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【非破壊スキャナー】iCODIS X7について

非破壊スキャナーの「チリ」問題

本の自炊(電子化)のために2021年1月にアマゾンからiCODIS X3を購入しましたが、思っていた機能が付いていなかったので返品して、2月に再びiCODIS X7を購入しました。

それから結構な年月が経過しましたので、その使用の仕方の変遷を少しだけ語っていきたいと思います。

iCODIS X7は開いた本を自動的にその歪みを修正してくれる機能が付いています。

iCODIS X7の問題点

しかしこの自動で歪みを補正してくれる機能は、文庫本など表紙・背表紙と本の高さが同じ本を読み込む時は正しく読み込んでくれるのですが、ハードカバーの書籍を読み込む場合、見開いた本の中心を正しく認識できなくなってしまうために、文章が極端に斜めに傾いたり、文字の太さが変形したりといくつかの問題が発生してしまいました。

カメラからの視点
非ハードカバーはチリがないために干渉対象が少ない。
自動補正で灰色の部分も余計に読み込むことがある。
上下の湾曲は平行になるように自動補正してくれる
(ただし絶対的な信頼性があるわけではない)
カメラからの視点
ハードカバーの本は表紙・背表紙の「チリ」(ライトグリーンの部分)
が自動補正に干渉してしまう。

カバーの「チリ」と呼ばれる本の本体から少しだけはみ出した部分がどうしても読み込み時に干渉してしまいます。

「チリ」によって生じる歪みはハードカバー大国日本ならではの現象と考えることができると思います。欧米の書籍は日本ほどには丁寧に製本していないために、欧米の書籍を基準に設計されたこの製品は、日本のハードカバーの書籍を読み込むことをはじめから前提としていません。

ピンクの部分が非破壊スキャナーにおいて自動補正に干渉してしまう領域
「この部分」もしくは「チリ」を黒くできれば自動補正が上手く機能する
背の「チリ」を読み込んで赤い部分を本の中心だと認識して歪めてしまう例
「チリ」のカラーが黒以外の場合ほぼ干渉する

プラスチックとフェルト素材

このため、ハードカバーを読み込むためにはこちらでなんらかの工夫をする必要があります。

はじめは黒いプラスチック素材のものでチリを隠すことを考えました。しかし光が反射してしまい、プラスチックの素材を黒と認識しないという問題が生まれました。

プラスチックは硬くて加工もしやすいが、反射した部分を本の一部と認識してしまう。

反射しない素材を使用しなければならないとわかり、フェルト素材のものをダイソーで買い、「チリ」を隠すことにしました。

隠す部分は表紙と背表紙の「チリ」と背の「チリ」です。表紙と背表紙はフェルトを大きく切って見返しの上に掛けることで隠すことができます。背の「チリ」はある程度細工しなければいけません。フェルトを「コの字」状に切って、本の上部と下部に嵌め込むことで背の「チリ」を隠すことにしました。

「コの字」状のパーツを背に挟む
撮影時の状態

しばらくこの方法で自炊していましたが、フェルト素材の難点が見つかりました。

自炊は本を開いた状態で行いますが、その時場合によっては本を押さえておく必要があります。押さえておかないと本に閉じようとする力が働き、撮影時にページが跳ね上がってしまうからです。

iCODIS X7の良い点はこの時に押さえている指を自動的に除去してくれる点です。残念ながら多少影などは残りますが、本を破壊するよりはマシです。

フェルト素材を使っていると、フェルトがクッションになって沈み込み本の端の方が歪んでしまいます。iCODIS X7は本を開いた時の歪みは自動で補正してくれますが、指で押さえた沈み込みを当然ながら想定していないので、結果的に歪んだ形が残ってしまいます。

フェルト素材による沈み込み

そこでフェルト素材と同じように反射しない薄い素材が必要となりました。真っ先に思いつくのが黒い布ですよね(「綻び」が気になる方は黒いハンカチを二枚でもいいかもしれません)。

布とフェルト素材

布は非常に使い勝手は良いですが、ページを捲るたびにズレるといった布ならではの短所がありました。特に「コの字」状の上下のパーツは布が軽すぎるために綺麗に「チリ」を隠してくれません。

柔らかい布は背の「チリ」を上手く隠してくれない

そこで表紙と背表紙部分の「チリ」を隠す素材は「布」にし、背の部分の「チリ」を隠す「コの字」状のパーツを「フェルト」にすることにしました。

最初は自動補正機能による誤った傾きや文字の太さの変形に苛立たされましたが、ここまで対策が立てられるとそこまで不満に思うこともなくなりました。

非破壊スキャナーの問題点

非破壊スキャナーの問題点として「チリ」の干渉問題がネット上で全く見られなかったのですが、恐らくこのような問題から使わなくなった方もいるのではないかと推測しています。

非破壊スキャナーの歪み補正による歪み対策に役立ててもらえればと思います。

もし非破壊スキャナーの「チリ」の干渉問題でより良い解決方法がありましたら、教えていただけますと幸いです。

本の電子化によって省スペースが実現し、本の整理やメンテナンスの時間も省くことができます。本の整理・整頓やメンテナンスを苦がなく行える人ならば電子化せずともよいかもしれませんが、私のようなADHD気質の人間にとっては電子化しないで本を大量に抱え込むことはマイナスでしかないでしょう。

非破壊スキャナーには問題も多々あると思いますが、工夫とほんのわずかな経費(私の場合は黒いフェルトと黒い布代:計200円)でその問題を克服することは可能だと思います。

最後まで目を通していただきありがとうございました。

追記

忘れていましたが、非破壊スキャナーにはもう一つ大きな問題があります。

それが黒いページ問題です。黒いページは背景と同じ色で自動的に背景と認識されてしまいます。黒いページは章の頭や写真を多用した本に使用されることがあります。

これについても対策を講じていますが、まだ完璧とはいえないので宿題としておきます。もしかするとチリ問題よりも大きな問題かもしれません。

スキャン後に行うこと

PDFに出力したあとはPDF24でページサイズを統一し、ページナンバーを打ちます。これは見開いた状態でのページ数になりますが、ページを入れておくと便利です。

ページサイズを統一し、ナンバーを打ったあとはPDF-Viewerでブックマークを打ちます。

PDFリーダーは起動が早いFoxit PDF Readerを使用しています。

PDF関連は万能のフリーソフトが見つけられませんので、自分好みの様々な機能をもったソフトをその都度起動し直して使用している感じです。

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