ヴィンテージ神までのドレッジ調整録
1. 始めに
皆さん、初めまして。第15期ヴィンテージ神となりましたくとぅるふと申します。今回は自分の所属しているディスコードのサーバー《ヴィンテ愛好家の集い》の主、添削さんよりより「記事を書かねば追放する」と脅されましたので、記事を書く事になりました。
では何を書くかですが、私がこよなく愛しているドレッジの説明と、ヴィンテージ神になるまでのデッキリストの変遷について、エターナルウィーエンド前ら辺から書いていこうかなと思います。
2.ドレッジとは?
ドレッジとはどの様なデッキなのか軽く説明しますと。デッキ名にもなっているキーワード能力[発掘]を悪用して墓地を高速で肥やし、墓地から戻ってくるクリーチャーを使用して相手を攻めるデッキとなります。
使用される主なカードを紹介します。
・Bazaar of Baghdad
ヴィンテージのドレッジにおいて欠かせないカードで、基本的にはこのカードが初手に来るまでマリガンをします。4枚必須ですがその強さは折り紙つきで、初手がこのカード1枚でも勝つことが出来ると言われるほどです。
・ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll
発掘持ちの中で最大値の6を持つカード。殆ど墓地と手札を行き来するだけですが、たま~に10/10くらいで出てきて相手を撲殺します。
・臭い草のインプ/Stinkweed Imp
2番目に多い発掘5のカード。黒いカードなので墓地を肥やす他に、後述の不快な群れのピッチコストになります。
・ゴルガリの凶漢/Golgari Thug
発掘4のカード。臭い草のインプと同様に黒のカードなのでピッチコストに当てることもできます。
・よろめく殻/Shambling Shell
発掘3のカード。発掘の値は少ないが緑と黒のカードなので、活性の力のピッチコストにも当てることができます。
・ナルコメーバ/Narcomoeba
デッキから墓地に落ちると戦場に現れる不思議な生き物。手札に来ると若干困るが、青いカードなので意志の力や否定の力のピッチコストになる。
・虚ろな者/Hollow One
Bazaarで3枚捨てると0マナで出せる4/4。このカードの登場により、墓地を肥やす以外の勝ち方ができるようになりました。
・大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite
戦慄の復活から釣る先1号。同型対決で無類の強さを誇ります。
・灰燼の乗り手/Ashen Rider
釣る先2号。主に追放する対象としては、Bazaar、Tabernacle、ドルイドの誓い、罠の橋など。特にTabernacleはこちらのクリーチャー展開にとても効くため真っ先に追放します。
・龍王コラガン/Dragonlord Kolaghan
釣る先3号。全体速攻付与によりターンを返さずに大量のゾンビで相手を倒すことができます。しばしば炎の血族の盲信者と比べられますが、本体が大きいため私はコラガンを使っています(カッコいいですし)。ただし、伝説であるためカラカスには弱い。
・甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis
ドレッジの強さを引き上げたカードの一つ。虚ろな者を除いて出てくるクリーチャーは唱えることなく戦場に出るため封じ込める僧侶対して弱かったのですが、ホガークはマナこそ払ってませんがコストを支払って唱えているため僧侶によって追放されず戦場に出てきます。また、8/8トランプルの驚異のサイズで相手を圧倒します。
・不快な群れ/Sickening Shoal
サイド用カード。主に相手の封じ込める僧侶や死儀礼のシャーマンなどの妨害クリーチャーの対処に使用します。Contagionとどちらを使うかはお好み。
・活性の力/Force of Vigor
ドレッジの強さを引き上げたカードの一つ。これまで相手の虚空の力戦や墓掘りの檻などの墓地対策系置物はマナを払って自然の要求などで対処してましたが、このカードは手札から緑のカードを追放することでコストを支払わず唱えることができるため、マナを産むカードを一切採用しないマナレス型をドレッジの主流にしました。
カードの説明はこれくらいで次からは各エターナルウィークエンド前から各時期での使用していたデッキリストの説明を行います。上記で説明しませんでしたが特徴的なカードはそれぞれで説明します。
3. エターナルウィークエンド前
土地(10)
4 《Bazaar of Baghdad》
1 《陰謀団のピット/Cabal Pit》
2 《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》
2 《裂け岩の扉/Riftstone Portal》
1 《露天鉱床/Strip Mine》
クリーチャー(23)
4 《ナルコメーバ/Narcomoeba》
4 《恐血鬼/Bloodghast》
4 《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
4 《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
4 《虚ろな者/Hollow One》
1 《龍王コラガン/Dragonlord Kolaghan》
1 《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1 《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》
呪文(27)
4 《精神的つまづき/Mental Misstep》
3 《否定の力/Force of Negation》
4 《意志の力/Force of Will》
