見出し画像

Change Agent(組織変革者)としてのHR⑤「動機づけの応用」

第四話のあらすじ

これまでの物語では、営業部の成績低迷をきっかけに、HR部門主任・篠崎瑞穂が中心となり組織内の課題に向き合ってきた。初めは個人間の摩擦や部門内の対立が表面化する中、瑞穂の冷静な分析と介入によって、メンバーそれぞれが成長の糸口を掴む。特に営業部の若手エース・佐藤健太は、一度は自信を失いかけながらも、チームの協力と成功体験を通じて自己効力感を取り戻した。

第三話では、部門間のコラボレーションをテーマにしたプロジェクトが立ち上がり、佐藤が初めてリーダーに抜擢される。新しい役割に挑む彼は、データ重視のマーケティング部主任・吉村と、現場感覚を重視する営業部の田辺との間で生じる意見の対立に直面。瑞穂の指導や自らの努力を通じて、両者の強みを活かした解決策を模索し、プロジェクトを前進させた。

そして第四話。プロジェクトの進行が本格化する中、佐藤はさらにリーダーシップを問われる場面に直面する。戦略の実行フェーズでは、部門間の連携やメンバー同士の役割調整に新たな課題が浮かび上がる。計画と現場対応のバランス、リーダーとしての決断力、そして動機づけ理論を活用したチームのモチベーション管理。瑞穂のサポートを受けながら、佐藤はリーダーとしてどのように挑戦を乗り越えるのか――。

組織行動学の知見を基に、個人の成長とチームの変化が織りなす物語が、いよいよ佳境を迎える。

登場人物

篠崎 瑞穂(しのざき みずほ)
32歳。HR部門の主任。組織行動学を実践的に活用し、社員の成長を支援している。動機づけ理論の応用を通じてチームを成功に導こうとしている。

佐藤 健太(さとう けんた)
27歳。営業部の若手エース。前章で自信を取り戻し、初めてプロジェクトリーダーに任命される。

中村 奈緒(なかむら なお)
45歳。営業部の課長。佐藤の成長を見守りながら、チーム全体の成果を支える。

田辺 翔太(たなべ しょうた)
25歳。営業部の若手社員。情熱的で柔軟な発想を持つが、時に計画性に欠ける部分もある。

矢島 薫(やじま かおる)
29歳。営業部の中堅社員。冷静かつ計画的な性格がチームの安定性を支えるが、新しい方法には慎重になる。

吉村 直人(よしむら なおと)
30歳。マーケティング部の主任。データ分析に長け、プロジェクトに戦略的な視点をもたらす。

高橋 紗英(たかはし さえ)
40歳。経営企画部のディレクター。部門間プロジェクトの推進役として、組織全体の成果向上に取り組む。


第1章:プロジェクトの始動


営業部の業績が復調し始めたタイミングで、経営企画部の高橋紗英がHR部の瑞穂を訪ねた。

「瑞穂さん、営業部の変化が素晴らしいですね。この勢いを活かして、マーケティング部との連携プロジェクトを進めたいんです。」

高橋は新規顧客の獲得と既存顧客の維持を目的としたクロスファンクショナルプロジェクトの立ち上げを提案した。リーダーには佐藤健太が抜擢された。

瑞穂は少し迷いながらも答えた。「彼にとって挑戦的な役割ですが、これを機にさらに成長するはずです。しっかりサポートします。」


第2章:最初の会議


キックオフミーティングで、高橋がプロジェクトの目標を説明した後、佐藤が初めてリーダーとして挨拶をした。

「今回リーダーを務める佐藤です。初めての役割で緊張していますが、皆さんと協力して最高の成果を目指します。」

彼の謙虚で率直な言葉がチームの緊張を和らげた。

瑞穂は続けて話した。「このプロジェクトでは、皆さんの強みを最大限に活かしていきましょう。意見の対立は成長の機会です。一緒に乗り越えましょう。」

第3章:対立の始まり


緊張感の高まる会議

プロジェクトが始動してから2週間後、営業部とマーケティング部の間で意見の対立が浮き彫りになり始めた。プロジェクトの主な課題である「新規顧客獲得戦略」に関して、吉村が提案したデータ主導型の戦略が、現場感覚を重視する田辺の反発を招いたのだ。

「このデータは、新規顧客が求める傾向を完全に示しているんです。これを基に戦略を構築すれば効率的なアプローチが可能です。」吉村はスクリーンに映し出されたグラフを指し示しながら説明した。

