vol.9 「人の話を聴くプロ」に興味を持つ
皆さんは、もし自分が何かに悩んでいたり、自分でもよくわからないモヤモヤを抱えているときに、自分のことを絶対に批判したり評価したりしない、「自分の胸の内を一緒に探索してくれるプロ」がいたら、相談したくならないだろうか。
何がきっかけだったか忘れたが、2021年末頃に、私は「コーチング」という言葉を知った。これも、「コーチングが人を活かす/鈴木義幸」というたまたまKindleで0円だった本を読んでのことだった。
コーチというと、スポーツの指導者のようなものを想像したが、コーチングはティーチングとは違う。曰く、「相手の中にある情報を一緒に探索・発見し、未来に向けた原動力に昇華することのできる人」である。
コーチに興味を持った私は、youtubeでリアルコーチングを収録したものを見漁った。
ある動画の中で、コーチは相談者の「仕事に何だか飽きを感じる。このまま続けるべきか否か」という悩みを聞いていた。その相談者は、自分が結局どうしたいのか堂々巡りに陥っていた。
コーチは、相談者の話をふむふむと引き出しながら、次々と問いを投げかけていった。
そこには真摯でありながら、親しい友人とお茶でも飲んでいる風な気楽な雰囲気が流れていた。相談者はときに頭をひねりながら、問いかけに答えていく。
1時間たったころ、ふとコーチが、今回話したいテーマの答えは出た?と聞くと、
「・・・・・・!
答え、出てます、出ました!すごい!」
と最初は眉間にしわを寄せていたその相談者から、喜びと驚きの笑みがこぼれたのだった。
これを見て私は、自分はこれと似たことをやったことがある・・・!と思った。
コーチングの大前提は、「答えはその人の内側にあり」、「すべての答えは誰かとの探索の中で一緒に見つけ出していける」
ということだったが、思い返すと私は今まで、誰かの話を聞くことで、こんな風に喜んでもらったことが数回あった気がする。
そしてそのシーンを今も鮮明に思い出せるほど、そのときの相手の笑顔は自分にとっても嬉しいものだった。
だが調べてみると、正式にコーチになるには講座受講して修練を積むため、通常100万円くらいかかるのが現状だった。
今の自分は、そこまで踏み出す前に、これだ、という確信がまだ持てていなかった。
ちなみに後日、会社の育成制度で短期講座が受けられたので、育休最後の方で2か月のコーチング通信教育を申し込んだ。
しかし途中で、これはコーチングじゃなくティーチングじゃないのか?と違和感を感じた瞬間やる気が失せ、最後までやり遂げずに終わったのだった。