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《壌土からの生命/Life from the Loam》
2 《戦慄の復活/Dread Return》
4 《黄泉からの橋/Bridge from Below》
3 《血清の粉末/Serum Powder》
1 《虚空の杯/Chalice of the Void》
サイドボード(15)
4 《不快な群れ/Sickening Shoal》
3 《貪欲な罠/Ravenous Trap》
4 《活性の力/Force of Vigor》
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
3.1リストについて
マナドレッジと言われるものになります。このリストの特徴としては土地が10枚も取られていることです。主な役割は《恐血鬼》の帰還用と《壌土からの生命》用になります。
活性の力の説明でマナレス型が主流と説明しましたが、私がこの時期にマナドレッジを使用していた理由としては、マナレス型が暴れたためにTabernacleの採用率が身の周りで増えていたのが挙げられます。
クリーチャーはそこまで代わり映えしないので採用した土地について少し説明します。
・ 陰謀団のピット/Cabal Pit
相手の《封じ込める僧侶》、《死儀礼のシャーマン》などの妨害クリーチャーの除去用。
・ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage
墓地肥やし兼マナ要因。
・裂け岩の扉/Riftstone Portal
墓地にいることで恩恵を受けられる珍しい土地。《壌土からの生命》用の色マナを確保するのに使用。
・露天鉱床/Strip Mine
相手のTabernacleやWorkshop、Bazaarを割る。《壌土からの生命》で使いまわすこともある。
3.2このリストのメリット
・相手のTabernacleに強い。
・マナレス型と違い、抵抗の宝球などのコスト増加系の置物を置かれても問題なく動くことが出来る。
・Bazaarが割られても回収しやすく復帰が楽。
3.3このリストのデメリット
・リストの練り込みが甘く、発掘持ちの総数が少なくてBazaarキープできても数ターン発掘持ちが見つからず動けないことが相次いだ。
4. エターナルウィークエンド本戦
土地(6)
1《露天鉱床/Strip Mine》
1《石化した原野/Petrified Field》
4《Bazaar of Baghdad》
クリーチャー(26)
4《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》
4《ナルコメーバ/Narcomoeba》
4《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
2《よろめく殻/Shambling Shell》
2《イチョリッド/Ichorid》
4《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
4《虚ろな者/Hollow One》
1《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1《灰燼の乗り手/Ashen Rider》
呪文(28)
4《精神的つまづき/Mental Misstep》
1《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
4《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
4《黄泉からの橋/Bridge from Below》
4《血清の粉末/Serum Powder》
2《否定の力/Force of Negation》
2《戦慄の復活/Dread Return》
2《活性の力/Force of Vigor》
4《意志の力/Force of Will》
1《虚空の杯/Chalice of the Void》
サイドボード(15)
4《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
4《貪欲な罠/Ravenous Trap》
2《活性の力/Force of Vigor》
1《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
1《進歩の災い/Bane of Progress》
3《不快な群れ/Sickening Shoal》
4.1リストの変更点
発掘の総数の少なさもあり、普通のマナレス型に変更。
環境にカーンフォージ、逆説ストームが多いと踏んでサイドに《進歩の災い》を採用。しかし、大会中に戦場に出た回数は驚愕の0 (Top8での能力の確認率は100%でした。)!!《活性の力》で事足りたのが主な原因。
4.2戦績
各ラウンドの当たりと成績、
1戦目 ドレッジ ○○
2戦目 逆説ストーム ○×○
3戦目 DPS ×○○
4戦目 TPSwithカーン ××
5戦目 墓荒らし ○○
6戦目 トリコカーン?(血染めの太陽とか入ってた) ○×○
7戦目 赤プリズン ○×○
8戦目 ID
6-1-1で6位抜け。
SE1 逆説ストーム ○○
SE2 墓荒らし ○○
SE3 TPSwithカーン ×○○
4.3所感
前のリストと比べると発掘持ちの数が多いので繋がりやすく、展開が安定するようになりました。Bazaarのない初手をキープすることは殆どないので、Bazaar以外の土地はミラーやタバナクル対策など特別な理由がない限りは極力入れないほうがいいなと感じました。
5.デッキリスト(禁止改定後)
2019年8月26日、衝撃の禁止改訂がありました。
《精神的つまづき》 制限
《ゴルガリの墓トロール》 制限
_(:3」∠)_ ....
