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背景としての樹木希林
9月15日は樹木希林の命日。この世を去ってからはや3年。
本人も笑いにしていた6月9日ロックの日に、万引き家族の舞台挨拶で生の姿を見られたことは人生の宝物。
この名女優は脚本の読み込みと理解力が人一倍高く、物語にどう深みや輝きを増すか常に考える。男役だって入れ歯を外すことだって厭わない。
そんな中でも特筆すべき演技は、是枝裕和監督の映画「奇跡」の祖母役だった。
この物語は子供のものだということを監督よりも先に見抜き、あくまでも背景として絶妙に印象に残らない役に徹していた。
表現者として常に自分の手柄にしたいのは当然だが、自分が必要なければ背後に回り主役を引き立て、必要であれば前に出てゴールを決める作品至上主義。
役者は作品の中で永遠に生き続ける。
いつでも会いに行くからね。