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市川準 病院で死ぬということ
毎年恒例の目黒シネマでの市川準特集。この映画館で市川準を知り、是枝裕和や濱口竜介と同様スローテンポで静寂な作品が自分の好みだと気付かされる。
今回の特集で上映された岸部一徳主演のこの映画。衝撃的なタイトルで観るのを一度は躊躇ったが実際に対峙してみると、カメラのアップはほとんどなく定点観測の一歩引いた画で患者を黙々と映し続ける。死をドラマチックに扱うのではなく誰もが経験する死として平等に誠実に向き合う傑作だった。
先生と患者の細やかな会話からインサートとして映される市井の人々の生き生きとした姿を目の当たりにし、私たちはどんな時でもかけがえのない瞬間を積み重ねていることを改めて知る。
人生を精一杯生きるということ。