見出し画像

むらさきのスカートの女/今村夏子【読書メモ】

2024/7/15 読了
地元の図書館で借りた

感想メモ

芥川賞受賞作品。
面白いらしい!という評判だけ聞いていたので、ストーリーも何も予習しないまま読み始めました。 ミステリー?ホラー?サスペンス?ヒューマン? 全然雰囲気がつかめないまま、ふわふわと読み進めていく感覚でした。
一時間ちょっとで読了。
読み終わってすぐの感覚として、「なんだったんだ」と「もう一回読もう」です。
ただし個人的にすごく好きな作品だなというのははっきりわかりました。 万人受けしないかもしれませんが、おすすめです。
この日は同じ芥川賞受賞作である「推し、燃ゆ」もほぼ同じタイミングで読み終わったのですが、 「推し、燃ゆ」が全体的に重たい空気感だったのもあり、かなりライトに読むことができました。
「むらさきのスカートの女」を観察する「黄色いカーディガンの女」の語りですが、この語り手が信用できない。 のちに少しずつ語り手の輪郭がはっきりしてきますが、それでもなんかずっと信用できない。
読み返してみると、前半からかなり伏線のような描写が多い点が面白いです。 (「小学校のバザー」とか、下戸なのにビールを三杯とか、フルーツは苦手だけどオレンジを食べるとか、さぼるチーフの話とか他にもいろいろ信用できない)
書きながら読み直して気づいたんですけど、「黄色いカーディガンの女」は本当に影が薄いんですよね、所長が日野さんに他のチーフの話をするところで名前が挙がっていなかったり。(p54-55) 「あの人は○○だから」という実は違う設定は、果たして本人が嘘をついているのか、それとも周りが全然その存在を気にしていなかっただけなのか。
後半の怒涛の展開と畳みかけも好きです。
不思議な読後感が味わえるのでぜひ読んでみてください。
余談ですが、著者の今村夏子さんは「こちらあみ子」も書かれているんですね。 気になっている映画だったので、まずは原作から読んでみようかな。


いいなと思ったら応援しよう!