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真田三代弱者の戦略 (8/13)
戦国時代。信濃の一豪族にすぎない真田氏がいかにして生き残ったのか?
2016年に公開された真田丸は全部見た。それぐらい真田氏の生き方って面白いなって思う。
僕はなんか知らないけど、弱者が知恵をこらして生きていく様が好きだし、僕もそうやって生きていきたいって思う。「真田」と「弱者」という単語に惹かれて本書を手にした。
本書はランチェスターの法則に基づいて、真田氏の処世術を考察するものだ。
ランチェスターの法則とは何か?
第一次世界大戦時に、英国人のエンジニアであり航空工学の研究者であったF・Wランチェスターが提唱した「戦闘の勝ち負けのルール」である。これが「ランチェスターの法則」である。日本では、ビジネス現場で応用され、「販売戦略のバイブル」ともいわれるぐらい有名なものになっている。
ランチェスターの法則は、戦闘をした時の軍隊の損害量は、自軍と敵軍の武器の兵力数によって決まるという方程式である。この方程式をとけば両軍の損害量が算出され、勝ち負けもわかることから、先頭の勝ち負けのルールといわれる。
以下の式で表される
第一法則…戦闘力=武器効率×兵力
<戦闘方法>
・一騎打ち
・局地戦
・接近戦
第二法則…戦闘力=武器効率×兵力の二乗
<戦闘方法>
・確率戦
・広域戦
・遠隔戦
つまり、第二法則が適用される場合は、兵力が非常に鍵になってくるため、どんだけ武器効率をあげても太刀打ちできないことになる。弱者の戦い方は、第二法則に適用される状況を作らず、いかに兵力の効果が少ない第一法則上で戦えるかということが重要になる。
本書では以下の原則に基づいて、真田三代四将の代表的な4つの戦い(①幸隆の砥石乗っ取り、②昌幸・信之の第一次上田防衛戦、③昌幸・幸村の第二次上田合戦、④幸村の大阪の陣)にフォーカスして解説してある。
小が大に勝つ四原則
①集中の原則
②奇襲の原則
③機動の原則
④武器の原則
戦いの四原則
①目的の原則
②情報の原則
③環境適応の原則
④リーダーシップの原則
真田氏は、小さい大名ながら、巧みな戦略で、上田合戦など二度も徳川軍を撃退しており、また大阪冬の陣、夏の陣でも徳川軍を非常に手こずらせた。
物語自体も非常に面白かったし、現代提唱されている原則は過去の歴史にも当てはまるというのが非常に面白かった。
また、真田氏で有名な「犬伏の別れ」について、著者独自の意見が書かれていて、これが非常に面白かった。「犬伏の別れ」は、関ヶ原の合戦にて、豊臣側に昌幸と幸村が、徳川側に信之がつくという真田の運命を決める出来事だ。徳川が勝ち、昌幸と幸村は九度山へ流罪となり、信之は大名となり、真田の領地を守ることに成功する。
昌幸らは「関ヶ原の戦い」が長期戦か短期戦かを見抜けなかったというよりも、社会が統一を求めているか、割拠を求めているかという時代のニーズを見誤ったのではなかろうか。
誰もが驚いた天下分け目の戦いが半日で終了したこと。皆、長期戦を予想していた。しかし、時代は割拠よりも統一し、平和を求めていたようだ。ここを見誤ったことが結果的に敗北につながったと著者は述べている。時代のニーズを読むのって大切だな。
最後に、勉強になったことをもう一つ。
リーダーシップは「情」と「理」の二重構造である。
リーダーシップとは何か?という問いはよくされる。確かにこの人についていきたいと思うことと同時に、ついていって大丈夫だという安心感も必要だ。真田氏は、その両方を兼ね備えていた人物だった。
歴史から学ぶって、非常に面白い。具体的な事例を抽象化して、原理・原則に当てはめること。それを応用することが大事だなと思った。
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