『明解 歴史総合』帝国書院
『明解 歴史総合』川手圭一ほか、帝国書院
帝国書院の『明解 歴史総合』を購入、読んでみました。
高校では2022年度から歴史総合・地理総合が共通必修となり、2024年度で3年目を迎えます。その教科書で異変がありました。ぼくたちの時代から歴史の教科書といえば山川なのですが、24年度の採択数では山川の『歴史総合 近代から現代へ』に変わって帝国書院の『明解 歴史総合』が1位となりました。
もっとも山川は進学校向けの『歴史総合 近代から現代へ』、中級の『現代の歴史総合』、分かりやすい『わたしたちの歴史』の3種類を出しており、それらを合わせると相変わらずトップですが、23年に3位だった『現代の歴史総合』も東京書籍の『新選歴史総合』に抜かれて4位に下がっています。
帝国書院も東書のも図版の多さからみると中級レベルなのかしらん?と思っていたんですが、山川の歴史総合を売上で抜いたというので、どんなものかと取り寄せてざっと読んでみたところ、やはり、物事には理由があるな、と感じました。
第1部2章の「歴史の特質と資料」がいい。資料には図説、文書、遺跡・遺構、工芸品や映像などがあるとして、文書資料を相対化しているのが素晴らしい。でも、その文書資料でも、奴隷解放よりも連邦を救うことを第一に考えていたことがわかるリンカンの手紙を紹介しているのも驚きを与えてくれますし、資料→解釈→検証・批判→歴史叙述の説明なんかも素晴らしい。
序章となる19世紀の主要プレーヤーに、ナポレオン、ヴィクトリア女王などに並んで、エジプトの近代化を進めたムハマンド・アリーを入れたり、集められた植物を品種改良してプランテーションとして移植されて植民地の拡大に影響を与えた「植物園」の説明なども素晴らしいな、と(p.42)。
「歴史に迫る」と題して見開きでフランス革命は人権宣言の理念をどこまで実現できたか?徳川幕府の対外交渉をどう評価するか?21箇条要求のどこを問題にすべきか?チェンバレンの政策の評価、黒人差別の取組にひつようなものは?という5つの見開き頁には感心しました!
あと、図版が新鮮!勉強不足なのかもしれませんが、あまり見たことがない図版が多かったです。
Amazonではバカ高いので、お手軽なメルカリで購入したんですが、明解歴史総合ノートはメルカリでも売り切れ。
山川、これは相当、頑張らないと…