田辺は苛立った様子で腕を組んだ。「理論は分かります。でも、実際の現場ではこんなデータ通りに動く顧客ばかりじゃない。柔軟に対応できる余地を残さないと、失敗しますよ。」

会議室の空気が一気に張り詰める。矢島が手元の資料を眺めながら、静かに口を開いた。「田辺君、柔軟性は確かに大事。でも全体の計画が曖昧だと、後で全員が困るんじゃないかな?」

矢島の冷静な一言で、さらに微妙な空気が漂った。


リーダーとしての介入

緊張感が高まる中、佐藤は深呼吸をし、意を決して発言した。「皆さん、一度落ち着きましょう。それぞれの意見に強みがあると思います。吉村さんのデータ分析は全体の方向性を示すには不可欠ですし、田辺君の柔軟な対応力も現場では重要です。」

彼はスクリーンに映るデータを指さしながら続けた。「この戦略をベースに、現場での対応余地を広げる形で進めるのはどうでしょうか?まず、試験的に取り組んでみて、その結果をもとに調整するのが良いと思います。」

会議室は一瞬静まり返った後、瑞穂が口を開いた。「佐藤さん、それは素晴らしい提案ですね。それぞれの強みを活かしながら進める方法を模索する姿勢が、チームの成功に繋がるはずです。」

吉村と田辺も不満そうな表情を収め、頷いた。「とりあえずやってみましょう。」田辺が小さくつぶやいた。


背景にある不安

会議後、瑞穂は田辺を呼び止めた。「田辺君、今日の会議で少し苛立っていたように見えましたが、何か気になっていることはありますか?」

田辺は少し躊躇いながら答えた。「現場にいると、データだけでは解決できない問題が多いんです。柔軟に対応したいと思うんですが、計画に縛られると動きにくくて……。」

瑞穂は優しく頷きながら言った。「その気持ちはよく分かります。でも、全体の計画がなければ、他のメンバーが混乱する可能性もあります。計画と現場対応のバランスを一緒に考えていきましょう。」

同じ頃、佐藤も吉村と話していた。「吉村さん、データ分析は素晴らしいですが、現場の視点ももう少し取り入れる余地を作りませんか?田辺君が感じているのは、現場での即時対応の難しさだと思います。」

吉村は真剣な表情で考え込み、答えた。「分かりました。彼の意見も踏まえて、次回の戦略を調整します。」


第4章:中盤の葛藤


実行フェーズの困難

プロジェクトの中盤、具体的な戦略を実行に移すフェーズに入ったが、新たな課題が浮上した。田辺がある顧客との商談中に、計画にはなかった提案を即興で行った結果、別のメンバーが準備した資料が役立たなくなってしまった。

「なんで計画外のことを勝手にやるんだ!」矢島は苛立ちを抑えられず、田辺を非難した。

「計画通りにやってたら顧客を失っていたかもしれないんだ!」田辺も感情をむき出しにして反論する。

その場に居合わせた佐藤は、二人の間に立ち、深呼吸をした後で話し始めた。「二人とも、その意見はどちらも間違っていないよ。田辺君の柔軟性が顧客に好印象を与えたのは確かだ。ただ、次回は矢島さんの計画を踏まえた上で行動しよう。」


チームの再調整

その日の夜、瑞穂は佐藤にメールを送った。「今日の対応、お疲れ様でした。リーダーとして大変だったと思いますが、適切な調整をしたと思います。」

佐藤は返信を打ちながら、リーダーとしての責任の重さを改めて感じていた。「ありがとうございます。まだまだ未熟ですが、みんなの力を引き出せるよう頑張ります。」

その後、佐藤は改めてチーム全員に次のような方針を示した。「これからは、計画通りに進めることを基本としつつ、柔軟な対応が必要な場合は事前に共有して、全員で調整する仕組みを作りましょう。」


第5章:成果と信頼


成果の兆し

プロジェクトが終盤に差し掛かる中、少しずつ成果が見え始めた。営業部とマーケティング部が連携し、ターゲット顧客に適切なアプローチを行った結果、新規顧客の契約率が大幅に上昇した。顧客からのフィードバックも良好で、対応のスピードや提案内容が評価された。

