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テレビ局で、テレビに関わらない仕事をする
自己紹介
はじめまして、山本由緒です。
私は新卒で日本テレビに入社し、20年間、制作現場でテレビ番組を手掛けてきた
プロデューサーです。その後、社長室新規事業部に異動をし、現在は「日テレHR」という屋号で、人材育成総合サービス事業を手掛けています。
自分自身が、プロデューサーとして常に「組織をデザインする立場」で仕事をしてきたことや、テレビ局の中で「キャリアを積む」ということに苦労した経験があることから、組織づくりや、人材育成に興味を持ち、40歳を過ぎてから、人材育成業界に飛び込みました。
テレビ番組を作るのをやめた理由〜キャリアのはなし
私の、制作プロデューサーとしてのキャリアはこのようなものです。
入社1年目 バラエティADとして「踊る!さんま御殿!!」担当
2年目〜13年目 ドラマ制作現場へ
「ごくせん」「最後の弁護人」「女王の教室」「すいか」
「喰いタン」「曲げられない女」「マイボス⭐︎マイヒーロー」
「ホカベン」「ハリ系」「ドン★キホーテ」「最悪な卒業式」
「クレオパトラな女たち」など
13年目〜20年目 情報バラエティ制作現場へ
「先輩!ROCK YOU」「ZIP!」「バゲット」など
20年目 社長室新規事業部へ
人材育成総合サービス「日テレHR」にジョイン
23年目〜現在 「日テレHR」 事業リーダー就任
こうしてみると、まあまあ「テレビの人」としてのキャリアを十分積んで、
いわゆる「中堅〜ベテラン」と呼ばれた40歳を過ぎて「異業種に転職」した、
と言っても過言ではないかなと思います。
そもそも、20年超もテレビ業界にいる人間が他業界に「転職しよう」と思ったとして、「何ができるか!?」というのは非常に大きな問題になります。
なぜなら、テレビ業界で積み上げられる経験値=スキル、というのは、とても限定的なもので、他業種でも同様の価値を持って活かせるようなものが「少ない」からです。
特にプロデューサーという職業は、テレビ番組制作に関わる様々なステークホルダー達を動かす、というものだからです。番組が地上波の放送で流れるまで、すべての工程において、プロデューサーは常に「人」と関わっています。相談や交渉を繰り返しながら舵取りをしていきます。
では、テレビ番組にはどんな「人」が関わっているのでしょうか。
ざっと挙げてみます。
【社外の人】
・タレント、俳優
・タレント、俳優が所属する事務所の人
・作家(原作者、脚本家、構成作家)
・作曲家
・デザイナー
・制作スタッフ(演出補、プロデューサー補、撮影技術スタッフ、美術スタッフ、編集技術スタッフ、車両ドライバー、ロケーションサービス)
・演出協力(法律アドバイス、医療アドバイスなど)
・宣伝スタッフ(番組PR、グッズ展開など)
・スポンサー各社
・広告代理店
【社内の人】
・編成部門
・広報部門
・営業部門
・番組制作部門
・法務部門
・技術部門
・海外セールス部門
・ネットワーク部門
おそらく、ざっと数えて200人近くではないかと思います。
そして、この「200人の中心」に居るのが、「プロデューサー」になります。
プロデューサーは、まさに「ハブ」であり「歯車の軸」であり「エンジン」ともいえる存在です。どんなタレントに出てもらうのか、どんな企画を形にするのか、誰が撮影してくれるのか・・・何もない更地に「人を集める」ことから始まります。
出演して欲しい俳優に手紙を書いたこともありました
一世一代のプレゼンをしても、あっさり脚本家にフラれたり
そもそも、企画を通すため何日も徹夜して企画書を作ってプレゼンしました
「お願いします」と頭を下げて、握手して、やっとチームができるのです。
そして番組作りが始まると、次々と起こるトラブル・・・
その度に、営業経由でスポンサーと会話したり、法務に相談したり、タレント事務所に交渉したり、警察に説明に行ったり、原作者に説明に行ったり・・・
すべて「プロデューサー」の仕事です。
そんなプロデューサーが身に付けられる、最も強力なスキル。
それは・・・コミュニケーションスキル、ではありません。
相手が本心で何を欲しているのか会話の中で汲み取る
サーチ能力、です。
人は、本音では生きていません。
口に出す言葉は、本音から生み出された「かりそめの言葉のつらなり」です
正しく言語化できる人、なんてほとんどいません。
交渉を重ねるプロデューサーは、まさに、この「汲み取る力」が
抜群に磨かれていくのです。
そして、全体の利益を追求するために、人を「言葉で」引っ張っていく。
ですが。
この「汲み取る力」を、転職時にアピールしたとしましょう。
価値がありそうに見えますか??
次回は、プロデューサーと、市場の評価について。
という話をしていきます。