パターン・カード」が入手できるようになりました。ぜひチェックしてみてください。