「新規顧客へのアプローチに改善が見られる。マーケティングデータを基にした戦略が、現場で実を結び始めている。」報告会で吉村がそう述べると、田辺が続けた。

「現場での柔軟な対応も重要な役割を果たしました。この2つのバランスが成功の鍵ですね。」

その発言にチームメンバー全員が頷いた。対立を乗り越えた結果、チーム全体が一つにまとまり、相乗効果を生み出していた。


新たな信頼の構築

チーム内の関係性も変化していた。田辺と矢島は以前のような衝突を見せることなく、互いの役割を尊重し合う姿勢を見せていた。ある日、田辺が矢島に声をかけた。

「矢島さん、次回の提案資料、少し修正したいんだけど、相談に乗ってもらえますか?」

矢島は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに微笑んで答えた。「もちろん。田辺君の現場感覚には学ぶところが多いよ。一緒に作り直そう。」

その光景を見た佐藤は、リーダーとしての手応えを感じた。「対立が協力に変わる瞬間を作れたのは、チーム全体の努力の成果だ。」


最終プレゼンテーション

プロジェクトの成果を経営陣に報告する日が訪れた。会議室には社長や役員が集まり、佐藤は緊張した面持ちで壇上に立った。

「今回のプロジェクトでは、新規顧客獲得率が30%向上し、既存顧客の維持率も15%改善しました。」佐藤はスライドを操作しながら、具体的なデータと成功要因を説明した。

「特に成果を上げたポイントは、マーケティングデータを基にした戦略の明確化と、それを現場で柔軟に適用したアプローチです。また、チーム内の連携を深めることが結果に直結しました。」

プレゼンが終わると、社長が満足そうに頷いた。「素晴らしい成果だね。このプロジェクトの成功は、会社全体にとって非常に価値のあるものだ。」


メンバーへの感謝

プレゼンが終わり、プロジェクトメンバーだけの打ち上げが行われた。佐藤は乾杯の音頭を取り、メンバー一人ひとりに感謝の言葉を伝えた。

「田辺君、君の柔軟な対応が顧客に好印象を与えました。ありがとう。」

「矢島さん、あなたの計画性がチーム全体を支えました。助かりました。」

「吉村さん、あなたのデータ分析が、私たちの戦略を大きく前進させました。お疲れ様でした。」

その場にいた瑞穂は、佐藤の成長した姿に目を細めた。「彼はリーダーとして、自分の役割だけでなく、チーム全体の力を引き出す術を身に付けた。」心の中でそうつぶやいた。


瑞穂との対話

数日後、瑞穂は佐藤を個別に呼び出し、今回のプロジェクトを振り返る場を設けた。

「佐藤さん、本当にお疲れ様でした。リーダーとして、見事にプロジェクトを成功に導きましたね。」

佐藤は少し照れた様子で答えた。「まだまだ未熟なところも多かったです。でも、メンバーが支えてくれたおかげでここまで来られました。」

瑞穂は微笑んで頷いた。「それこそがリーダーの資質です。一人で何でもやろうとせず、周りを信頼して任せること。それが今回、あなたが学んだことではないでしょうか?」

佐藤は深く頷いた。「はい。これからもチームの力を信じて、成長していきたいと思います。」

瑞穂は励ますように言った。「次はもっと大きな挑戦が待っています。自信を持って進んでくださいね。」


新たな挑戦への準備

プロジェクト成功の報告を受けた経営陣から、佐藤に新たな任務が与えられた。それは、全社的な営業戦略の改革プロジェクトだった。

「今度はさらに規模の大きなプロジェクトになります。ですが、今回の経験を活かせば、きっと乗り越えられるはずです。」瑞穂の言葉に、佐藤は静かに決意を固めた。

第6章:成功の余韻と新たな挑戦


成果を振り返る会議

プロジェクトが無事に終了し、全社的な成果報告会が開かれた。営業部、マーケティング部、経営企画部、HR部の主要メンバーが一堂に会し、プロジェクトチームの努力と成果を称える場となった。

壇上に立った佐藤健太は、緊張した面持ちで話し始めた。「今回のプロジェクトでは、新規顧客の獲得率が30%向上し、既存顧客の維持率も15%改善することができました。」

彼はスクリーンに表示されたグラフを指しながら続けた。「これらの成果は、チーム全員の連携と努力があったからこそ実現できたものです。」

報告会を見守る経営陣の表情には満足感が漂っていた。社長が発言を求められると、席を立ちこう述べた。「素晴らしい成果です。今回の成功は、我々全体にとって大きな意味があります。特にリーダーとしてチームをまとめ上げた佐藤君の成長には驚かされました。」

