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Vol1.面接は信じられない?

なぜ書くか

様々な情報が飛び交う現代において重要になる中、日本に住む約1億人にはグローバルでの最新の取り組みやトレンドを学ぶ機会が多くありません。Every Inc.では「HRからパフォーマンスとワクワクを」というビジョンを掲げ、グローバルな取組みやアカデミックな文献から面接に関する歴史、取組み、事例など”日本なら”ではなく、”グローバルスタンダード”な情報を提供しています。


面接は信じられるものなのか?

こんにちは、株式会社Everyの松澤です。世界の人事の「今」をお届けする”世界のHRから”。このメルマガでは、アカデミックな視点で「面接」というものの構造や特性について解説をしていきます。


人を採用する際の手段として、「面接」という手段は一般的です。一方で、なぜ「面接」が主たる方法なのか?という事に疑問を抱きました。スポーツ選手であればトライアウトのような「模擬試験」があるわけですが、ビジネスの環境においては「会話(面接)」によって人を評価していく。この「当たり前」はなぜなのか?をこのブログで探ってまいります。


そもそも、面接という手法がどの程度の信頼性を持った手法なのかを調査した研究データがあります。「どんな選考が最も信頼できるのか?」という問いに基づき、入社後の評価と選考の評価の相関性を示しています。

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出所元:Schmidt, F. L., & Hunter, J. E. (1998). The validity and utility of selection methods in personnel psychology:

その結果、Work Samples(インターン・使用期間中の業務成績)が最も信頼できる、すなわち「模擬試験」が最も信頼できるという事が明らかになったのです

ちなみに、“Cognitive Ability Tests”は日本で言うと学力検査・能力検査とに近しいもので数値的推論、口頭での推論、論理的推論、機械的推論、空間認識などを測定するもの。

"Integrity tests"は、ある特定の状況に対する回答を続ける事によって候補者の矛盾や誠実性を測定する試験です。

"Personality Tests(Conscientiousness)"は、「Big Five factors」と呼ばれる心理学理論の中の「Conscientiousness」にフォーカスして評価をつけるテストです。従って、日本でよく利用されている適性検査は、これらのTestをごちゃ混ぜにした物という風に捉えて頂くのがイメージと近いかもしれません。

Structured Interviews(構造化面接)とUnstructured Interviews(非構造化面接)

では、面接はどうでしょうか?Structured Interviews(構造化面接)とUnstructured Interviews(非構造化面接)という2つがある事がわかると思います。

「非構造化面接」とは、①評価したい能力が曖昧であり、②評価の基準が曖昧であり、③属人的に会話し、④属人的に評価をつけてもらうという面接手法です。すなわち、一言でいうと「標準化されていない面接」になります。

一方で、構造化面接とは、以下の4つの特性があります。

①評価したい能力が明確であり
②評価の基準が具体的であり
③標準化された質問に基づいて質問し
④言語化された評価基準に基づいて評価をつけてもらう


富士山をどう動かしますか?

「ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?」など一見変わった質問を繰り出すことが本当に優秀な方を見抜くための手法であると言及されることもあります。それ以外にもブレインティーザー(水平思考力のパズル、フェルミ推定、少し複雑なケーススタディ問題、そして実行パズル、など)も有名な手法です。

一方で、Googleの元シニアバイス・プレジデントであるLaszlo Bockは様々な手法の信頼性を検証した結果を以下の様に発表しました。

Q. あなたがすでに行った研究からわかったことは?
A.採用側では、ブレインティーザー(水平思考力のパズル、フェルミ推定、少し複雑なケーススタディ問題、そして実行パズル、など)は完全に時間の無駄であることがわかりました。飛行機にいくつのゴルフボールを入れることができますか?マンハッタンにはガソリンスタンドがいくつありますか?時間の完全な無駄。彼らは何も予測しません。それらは主にインタビュアーを賢く感じさせるのに役立ちます。
代わりに、うまく機能するのは構造化された行動面接です。ここでは、各面接官にただ物事を構成させるのではなく、人々を評価する方法について一貫したルールブックがあります。つまり、誰かに仮説を立てるのではなく、「分析的に難しい問題を解決したときの例を教えてください」などの質問から始めます。行動面接の面白いところは、誰かに自分の経験を話してもらい、それを掘り下げると、2種類の情報が得られることです。1つは、実際の状況で彼らが実際にどのように相互作用したかを確認することです。候補者について取得する貴重な「メタ」情報は、彼らが難しいと考えていることの感覚です。

Q. Googleの従業員について収集したデータからの他の洞察はありますか?
A.すべてのデータ処理からわかったことの1つは、GPAは採用の基準として価値がなく、テストのスコアも価値がないということです。わずかな相関関係がある新卒者を除いて、まったく相関関係はありません。Googleは有名なことに、成績証明書、GPA、テストのスコアを全員に求めていましたが、学校を卒業して数年しか経っていない限り、今はそうしていません。彼らは何も予測していないことがわかりました。

This interview with Laszlo Bock, senior vice president of people operations at Google(2013年)

応募者の話しやすさ・マッチングを重視する面接

また、良い面接の定義に「応募者が話しやすい」という側面もあります。もちろんこれは重要ですが、それは「動機付けるための手法」であって、「正しく評価する手法」ではないという事を整理して理解しなくてはいけません。

入社後のパフォーマンスを高い精度で予測できているか、が本質的には企業や人事の目線として大事です。なぜならば、入社後の活躍がゴールだからです。自社の面接は構造化面接ができているか(上記の4つが満たされているか)、是非振り返ってみてください。

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<その他参考情報>

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著者:松澤 勝充

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神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事

2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発した3カ月プログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶEvery HR Academy (HRBP養成講座)を展開している。

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