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米国はAI競争に敗れたのか?
AI競争の常識がすべて覆されました。
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現在、あなたも市場に衝撃を与えたディープシーク(DeepSeek)の話題を耳にしていることでしょう。
それは金融市場に大きな影響を与え、
27日には、ハイテク株が多いナスダック総合指数は3%下落、
特にAI半導体大手のエヌビディアの株価は17%下落しました。
これは約5年ぶりの下落幅と報じられています。
暗号資産市場にも影響は及び、ビットコインは一時10万ドルを下回ることとなりました。
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上のチャートを見ればわかるように、
価格は回復傾向であり、一時的な下落であると言えるでしょう。
とはいえ、「ディープシーク・ショック」は暗号資産投資家にとっても注目するべき話題です。
では、ディープシークとは一体何なのでしょうか?
そして市場はなぜ、これほどの反応を見せたのでしょうか?
まずディープシークは中国の企業です。
この企業に注目が集まった理由は、彼らの最新のAIモデル「R1」にあります。
驚くべきことに、
このR1の性能はOpenAIなどのAI大手が開発した最先端モデルと肩を並べるレベルに達しています。
しかも、この性能を達成するのに要したのはわずか560万ドルと1年という短期間。
ChatGPTのようなモデルの開発にかかるコストと時間のほんの一部で済んでいます。
さらに、米国の半導体規制を受けている中国の企業であるため、
NVIDIA製の旧型GPUチップを使用するしかなく、
最先端チップを使用するためには、他国から調達する必要がありました。
一方の米国テック企業は、
これらの最先端チップへの制限のないアクセスを持ちながら、AIモデルの開発に数億ドルを費やしています。
そのコストは次世代AIの進化とともに数十億ドルに膨らむ見込みです。
米国企業はまた、これらの消費電力の高いデータセンターを支えるための原子力発電所の開発など、AI開発に付随する投資を計画しています。
しかし、ディープシークは、より少数の機能が低いチップでAIモデルを訓練する方法を見つけました。
さらに追い打ちをかけるように、ディープシークはAIモデルをオープンソース化しました。
つまり、研究者や開発者、ユーザーがその内部構造を確認し、モデルのコードや詳細を利用して再現することができるのです。
一方のOpenAIはその構造に対して秘密主義を貫いています。
そのため、OpenAIの立場が悪化しているのです。
特に、2023年にOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏が
「小規模なAI開発チームが1000万ドルの予算でどこまで進めるか」
と問われた際、
「OpenAIの”秘伝のタレ”には太刀打ちできない」
と語ったことが、現在では皮肉な響きを持っています。
これが27日の市場崩壊を引き起こし、AI関連の企業全体が打撃を受け、合計で1兆ドルの時価総額が消失する事態となりました。
しかし、大切なのは市場のパニックを脇に置き、未来を見据えること。
それにより、より良い視点を得ることができます。
シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト、マーク・アンドリーセン氏はこれを
「AIの”スプートニク・モーメント”」
と表現しました。
これは非常に的確だと思います。
中国のAI スプートニク・モーメント
1957年、ソ連は世界初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功しました。
米ソが宇宙開発競争を繰り広げていた当時、これによって米国の技術的優位性に対する見方は覆されました。
今、これと同じことが起きたのです。
現在のAI時代において、中国は米国の主要な地政学的・経済的ライバルです。
そして、AIの黎明期から、米国は中国に対して技術的優位性を維持しようとしてきました。
では、過去のスプートニク・モーメントで何が起きたのでしょうか?
ソ連のスプートニク打ち上げ成功は、米国に火をつけることに繋がりました。
その結果、1969年には米国が人類を月面に送り込むことに成功したのです。
私はAIにおいても同じことが起きると信じています。
この中国で巻き起こったブレークスルーはAI企業間のイノベーションを促進し、
次なる最高のAIモデルの進化へとつながるでしょう。
AI開発の今後...米国のAI企業はどう動く?
AI開発者がディープシークが採用したような新しい効率的な手法に切り替えた場合、
短期的にはエヌビディアのような現状のAIインフラ企業は多少停滞する可能性があります。
しかし、それは同時にAI開発がより速く、より良くなることを意味し、投資収益率が高まる結果をもたらします。
これまで、企業はAI開発に無限のリソースを投入してきました。
しかし実際に収益化できる製品や、
企業がコストを大幅に削減できるような製品を
生み出した企業は多くありません。
トレーニング手法の改善によってコストと時間が削減されると、
これに続いて有用なAI製品を生み出す企業がさらに登場するでしょう。
この影響の二次的な効果として、自動化技術の進歩があります。
現在、人々のほとんどはAIを単なるソフトウェアツールとして考えています。
しかし、最終目標はAIが現実世界と相互作用し、私たちの生活をより便利にすることです。
それは、自動運転車や人型ロボットといった形で現れるでしょう。
これらの応用には高度なAI頭脳が必要であり、ディープシークのようなブレークスルーはこの未来に一歩近づく助けとなります。
そして、米国は国家の性格として、技術的に後れを取ることを好みません。
したがって、このAIのさらなる発展は、防衛分野における技術の応用にもつながります。
先日の市場のパニックに動揺する必要はありません。
AI競争は決して減速していないのです。
実際、スプートニクの例では、
ソ連の衛星の打ち上げ成功は米国の宇宙競争撤退を招きませんでした。
むしろ、さらなる資金が宇宙や関連技術に投入され...
最終的には今日の多くの技術、例えばCATスキャナー、ソーラーパネル、GPS、水・空気の浄化システムなどの開発につながりました。
同様に、AI競争も新しい技術や投資機会を生み出すでしょう。
イアン・キング