あなたの英語力は、資格やスコアだけで決まるわけじゃない
日本では、多くの人が何かしらの英語の資格試験を受けたことがあるのではないでしょうか。
中学生や高校生のときに英検を受験された人も多いと思いますし、大学生や社会人になってからTOEICを受験される人も多いですよね。
留学経験者や医療系のお仕事をされている方だと、TOEFLやIELTSを受験されたことがあるかもしれませんね。
資格試験というは、語学力の特定の能力を判断する基準になりますし、積極的に受験してもいいと思いますが、資格試験を受けること自体がゴールになってしまっていたり、資格を持っているかどうかでその人の能力を判断してしまっていたりする個人や企業も多いように感じます。
特に日本では…
「TOEIC700点以上取得が昇格の条件になる」
「あの人はTOEIC900点を持っているんだから、英語ができるに違いない」
「学生時代に英検に落ちたんだから、私は英語ができないんだな・・・」
こんなことを、無意識に考えたりしていませんか?
英語力というのは、資格試験ですべて判断できるほど単純なものではありません。
スコアの高さや資格を持っているかどうかだけで、その人の英語力を測定するのは不可能です。
今回は、資格試験との上手な付き合い方について、僕なりにお話しできればと思います。
<自己紹介>
こんにちは!英語コーチのショウタといいます。
東京都の日本橋で英語教室を経営しているひとり社長です。
教室でのプライベートレッスンをはじめ、毎年さまざまな企業や大学で英語の指導をしています。
これまで出会った受講生のみなさんは、年齢や職種も異なりますし、英語力や目標もそれぞれです。
そんな受講生のみなさんと関わっていく中で、「学習者がつまずきやすいポイント」や「基礎からの英語の伸ばし方」など英語学習に関する大切な気づきがたくさんありました。
結局のところ、英語力をカンタンに伸ばす魔法はありません。
正しいやり方で、地道に積み上げていくしかないんです。
僕もかつて勉強で挫折し、高校を中退しました。
何とか自分の人生を前に進めたくて、留学を決意しアメリカの高校に通い始めるも、最初はホームシックに苦しみましたし、その後も数カ月の間、ずっと言語と異文化の壁に悩まされ続けました。
それでも、現地の友だちや学校の先生、留学先で知り合ったさまざまな人たちに支えられて何とか高校を卒業することができました。
同時に、実際にアメリカで暮らしてみて、ある重要なことに気づきました。
英語を使える力、つまり英語の運用能力を伸ばすためには、単語はもちろんのこと、文法や構文の知識がとても重要だと思い始めたのです。
帰国後、大学で英語英米文学科に進学し、英語を本格的に学び直し、大学在学中に再びアメリカの大学で1年間“英語学”を学ぶこともできました。
社会人となってからも、いろんな英語の資格試験を受けて、何度も挫折を味わっては、試行錯誤しながらも地道に自分のペースで英語力を伸ばしてきました。
noteでは、そんな僕自身の経験や知識と、これまで出会った英語学習者のみなさんと接することで得た知恵をシェアしていきたいと思っています。
少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。
それでは本題です。
大前提として、僕自身は資格試験を積極的に活用していいと思いますし、英語力のレベルチェックや目標とすることでモチベーションにもなると思っています。
ただ、多くの英語学習者や企業の研修担当者の方々と接していて、考えさせられることもあります。
資格を持っているかどうか、スコアがいくつなのかなど、どうも表面的な要素に振り回されているような気がしてならないんです。
もちろん、その人の英語力を測る“ひとつの基準”ではありますから、それを参考にするのは当然と言われれば当然なんですが、それだけで全てが語れるわけではありません。
資格試験の価値や存在が実態以上に大きく評価されているように感じてしまうんですよね。
ある有名企業の担当者の方から、こんな質問を受けたことがあります。
「営業部の人材をTOEICのスコアでレベル分けして、英語でのスキルアップ研修を実施したいのですが、スコアの基準をどうすればいいのか」という内容のものでした。
そのときに僕が答えた内容をものすご~~~くシンプルに言うと、こんな感じです。
「TOEICのスコアだけを判断基準にせず、営業スキルなども考慮すべきです」
あくまで営業のスキルアップ研修ですから、営業で使うスキルがメインです。
英語はそれに付随しているに過ぎません。
極端な話ですが、まったく営業で業績が出ていない人が、TOEICのスコアが高いだけで、最も高度なスキルを使うクラスに入ってしまうこともあるわけです。
その人は、英語はできるかもしれませんが、営業はできないわけです。
営業の基礎がない人が、英語を使って高度な営業スキルを使えるとは思えません。
英語のスキルは英語のスキル。
営業のスキルは営業のスキルです。
全然違うものです。
こんな風に英語の資格試験が一人歩きしているような場面はこれだけではありません。
僕は英語を教える仕事をしていますが、TOEIC900点以上とか満点を持っていても、“教える”ことができるかはまた違う話です。
英語を教えるスキルが高いかどうかは別ものなんです。
いろんな資格試験を持っている人が書いた英語学習の本だからといって、それが英語学習者にとって良いものかどうかは別です。
TOEIC対策の本なのに、TOEICに出題されない内容が掲載されている書籍だってたくさんあります。
自分のプロフィールに資格を載せている僕が言うのも何なんですが(笑)、
本当に英語の運用能力が高い人ほど、資格試験を必要以上に重要視していないような気がします。
僕には英語ネイティブの友だち以外にも、アジア人やヨーロッパ人の友だちがいますが、ほとんどは英語の資格なんて持っていません。
しかし、僕なんかより英語の運用能力が高いな~と思う人はたくさんいます。
TOEICという言葉に反応するのは韓国人の友だちくらいで、その他の国の友だちはTOEICが何かも知りません。
本物の英語力は資格試験で測れるほど単純なものではないですし、上とか下とかで判断するものでもないと思います。
資格試験を受けること自体はすばらしいことですし、それを目標として勉強することは大切なことです。
でも、どうかそれに振り回されないでください。
言葉はコミュニケーションのツールですから、語学力は確かに重要です。
しかし、資格試験はあくまで英語の特定の能力を測る基準にしか過ぎません。
コミュニケーションにおいて、もっと根幹の部分を磨くことも忘れてはならないと思います。
誰かと意思疎通をする上で本当に大切なのは、その人の“人となり”ではないでしょうか。
英語を話していても、その人の人柄というのは出ます。
どんなに英語を流ちょうに話せても、それだけでは良好な人間関係を築くことは難しいと思います。
最後にもう一度だけ言わせてください。
どうか資格試験に振り回されないようになってください。
あなたの価値や英語力は、資格試験で決まったりしませんよ。
今年も応援しています!
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