もうね、絶望しましたよ。ナーセットとか逆説とかあるやん!?なんで墓トロールなんですか!?
というわけで突然の弱体化を余儀なくされてしまいました。上記制限を受けてできたリストが以下になります。
土地(5)
4《Bazaar of Baghdad》
1《露天鉱床/Strip Mine》
クリーチャー(27)
1《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》
4《ナルコメーバ/Narcomoeba》
4《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
4《よろめく殻/Shambling Shell》
4《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》
3《イチョリッド/Ichorid》
1《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
4《虚ろな者/Hollow One》
1《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1《灰燼の乗り手/Ashen Rider》
呪文(28)
1《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《精神的つまづき/Mental Misstep》
4《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2《否定の力/Force of Negation》
2《戦慄の復活/Dread Return》
2《活性の力/Force of Vigor》
3《暴露/Unmask》
4《意志の力/Force of Will》
1《虚空の杯/Chalice of the Void》
4《血清の粉末/Serum Powder》
4《黄泉からの橋/Bridge from Below》
サイドボード(15)
3《不快な群れ/Sickening Shoal》
2《活性の力/Force of Vigor》
4《貪欲な罠/Ravenous Trap》
2《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
4《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
5.1リストの変更点
out
《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》3
《精神的つまづき/Mental Misstep》3
《石化した原野/Petrified Field》1
in
《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》1
《よろめく殻/Shambling Shell》2
《イチョリッド/Ichorid》1
《暴露/Unmask》3
制限により強制的に開けられた6枚の枠に《ゴルガリの凶漢 》1、《よろめく殻》 2、《暴露》 3を投入し、失った発掘の枠と妨害の枠を補填。EWEで《イチョリッド》の数が少ないのが気になったので1枚追加しました。
6.デッキリスト(ヴィンテージ神)
土地(4)
4《Bazaar of Baghdad》
クリーチャー(31)
4《ナルコメーバ/Narcomoeba》
3《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》
4《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
4《よろめく殻/Shambling Shell》
4《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》
3《イチョリッド/Ichorid》
4《虚ろな者/Hollow One》
1《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
1《憎悪縛りの剥ぎ取り/Flayer of the Hatebound》
1《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》
1《甦る死滅都市、ホガーク/Hogaak, Arisen Necropolis》
1《灰燼の乗り手/Ashen Rider》
呪文(25)
4《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
1《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《精神的つまづき/Mental Misstep》
3《戦慄の復活/Dread Return》
2《否定の力/Force of Negation》
2《活性の力/Force of Vigor》
4《意志の力/Force of Will》
4《黄泉からの橋/Bridge from Below》
4《血清の粉末/Serum Powder》
サイドボード(15)
4《虚空の力線/Leyline of the Void》
3《貪欲な罠/Ravenous Trap》
3《不快な群れ/Sickening Shoal》
2《活性の力/Sickening Shoal》
2《誤った指図/Misdirection》
1《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
6.1変更点
メイン
out
《暴露/Unmask》3
