『52ヘルツのクジラたち』を読みました
⚠︎若干本の内容含みます。
私は昔から、自分のことを異星人だと思っていました。それは、人間には使えない力が使えるとか、宇宙からやってきたとか、そういうSFの類ではなく、純粋に、周りの人とは違う、と思っていたからです。正直にいうと、今でも思っています。
あらゆるものに敏感な子、最近ではHSPという言葉があるように、そういう子に対しての見方というものが生まれてきたように感じます。
昔からそういう子は存在したはずなのに、なぜ今になって、HSPというような言葉をよく耳にするのでしょうか。
私は「人には言えない悩みを抱えた人が、勇気を出して声を上げたから」だと思います。
そして、想像していたより、共感してくれる人が多かった。一度悩んでいることを打ち明けると、「実は私もそうなんだ」と、声を上げなかった人までが声を上げるようになった。
そうして、HSPという概念が広まり、本が出て、私たちが手に取り、そしてまた仲間を見つけていく。
この「仲間の見つけ合い」でわかるのは、声を上げるとこがいかに大変で難しいか、ということ。HSPはただの一例ですが、今世界にはきっと私たちが悩んだこともないようなことで苦しんでいる人がいる。声を上げられず、仲間を見つけられず、一人で抱え込んでいる人がいる。
52ヘルツのクジラのように。
仲間はたくさんいるのかもしれない。実際、HSPにしたって、世界にたくさん仲間がいるから、本が書かれ、売れる。
でも52ヘルツは、聞こえないし、届かない。仲間がいたって、知らせることができない。暗い海の中で、一人、鳴き続けることしかできない。
でも、声を上げることができないのなら、聴けばいい。同じ悩みを抱える人がいたら、素通りするのではなくて、聴けばいい。向き合って仲間になり、助け、助けられ、そうして生きていけばいい。
声を発することができなくたって、仲間を見つけられる。
私の52ヘルツの声は、そうして耳を傾けてくれたある友人の元に届きました。友人は声を上げない代わりに、私の声を聴いてくれた。
私は彷徨っていた暗い海で、同じ52ヘルツのクジラに出会いました。
今でも、私の横にはその52ヘルツのクジラがいます
本屋大賞受賞作だからとかではなく、純粋にこの作品が多くの人の手に渡りますように。
そして、52ヘルツの声が響きますように。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
まだ未読です、という方は、ぜひ『52ヘルツのクジラたち』をお手に取ってみてください。