会場から拍手が湧き起こり、佐藤は少し照れた表情を浮かべながらも深々と頭を下げた。


メンバーそれぞれの声

報告会の後、プロジェクトメンバーだけで成果を振り返るミーティングが開かれた。瑞穂がファシリテーターとして進行を務め、全員がリラックスした雰囲気の中で意見を交換した。

「正直なところ、最初は本当にどうなることかと思いました。」田辺が笑いながら振り返った。「でも、みんなが互いにフォローし合ううちに、自然とまとまっていった気がします。」

矢島が頷きながら続けた。「僕も最初は田辺君の自由な行動に少し困惑していたけど、その柔軟性が結果を出した場面も多かったね。」

吉村も静かに微笑みを浮かべて口を開いた。「データ主導のアプローチだけではなく、現場の感覚を取り入れる重要性を学び

ました。田辺君や矢島君のおかげで、自分の考えを柔軟にする必要があると感じました。」

佐藤はメンバーの発言を聞きながら静かに頷いた。そして、全員の意見が出揃ったところで口を開いた。

「皆さん、今回のプロジェクトを通じて、チームとしての力を改めて実感しました。それぞれが持っている強みを発揮し、協力し合った結果がこの成果に繋がったと思います。」

メンバーは笑顔で頷き合いながら、今回の成功の余韻を共有していた。


瑞穂からのフィードバック

プロジェクト終了後、瑞穂は佐藤を個別に呼び出してフィードバックを行った。

「佐藤さん、本当にお疲れ様でした。あなたのリーダーシップが、チームを成功に導いたことは間違いありません。」

佐藤は少し謙遜しながら答えた。「ありがとうございます。でも、皆さんのサポートがあったからこそです。僕一人ではここまで来られなかったと思います。」

瑞穂は微笑みながら言った。「確かに、チーム全員の力があったからこそです。でも、そのチームの力を引き出す役割を果たしたのは、間違いなくあなたです。この経験を活かして、次はもっと大きな挑戦に挑んでください。」

佐藤は真剣な表情で頷き、「はい、これからも努力を続けます。」と答えた。その言葉には、確固たる決意が込められていた。


新たな挑戦への道筋

報告会の翌週、経営陣から新たなプロジェクトの打診があった。それは、全社的な営業戦略の見直しを目的とした大規模なプロジェクトであり、これまで以上に部門間の連携が求められるものだった。

「佐藤君、次はこのプロジェクトをリードしてほしい。」社長が直接声をかけてきた。

佐藤は驚きつつも、静かにその提案を受け止めた。「はい、ぜひ挑戦させてください。」

瑞穂もその場に同席しており、佐藤の表情を見ながら心の中でこう思った。「彼はもう、かつてのように自信を失ったエースではない。組織全体を引っ張るリーダーに成長している。」


チームとの再結束

新たなプロジェクトの準備に入る中、佐藤はプロジェクトの中心メンバーに田辺、矢島、吉村の3人を再び指名した。

「またこのメンバーで挑めるなんて嬉しいですね。」田辺が笑顔で言うと、矢島も冗談めかして返した。「次も勝手に計画を変えないでくれよ。」

吉村は笑いながら「またみんなで一緒に成果を出しましょう。」と答えた。

チームの雰囲気は最初のプロジェクトとは違い、すでに信頼と協力の土台が築かれていた。


学術的な要点:第6章「成功の余韻と新たな挑戦」


1. 変革型リーダーシップ(Transformational Leadership)

概要: 部下の成長を促し、組織全体の目標達成に導くリーダーシップスタイル。
応用: 佐藤は個々のメンバーの強みを活かし、プロジェクトを成功に導いた。


2. チームの心理的安全性(Edmondson, 1999)

概要: チーム内で意見を自由に共有できる環境が、創造性と成果を向上させる。
応用: 対立を建設的な議論に変え、安心して協力し合える環境を整えた。


3. フィードバック理論(Kluger & DeNisi, 1996)

概要: 成果に基づくフィードバックが、個人とチームのモチベーションを向上させる。
応用: 瑞穂がプロジェクト後のフィードバックを通じて、佐藤の成長をさらに促進。


4. 社会的交換理論(Blau, 1964)

概要: 信頼と貢献の積み重ねが、組織内の連携を強化する。
応用: チームメンバー間の信頼が、次のプロジェクトへの再結束を可能にした。


組織行動学における「動機づけの応用」

動機づけの応用(Motivation Application)は、動機づけ理論を実際の職場や組織運営に適用し、従業員のパフォーマンスや満足度、エンゲージメントを向上させる具体的な方法論を指します。動機づけの基礎理論を理解したうえで、組織の状況に応じた実践的アプローチを採用することが重要です。


