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イデビアン・クルー ヘンシン
6月のソロ公演に続いてクルーの最新作。この短期間で井手茂太の作品を連続で体感できる2022年は奇跡の年ではないか。
照明をフィーチャーすることでよりシンプルになった舞台美術。
受け取る側がいくらでも解釈できる詩のようなダンス。
ヘンシン前は子宮の中の無個性なお玉杓子、ヘンシン後は産み落とされ自我を持った人間たち。2001年宇宙の旅を初めて観た時のような新しさと懐かしさを同時に手にすることができた。個人的には大縄跳びを違和感なく組み込むユーモアが堪らなかった。
身体を動かすことの無限の可能性。離散集合を繰り返して生まれる調和とズレ。そこに混ざり合う音と光が実に美しい。贅沢な一瞬一瞬の連続を生で目撃できた優越感。観る前と観た後の感性は雲泥の差。
観客の我々もすっかりヘンシンを遂げた。