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アナグラム
逆にミステリー小説をそんなに読まない者特有の考え方なのかもしれないけど。
アナグラムがトリックとか謎解きで使われるとまー、そうならないこともないけどと納得がいかない気持ちになる。
前説としての謎解きがあって、そこから導かれる法則性に基づいてダイヤルを回すように並び替えるやつは全然いい。
だけど、、何個ずらしたらいいかは全くの直感次第のやつは、完全ランダムみたいで納得がいかないよなと、学校でのお勉強はできたけど”地頭”がいい奴が羨ましくて実際にテレビ番組のIQテストとか全く解けないおれは思ってしまう。
だけど、そんな自分が”アナグラム”を少しずれたやり方だけど、好きになってしまった。
Instagramってやっていますか。
現実空間じゃ自明すぎてボケにもならない問いだろうけど、noteを読んだりするような人はわりかしやってないんじゃないかと思ってしまう。
馬鹿にしているようだったら申し訳ないけど、おれだって全くやっていなかった。でも、特にプライベートで新規の誰かと繋がろうとすればもうLINEは使わなくてInstagramだ、そこで交友関係や趣味の上等さについておれたちは審査される。
おれは友達も恋人も全くいなくて、でも欲しくなったのでInstagramを始めた。そこにIDの問題が立ちふさがった。だってnoteを書くような人間なので完全ランダムのアルファベットの羅列はいやだった。self-reference engine、necro-ware。SFに似つかわしいような英単語を使いたくて仕方なかった、それが痛々しいと分かっていても。20代中盤になって罹る2度目の中二病は進化する、多分痛々しいと自らを苛むことになれきって無痛覚になったから。
だけど、だ。
『屍者の帝国』を読まない普通の女の子にソレを伝える恥ずかしさったらなかった。
あくまでそれは、おれの実体験というだけだけど。
今更この自己顕示欲は捨てられない。普通の人らしい思い出や趣味は全く持っていないのだ、どれだけマイナーだろうと世間ずれしていようと、今自分が持つものを世界に対して主張することが出来なければ自分という人間はこの瞬間にも吹き晒されてしまう。
そこでアナグラムが助けてくれたんだ。
dajfawyfhpoyuof.
その理不尽な、法則でない法則は自分だけが知っている。
でもいつか、その並び替え方を教えたい誰かが出来たらいいなってのは人恋しすぎるけど、、、
参考資料:『わたし、二番目の彼女でいいから』(1巻)
※以下、重大なネタバレを含みます。
西条陽による日本のライトノベル。主人公・桐島くんは1番目に好きな特別な女の子・橘さんとは付き合えないから2番目に好きな女の子・早坂さんと付き合っている(早坂さんも1番目に好きなのは桐島くんの先輩、そして桐島くんの先輩は橘さんと付き合っている)。が、中盤1番目の女の子・橘さんも本当は自分を特別に思ってくれていることを桐島くんは知る。しかし高校生の自分たちにはどうしようもない経済的問題があり、寄せられるその思いを涙を飲んで桐島くんは拒む。だけどそれでも橘さんはその特別な感性で、特別な告白を桐島くんにする。そこでアナグラムが用いられる。これは私見も混じるが、橘さんは軽やかで特別な女の子である一方早坂さんはモラルを無視できない普通の女の子だということが高校生編を通底して描写されているように思う。どう見ても桐島くんを1番目に好きになってしまった早坂さんは終始かわいそうだ、けれど残酷なくらいに橘さんは桐島くんにとって特別だ。
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