他責思考が時を止める | 反省と自己否定
塾の先生をしていて、
ひたすら同じ単元を繰り返している子を見かけます。
正負の足し算・引き算を勉強して、
やっとかけ算・わり算に進んだと思ったら、
もう足し算・引き算を忘れている。
また戻る。
かけ算・わり算→足し算・引き算→かけ算・わり算・・・
世にも奇妙な物語的ですよね。
でもマジなんですよ(´・ω・`)
しかも、決してやる気が無い訳ではない。
でも、時が止まったかのように同じ単元を繰り返す。
ふとある時、出来るようになって次の単元に進むと、
また同じことの繰り返し。
ここにはいろいろな理由があると思いますが、
今回注目したいのは『他責思考』です。
■他責思考は時を止める
誰でも完璧ではないので、自分にとって不都合なことが起きた時、
「~が悪い」と、
自分以外のモノのせいにしてしまうことってあると思います。
それが「他責思考(=他人の責任思考)」です。
この他責思考が習慣化してしまうと、
上の生徒の例のように、
同じ課題に永遠に繰り返しぶつかることになります。
なぜなら、他責思考は、成長をピタリと止めてしまうからです。
成長しないから、同じ問題にぶつかり続けます。
自分が変わるために、相手の変化を必要とすることが理由です。
例えば朝起きられない子が、
「お母さんが悪い」と思っていれば、
お母さんが行動を変えなければなりませんよね。
勉強が進まなくて、
「先生が悪い」と思っていれば、
先生が行動を変えなければなりません。
自分が望む結果を得るために、相手に変化を求める
これは本質的ではありませんね。
それに、何でもかんでも他人のせいにしたら、
そういう人には誰も手を貸さなくなってしまいます。
だからいつまで経っても同じことの繰り返し。
同じ壁にぶつかり続けることになります。
■本当に必要なのは反省すること
どうすれば良いのかと言えば、自己責任の考え方でしょう。
責任は自分にあるのではないか、と考えれば、自分の行動が変わります。
先生の言ってることを忘れてしまう
それは先生の説明をきちんとノートに取らないのがいけないんだ。
じゃあ先生の言っていることをちゃんとノートにとって、
忘れやすいところは色を付けてみよう
という風に、行動を変えれば、望む結果にたどり着きます。
シンプルな事ですが、注意すべき点があります。
それは「反省」と「否定」は違う、ということです。
自分の行動の、何がいけなかったのかを考え、
行動を変えるのが「反省」。
ミスをした自分という人間がいけないんだ、というのが「自己否定」。
全然違います。
たまに、「自己責任不要論」を見かけますが、
「反省」と「否定」を混同している気がします。
「否定」は次につながりません。
自分の価値を落とすだけなので要りません。
それに、ちょっと注意したら、
「私は要らない人間なんだ」なんてスイッチが入ったら、
周りから見て結構きついです。笑
「反省」はポジティブです。
失敗をして良かった、これで次は上手くいくと、
前向きな精神状態を保つことが出来ます。
■子どもは他責をどこから学ぶの?
まず、他責思考に陥りやすいかそうでないかという土台は、
ある程度遺伝で決まるんだそう。
でも土台はあるにせよ、その後の環境でどうにでもなります。
言語は思考に思いっきり影響を与えるので、
言語習得に多大な影響を与える「親」の存在は大きいと思います。
昔、生徒に質問をされて、「ちょっと考えてごらん」と投げかけたら、
保護者から「ウチの子がほっとかれた」とクレームをもらったことがありました。
保護者に何を説明しても無駄で「子供が分かるように指導をするのが先生の仕事」
と主張して話は平行線でした。
結局、全然成績は伸びず、退塾されてしまいました。
後から聞けば、その保護者さんは塾の悪口はもちろん、
学校の先生の悪口や、友達の悪口など言いたい放題だったそう。
何でも「ウチの子は悪くない」で通すので、
周りの親御さんもちょっと引いてたんだとか。
「他責思考」が遺伝&強化したんだろう、と思います。
自分も「親」ですし、ネガティブ出身なので、
子どもが失敗した時は、
まず、「失敗して良かったね」というリアクションと、
何がいけなかったのかを考えさせるように、意識しています。
■大人でもいる「他責人間」
中途採用の面接なんかをしていると、
20代半ばなのに3社くらい社歴のある人がいます。
退職理由を深堀してみると、結局どれも同じ理由。
上司と上手くいかないとか、
自分が評価されないとか。
きちんと「反省」できていないため、時が止まった人がいます。
大人になっても他責思考が抜けないと、
自分が活躍できないのは周りのせい。
環境を変えれば自分は上手くいく、と本気で信じ込むことになります。
逃げの転職を繰り返し、結局ぶつかっているのはいつも同じ壁。
人生を歩み進んでいくには、
自己責任観が必要なんだなと、つくづく感じます。
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