オホーツクのアナウンサーの日記(2024年5月23日)
5月23日 晴れ くもり 雨粒
家の玄関を開けた瞬間、湿り気が肌にまとわりついた。雨が降りそうな気がした。私はそこからおよそ90キロ移動したが、結果的に雨らしい雨は降らなかった。
1週間ぶりの斜里町。私の故郷。
この4年で、このまちに住む人との関わりが増えた。いまの働き方をするようになったからか、たまたまそういうタイミングだったのか。これについて、私の中ではコロナウイルスは無関係なのだが(働き方を決めたのとそれが流行りはじめた時期がたまたま同じだっただけ)、相手方にはそれが関係している場合もあるかもしれない。
いずれにせよ、同じ学び舎で同じ時を過ごした彼ら彼女らとの交流より、この4年でのつながりの方が交流がある。どちらが良いとか良くないではなく、事実がそうというだけ。
故郷に帰る頻度も激増した。
それまでの10年は、盆暮れ正月、大型連休、たまに土日と、年に数えるくらいだったのに。
今月にいたっては、毎週だ。
斜里はおもしろい街だ。
海近くまで民家や商店が迫っているのに、海があまり見えない。海岸の砂浜付近がやや丘になっていて、街自体も平野とあって高低差があまりないからだ。数キロ内陸、農村地帯へ行くと斜里岳が迫ってくるため、海が見えてくる。遠くに。
ときどき、ゴーゥという海鳴りが聞こえて、私に海の存在を知らせていた。
海に関わる暮らしをする人を除いて、街に住む人は、たんたんと日常を送っていると海沿いの街にいることを忘れそうになるくらいかもしれない。少なくとも私はそうだったように思う。
でも、潮の香りにほっとする私もいる。
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北海道の東側、道東のオホーツク海側でアナウンサーをしている、伊藤ゆりかです。東京の50分の1の人数が、東京の5倍の面積に住んでいるという「隣人までの距離が遠い」この地域で、「あなたの隣のアナウンサー」を名乗って生きています。