ぼーっとしたり、好きなことをする 《自分の時間》 は、自分だけのためのものではないと考え、1日のなかに 《充電タイム》 を持つ工夫をする (大変な状況のなかでの暮らしのヒント)
今日紹介するのは、《自分の時間》と《充電タイム》です。
在宅勤務や、学校が休校になり、外出自粛が続いているので、家族と家のなかで過ごす時間がほとんどです。
そうすると、何かを考えたりやったりしている途中でも、誰かが何かを言ってきたり、やらかしたりして、自分のしていることを中断せざるを得なくなります。
通勤・通学の時間や、ひとりで家で家事をしている時間、街でショッピングをしているときなど、日ごろ何気なく持てていたひとりの時間も、取りにくくなっています。
移動や外出の時間は、無駄なものだったのではなく、ひとりでぼーっとしたり、考えごとをしたりできる大切な時間だったのだと、気づかされます。
みんなでいることは幸せなことではありますが、ひとりで自分のペースで何かをしたり、ぼーっとしたり、考えごとをしたりする時間も不可欠です。
そういう時間がなくなると、自分というものがバラバラに引き裂かれているように感じられ、イライラしたり悲しくなったりしてしまいます。
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そこで、何とか自分ひとりの時間を確保し、エネルギーを充電できるように工夫をします。
例えば、自分の部屋にこもる時間をつくります。
自分が自分であるための時間を確保するのです。
日中だけでなく、早朝、早起きしてひとりの時間をつくったり、夜にひとり部屋にこもるのもよいでしょう。
好きな音楽を聴いたり、楽器を弾いたり、本を読んだり、ぼーっとしたり。
そういう趣味や好きなことをする時間は、自分を元気にしてくれます。
そういう時間を、1日10分でも20分でも持てるか否かで、大違いです。
あるいは、部屋にこもって何かをするのではなく、ひとりで散歩に出かけ、光や風を感じながら過ごすのもよいですね。
子どもがいる場合は、夫婦で、子どもをつれていく日と、ひとりで歩く日を分担するのも、ひとつの方法です。
庭の草木に水をやったり、庭仕事をするのも、ひとりになりやすいものです。
慣れている料理をする時間も、結構、頭の整理には適しています(知らない料理だと、レシピをみながら注意深くなりますが)。
単純な片付けや掃除、洗濯干し、風呂掃除なども、家族は近寄ってこないので(魅力的な作業ではないですし、手伝わされると警戒してか)、意外と一人になりやすい時間です。
こんなふうに、横槍が入らずに、好きなことをする時間や、ひとりでぼーっとしたり黙々と作業したりする時間は、精神的な落ち着きのために、とても大切な時間です。
《自分の時間》を取り、それを自分のエネルギーの《充電タイム》にするのです。
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そういう時間を持つことができると、気持ちの荒廃が和らぎ、前向きに過ごすことができるようになります。
そうなると、家族との関係・暮らしもよりよいものになるでしょう。
つまり、「自分の時間」は、「自分だけのための時間」ではないのです。
それは、「家族のためにもなる時間」なのです。
家族とよりよい関係・暮らしをしていくために、「自分の時間」を取ることが重要なのです。
そう考えれば、《自分の時間》《充電タイム》を取ることに、後ろめたさは感じなくなるでしょう。
その効果は、自分だけではなく、家族みんなが受け取るのですから。
そして、このことは自分だけに当てはまるのではなく、家族の一人ひとりにも同様です。
家族の他のメンバーが《自分の時間》《充電タイム》を取ることも認めましょう。
そうやって、1日のなかで、それぞれが《自分の時間》《充電タイム》を取れるように融通し合い、工夫していくことで、そのことからも、家族の関係性・暮らしはよりよいものになるのです。
さて、今から少し、元気を充電するとしましょうか。
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今回紹介した《自分の時間》は、『旅のことば:認知症とともによりよく生きるためのヒント』に収録されているものです。
《充電タイム》は、『園づくりのことば:保育をつなぐミドルリーダーの秘訣』に収録されています。
『旅のことば』の《自分の時間》は、認知症の方のご家族が、介護の暮らしに自分を合わせ、自分がこれまでやってきたことや趣味の時間をあきらめなければならない、ということがしばしばあります。
そういう状態が続くと、介護疲れは深刻なものになり、介護している人の心身の具合も悪くなってしまいます。
そこで、きちんと《自分の時間》も持とうというのが、このパターンがおすすめしていることです。
そういう時間を取ると、心がリフレッシュし、疲れも和らぎ、前向きに物事に向き合えるようになります。
つまり、自分だけのための時間ではないのです。
『園づくりのことば』の《充電タイム》も、同様です。
幼稚園・保育園・認定子ども園のミドルリーダー(副園長や主任など)は、園全体と担当保育者のことが気になり、いつも気を張り詰めていることになりがちです。
そのままでは、疲れ果てて具合を悪くしたり、バーンアウトしたり(燃え尽きたり)してしまう恐れがあります。
そこで、バリバリがんばるためにも、《充電タイム》をしっかりとろうというのが、このパターンです。
今の状況は、移動時間など、各自の行動の合間に生まれる「隙間」の時間もありません。
だからこそ、意識的に《自分の時間》の《充電タイム》を取る必要があるのです。