宇宙の終わらせ方
私はもっぱら、考え事というのは湯舟の中でする。
ゆったりと湯に浸かり、思いついたことを口ずさんでみたり、結露したタイル壁に書き起こしてみたりしてなんとなく考えをまとめる。
で、こないだ久々に宇宙について考えた。
宇宙は、広い。
そんでもって、私は小さい。どうしようもなく。
私たちは宇宙の片隅も片隅、超ド田舎に住んでいる。私が宇宙の果てを見るより先に、人生は終わってしまうだろう。
浅草氏もこう言っている
(大童 澄瞳『映像研には手を出すな!』より)
今までに何度も何度も考えたそんなことを改めて考えていると、だんだんとむかついてきた。
宇宙、広すぎ。
むかついてきたので、宇宙の終わらせ方について調べてみることにした。
果てを見れないくらいだったらおれの手で終わらせてやろう。
すでに「宇宙」がゲシュタルト崩壊してきたので、適当に言い方を変えながら書く。
◆うちゅ~の終わり方
とりあえずググってみる前に、私の知ってる限りの知識を書き起こしてみる。
たしか、うちゅうは「ビッグクランチ」とか「熱的死」によって終焉を迎える、みたいなことをどっかで読んだ記憶がある。
「ビッグクランチ」っていうのは「ビッグバン」の逆のことだったと思う。つまり、ビッグバンは「✨宇宙✨の膨張」についての話だがビッグクランチは逆で、「🌟宇宙の縮小」。現在の宇宙はずっと膨らみ続けてるんだけど、ある一定の段階を超えると急激にしぼみ出し、おれたち潰れちゃうよ、とそういうわけだ。
「熱的死」は……なんだったっけね。
まあ、これ以上考えてもたぶん出てこないので、ググってみる。
Wikipedia『宇宙と終焉』のページより(2020/08/29)
Wikipediaをどこまで信用していいのかという議論はここではしない。ともかく、私の記憶はおおよそ正しかったようだ。
ウチューは、
膨張して終わる
か
収縮して終わる
かの二択に大きく分けられるらしい。
前者が「熱的死」、後者が「ビッグクランチ」だ。
どっちの終わり方でうちゅうが終わったらかっこいいだろう。
個人的には「ビッグクランチ」って、文字面がちょっとアホっぽくて好きではない。
『ドラえもん』に出てくるひみつ道具で、光を当てるとものを小さくする「スモールライト」という道具があるが、逆に大きくなるやつはなんなんだろう?とわくわくしていたところに「ビッグライト」が来たときの
「そ、それは安直すぎ~~~!!!」
感と似ている。
なので、私は「熱的死」によってUCHUUを終わらせてみたい。
◆エントロピーは美味しい。
熱的死というのは、宇宙のエントロピーが最大となる状態のことを指す。
⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇⁇
エントロピー? ああ……柔らかくて……おいしいよね。
普段エントロピーに触れない生活をしている人には何がなんだかわからないと思うので、順を追って説明しよう。
つっても、私も専門分野でもなんでもないし、間違ってるところがあるかもしれない。細かいところは専門のひとに訊いてほしい。
エントロピーというのは、簡単に言うと「ものがどれだけ散らばってるか」を指した言葉だ。
たとえば熱いものと冷たいものがくっついていてそれがぬるくなると、「エントロピーが増えた」といえる。この場合散らばったものは温度であり、厳密にいうと分子だ。
「片付いていた部屋をめちゃ散らかす」というのがエントロピー増大のイメージに近い。私の部屋も今エントロピーが増大している。
だから、「熱的死」における「宇☆宙のエントロピーが最大になる」というのは、
「宇宙☆彡がめちゃくちゃ散らばる」
ということを示しているのだ。
宇宙~その真名をソラと呼ぶ~はお片付けがヘタなのである。
◆うちゅうちゃんはお片付けしたくてもできない
で、「宇宙がめちゃくちゃ散らばる」って、いや結局それってどういうことなのよ。とみなさんは思うだろう。
それを語るための大事な前提として、「宇宙は膨張し続けている」という観測的事実がある。
つまり、ウ于ウ由は今この瞬間にもすさまじいスピードで広がり続けているのだ。
膨らんでいく風船をイメージしたらわかりやすいだろう。地球はそのほぼ真ん中にある。
で。「宇宙が膨張する」ということと「宇宙が散らばる」ってことに何の関係性があるんだ、とみなさんは思うだろう。
大いにある。
たとえば、よく伸びるゴム紐の真ん中あたりにマーカーペンで黒い点を描き込む。
そのゴム紐を引っ張ってやると、ゴム紐が伸びると同時に、端から黒点までの距離も大きくなるはずだ。
膨張する宇宙もそれと同じで、膨張するにつれて星はどんどん宇宙の果て🚂の方向へと遠ざかっていくことになる。
すなわち宇宙は、もとは狭いところでぎゅっと星とかガスとかが集まっていたところから、どんどん互いに離れていっているのだ。
密から疎。
ソーシャルディスタンスである。
宇宙ちゃんは、もはやぎゅっと星たちをひとところにまとめて密にするには不可能なほど膨張してしまっているのだ。
「熱的死」というのはざっくりいうとそのような状態のことを指す。
すなわち、「散らばりすぎてもはや何もすることができなくなってしまう」という状態のことだ。
これを我々人間は、「宇宙の終わり方」のひとつとして考えている。
らしい。
たぶん。
◆で、†宇宙†の終わらせ方は?
本題はここからである。
「‡宇宙‡の終わり方」はわかった。
でも、今回考えたいのは「🦢宇宙🦢の終わらせ方」である。
私たち人間が「熱的死」を引き起こすにはどうしたらいいのか。
……………………。
………………………………………………。
そんな方法はない。
ねこちゃんといっしょにうちゅうを眺めて「チッ……ちょっと見ない間に大きくなりやがって…… あんま俺から、離れんじゃねぇぞ」と呟くくらいしか、我々にはできることはない。
まあ、知ってたけどね。
おわり
(人間が熱的死を引き起こす方法をご存じの方がいらっしゃれば連絡ください その前に宇宙はあなたの手によって滅ぼされているかもしれないが……)
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