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父と老眼鏡

 2024.7/24 17:16
 「ついに老眼鏡購入。本が読めるー」

 ふと届いた父のLINE。その下には老眼鏡をかけた父の自撮り写真。53の父の自撮りほど観てられないものはないが最近は容姿に自信が出てきたのか、よく送ってくる。ただそれがどこか愛しい。父に愛しいなんて言いたくないけど、そのフェーズを超えて言う。父は愛しい。

 ただ愛しさよりも勝った感情がある。

 そう「悔しさ」だ。

 父が老眼鏡を購入したこと。俺はそれがなによりも悔しかった。父はこれまで老眼鏡を買わないどころかメガネすらかけていなかった。もちろんコンタクトレンズも。

 そんな父にひたすら「強がらずに老眼鏡買えよ」とか言ってたのに、いざ老眼鏡を父が手に入れると、俺は悔しかった。父が老いていることを受け入れるのが悔しいのか、男として辛い抜こうとしたものにもやがて限界が来ることを知ったことが悔しいのか。自分でもわからない。なんだこの感情は…胸がザワザワする。

 「ミステリと言う勿れ」でお馴染みの
 久能整はこんなことを言っていた。

人は病に負けたから死ぬんじゃないです。
僕はそう思います

「ミステリと言う勿れ」より引用

 父は老眼に負けたのではない。

 より良い生活を求めた。

 ただそれだけだった。こんな簡単なことに気づくまでに、541文字も使ってる自分に辟易としたので、今日はここまで。

 追記:私の前で父は絶対に老眼鏡をかけません。私の気持ちに気づいたのでしょうか。まあ、そういうところが愛しいですね。

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