《虚空の杯/Chalice of the Void》1
in
《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》2
《憎悪縛りの剥ぎ取り/Flayer of the Hatebound》1
《戦慄の復活/Dread Return》1
サイド
out
4《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》
1《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》
1《貪欲な罠/Ravenous Trap》
in
4《虚空の力線/Leyline of the Void》
2《誤った指図/Misdirection》
後手の際に弱かった《暴露》を抜き、安定性向上用に追加の《ゴルガリの凶漢》と最近増えているTabernacleの対策に何を入れようか考えていたところ、あるカードの存在を思い出します。
基本的にドレッジは戦闘でしか相手のライフを削り取れないのですが、Tabernacleが出ているとゾンビが並ばないため、思うようにダメージを刻むことができませんでした。《憎悪縛り》は不死により一度目のTabernacleでは死なず、墓地の縫合体の帰還条件を満たしてその能力により相手を直接倒すことができます。
また、+1/+1の乗っていない《憎悪縛り》を生贄にして戦慄の復活を墓地の墓トロールに撃つと先に不死が誘発し、憎悪縛りが帰還した後特大サイズの墓トロールが戦場に出るため、墓トロールが11/11以上であれば相手の20点を一撃で焼き切ることができます。
また、サイドの《誤った指図/Misdirection》はミラーでの《トーモッドの墓所》の頼り無さから《虚空の力戦》に変更をしていたため、力戦に飛んでくる除去を打ち返したりしたら面白いのでは?と前日の夜中に思いつき採用しました。
使用感としては悪くなくて、相手の《Ancestral Recall》の対象を自分に変更したり(残念ながら打ち消されましたが)、自分の《虚ろなもの》に撃たれた《剣を鋤に》を相手の《封じ込める僧侶》に打ち返して除去、次のターンに墓地からわらわら復活して勝ちなど十分活躍しました。
6.2戦績
1戦目 トリコアルカニスト ○○
2戦目 ウルザエンジン ×○○
3戦目 トリコアルカニスト ○○
4戦目 サバイバル ○○
5戦目 ID
6戦目 ID
4-0-2で6位抜け。
SE1 オーコオース ○○
SE2 トリコアルカニスト ○○
SE3 サバイバル ○○
6.3神決定戦
リストが公開された時点で第14期神のデッキに土地に触れるカードがなかったため、概ねメインの2本は取れる想定でサイドの練習を行いました。サイドインアウトは以下
in
《不快な群れ/Sickening Shoal》3
《活性の力/Sickening Shoal》2
《誤った指図/Misdirection》2
out
《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》1
《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》1
《よろめく殻/Shambling Shell》1
《灰燼の乗り手/Ashen Rider》1
《戦慄の復活/Dread Return》1
《黄泉からの橋/Bridge from Below》1
入れるのはこれ以外に存在しないため、選択理由は割愛。
抜いたものに関してですが、相手には《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》、《封じ込める僧侶》といるため釣り竿パッケージをすべて抜くことも考えましたが、《僧院の導師》で盤面が膠着した場合の突破が難しいと判断し、主にタバナクル対策で運用している《灰燼の乗り手》のみを抜き、足りない分は各パーツを1枚づつ
サイド後は《虚ろなもの》がカギになると考え、《血清の粉末》でなるべく流さないように意識してマリガンするよう心がけました。
試合展開については晴れる屋さんのチャンネルに動画が上がってますのでご覧になっていただけたらと思います。
7.おまけ(関西帝王戦)
神特権で参加費無料となったので卑猥の化身さんに会うために参加してきました。
デッキリストは神決定戦のまま。
1戦目Doomsday ×○○
2戦目オーコオース ○○
3戦目Doomsday ×○○
4戦目サバイバル ○×○
5戦目 ID
6戦目 ID
4-0-2で3位抜け。
SE1 ラベージャーショップ(卑猥の化身さん) ××
1没_(:3」∠)_
残念ながら東西統一とはなりませんでしたが楽しくゲームをすることができました。
それでは、中身の薄い無駄に長い内容になってしまいましたが、終わりにしたいと思います。
最後にですが、ドレッジは他のヴィンテージデッキと比べて初期投資が少なく入門用に組まれる方もたくさんいます。ですが、どこまで行っても構造上墓地とBazaarに依存しているため過剰にメタられると何もできずに負けてしうことも多々有り、安いからという理由だけで組まれるのは余りオススメはできません。それでも、しばしばドレッジ・ザ・ギャザリングと揶揄されるようなMtGの常識とかけ離れた動きは面白いですし、たった1枚の土地がデッキの殆どを採掘しきる様は圧巻です。
使ってみたい、回してみたいと思われる方はプロキシでも良いので一度組んで回して見ることをオススメします。
ご覧いただきありがとうございました。
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