1. 動機づけの応用方法

1.1 目標管理とモニタリング

  • 目標による管理(MBO: Management by Objectives)

    • 個人やチーム、組織の目標を一致させ、定期的に進捗を確認する方法。

    • 理論: 目標設定理論(Goal-Setting Theory, Locke & Latham, 1990)。

    • 特徴:

      1. 明確で達成可能な目標を設定する。

      2. 進捗を定期的に評価し、フィードバックを提供する。

      3. 目標達成の成功を認知する。

    • 実例: 営業チームが月間売上目標を設定し、毎週の進捗確認を行うことで、個々のメンバーが明確な方向性を持って行動できる。


1.2 報酬と認知

  • 動機づけ・衛生理論(Herzberg, 1959)の応用

    • 不満を防ぐための衛生要因(給与、労働条件)を整備し、やりがいを高める動機づけ要因(達成感、認知)を提供する。

  • 実践方法:

    • 金銭的報酬: 業績に応じたボーナスやインセンティブを提供。

    • 非金銭的報酬: 表彰や感謝のメッセージを通じて、貢献を認める。

  • 実例: 毎月優れたパフォーマンスを発揮した従業員を表彰する「社員賞」制度。


1.3 職務再設計

  • 職務充実(Job Enrichment)

    • 仕事の範囲や責任を広げることで、やりがいを向上させる方法。

    • 理論: ハックマンとオルダムの職務特性モデル(Job Characteristics Model, 1976):

      • スキル多様性: 多様なスキルを活用できる業務を提供する。

      • タスクの重要性: 業務が他者や組織に与える影響を理解させる。

      • 自律性: 自分で意思決定できる範囲を拡大する。

      • フィードバック: 業績に対する具体的なフィードバックを提供する。

  • 実例: エンジニアに新しいプロジェクトでリーダーシップを発揮する機会を与える。


1.4 動機づけに基づく研修・開発プログラム

  • 自己効力感理論(Self-Efficacy Theory, Bandura, 1977)の応用

    • 従業員に小さな成功体験を積ませ、自己効力感を高める研修プログラムを提供。

    • 例: スキルアップのための段階的な目標設定と、トレーナーからのポジティブなフィードバックを行う。


1.5 フレキシブルな働き方の導入

  • 自己決定理論(Self-Determination Theory, Deci & Ryan, 1985)の応用

    • 従業員が自律的に働ける環境を提供することで、内発的動機を高める。

  • 実践方法:

    • リモートワークやフレックスタイム制度を導入し、従業員が働き方を選べるようにする。

  • 実例: ワークライフバランスを重視した柔軟な勤務形態の提供。


2. 応用がもたらす効果

2.1 パフォーマンスの向上

  • 明確な目標設定とフィードバックにより、従業員が目標達成に向けて集中しやすくなる。

2.2 エンゲージメントの向上

  • 内発的動機を高める施策を通じて、従業員の仕事への没頭感や満足度が向上。

2.3 離職率の低下

  • 従業員の価値観やニーズに応じた報酬と職務再設計を行うことで、組織への愛着が強まる。

2.4 チームワークの改善

  • チーム全体で目標や価値観を共有することで、連帯感や協力意識が高まる。


まとめ

動機づけの応用は、組織の目標を達成するうえで極めて重要です。従業員の欲求や価値観を理解し、個別に適切な施策を採用することで、パフォーマンスの向上やエンゲージメントの強化が可能となります。組織の持続的な成長のためには、動機づけの基礎理論を柔軟に活用し、現実の状況に適した応用を行うことが鍵となります。


※上記のブログは以下参考書と自社独自プログラムを元に、著者がAIツールを用いて作成・編集・再作成したフィクションです。

ピープルマネージャーのためのChange Agent養成講座

https://every-co.com/services/workshop/change-agent/

最後まで読んでいただき有難うございました。

著者:松澤 勝充

神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事

2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発したプログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶEvery HR Academyを展開している。

保有資格:
・SHRM-SCP(SHRM)
・Senior Professional in Human Resources – International (HRCI)
・Global Professional in Human Resources (HRCI)
・The Science of Happiness(UC Berkeley)、他

いいなと思ったら応援しよう!

【Fun with HR】HRをHackするMasaのnote
頂戴したサポートでHRプロフェッショナルを目指す人々が学び続ける環境・場所・情報を作りたいと考えております。少しのサポートで活動が継続できます。大変ありがたいです。