問題は自分にある ~I will fight with my back to the wall.~
いよいよ最終回を迎えた魁!!起業塾ですが、これまでのところ皆様いかがでしたでしょうか?
前回は「誠意=契約」と「光と闇」のお話をしました。
誠意のない契約というのはそこら中にあふれています。だからこそ誠意ある契約が当たり前だという感覚の中で、誠意あるお客様へは仕事でそれを返したいと思うのがプロです。誠意も示さないのにいい仕事しろなんて虫が良すぎる話をしないように気を付けましょう。
チームプレーは言い訳だ
私の好きな言葉です。
これはアニメ「攻殻機動隊」の荒巻課長のセリフ。私はこれを会社でもできないかと考え実践中です。
ですが、この言葉は少し誤解を生むと思っています。
見たいものを見たいようにしか見れない
人は自分の見たいものを見たいようにみて、聞きたいものを聞きたいように聞く傾向にあります。特にこのインターネット全盛の時代にておいて自分と同意見の人や同じ考え方の記事なんて山のように見つかります。
ですが自分と同じ考えが多いからといってそれが正しいというわけではありません。逆に少数派だから間違っている、或いは価値があるということでもありません。
全ては自分が決めることであり、自身が未熟だと未熟な結論しか出せないということになります。全ては自分の感性次第ということです。
大切なのはそのコミュニティにとってどうか
そのためスタンドプレーしかやりたくない人がこのセリフを聞くと、スタンドプレーを極めることが全てだと突っ走る人がいます。
特にプログラムを書くことが自分の仕事だと思っているプログラマーにその傾向が強いと感じます。プログラムはあくまでもツールという位置づけを忘れないようにしましょう。
そしてスタンドプレーしかやりたくない人の特徴は自分を下げることができない人。いわゆる「あほ」になれない人です。
こういう人の傾向としては発言に否定が多いこと。毎回否定から入られると話していても疲れますよね。
いや、そんなことはないぞ!
ほらほら。
こういう人は、こちらの話を聞いたとしても自分の考えを変えてまで新しい何かを創り出そうとしない、つまり自分を守ることでしか自分を保てない人です。
30代以降で大切なのは個ではなく、コミュニティです。自分が所属しているコミュニティにとってどのような判断をするか。そしてそこに自分の感性をどうすれば活かすことができるか。自分を捨てられるようになって初めてスタートラインに立つのです。自分探しは30代のうちに終わらせましょう。自分なんて見つかったところでどうなんだという話なのです。
会社を辞めたくなる瞬間
都合のいい時だけチームプレーを引っ張り出して、旗色が悪くなったら逃げ出す人のなんと多いこと。そんな場面に遭遇するとがっかりしてその会社を辞めたくなります。
乗り掛かった舟は最後まで乗る。
乗れない船には最初から乗らない。
乗らないことで仲間外れになるような組織に居続ける必要はない。
そして
可能な限り自分が船に乗ることでどのように役に立てるかと考えられるようになる。
これが自身がそのコミュニティに所属している理由なのです。
この内容は社内だけではなくお客様との仕事でも言えます。
契約という条件の中で可能な限りお客様と自分たちがハッピーな方向を探る。お客様は仕事で100点を出したい。でも我々ができるのは80点まで。よくある事です(もちろん見積で責任分界点を決めています)
残りの20点はお客様の方にやってもらう必要がある。これを言えるかどうかが大切だし、その関係性を構築するのには時間が必要です。
ですが時間をかければ関係が構築できるかというとそうでもありません。 感性の鋭い方には自然と心が惹かれていきます。惹かれれば自ずと信頼関係も早く深まります。
仕事に対する考え方や取り組み方。言いたいこともたくさんあるはずなのに発言は柔らかく表情も朗らか。そういう人にはたくさんの人が集まってきます。自分もそうなりたいな。。
経営者の責任
経営者は全ての責任を背負うわけですから全方位が自分の守備範囲です。誰かに任せたのであれば結果がどうであれ、任せた自分に責任があるし、出来るだけ結果が残せるようにサポートするのが経営者の役割です。
それをしながら次の世代にも同じような意識付けを行い、更にその次の世代へも意思を引き継いでいけるようにしなければいけません。
これは会社の風土へと繋がります。
そのため自社に関係している会社(いわゆる下請け)を邪険にするような社長の下にはそのような人しか育たないし、契約をいい加減にするような組織であればそれを改善しようと考える人は現れないわけです。だって疎まれる方が面倒だもの。
つまりその会社の雰囲気や風土が悪いのは上が悪いからです。風土を変えるためには上が変わる必要があるということです。だからと言って会社の風土が悪いのを上のせいにするのは思考停止しています。思考のベクトルは常に反転してくださいね。
上が変わったら会社が変わるのか?新しい上にその考えや感覚がなければ結局は同じことを繰りかえします。
そこで我々のようなベンチャーがその意識をもってこれからの組織や働き方を変えていかなければいけないのだと感じます。
当チャンネルが「30代の起業を応援」しているのもそれが理由だからです。
承認欲求の呪縛
アドラー心理学を参考にすると、自分のことよりもその上のコミュニティへの貢献ができない。これは誤解を恐れずに言えば承認欲求にとらわれている証拠なのです。
承認欲求は人間が持つ欲求(食欲、睡眠欲、金銭欲など)の中でも満たすことが難しい欲求です。他者が必要であること、その対象が成長とともに満たすことが難しくなることがその理由です。
赤ちゃんの頃、おむつが汚れて気持ち悪い。お腹がすいたから何か食べたい、という欲求は「泣く」ということで発信し、他人に対応してもらうことで満たされる。発信と対応。これが承認欲求が満たされるために必要なルールです。
成長とともに様々なことが自分でできるようになります。そして活動する世界が変わり、責任も多くなります。出来なければどうするか?そう「泣け」ばいいのです。そうすれば周りの誰かが助けてくれます。
いつまでそうするつもりですか?
承認欲求から解放される方法
もちろん人に協力を得なければ達成できないことは多くあります。一人で生きているつもりでも誰かの協力なくして生きていくことは難しいことです。
ですが、いつまでも施される側にいるわけにはいきません。我々は時間とともに施す側へとシフトしていく必要があり、そのことでいい意味での「明らめ」を覚え、それを通過儀礼として承認欲求の呪縛から解放されるのです。
努力や苦労は誰にでもあります。もちろん特殊な事情があって他人よりも多くの苦労をしなければならない方もいらっしゃいます。
だから誰もがそういう苦労の中で、何とか良くしようと頑張っている気持ちを集めて昇華(一つ上のコミュニティへの貢献)しなければいけない。そのために今までがあったと考えることはできないでしょうか。
ダイヤモンドが高い理由
ダイヤモンドが高い理由は「希少価値」があるからですね。ですが地層の奥深くにはとてつもない量のダイヤモンドが眠っています。その一部が人間の手に届く範囲にほんの少しだけあるという状態。採掘にはダイナマイトを利用するため人命の危険もありさらに価値が上がります。
今より深くまで掘り進められる技術が進み、採掘の安全性が高まれば(それこそ自動化できれば)ダイヤモンドの価値も下がっていくことになります。
給料を上げるのは意外と簡単かも?
以前の起業塾でも書いたように、自身の希少価値を高めると売値も上がります。そして希少価値を高める方法はスキルの掛け合わせです。その中でも最も効果的なのは技術的なスキル(我々ITであればシステムやプログラミングスキル)と人間力をかけ合わせることです。
分かりやすく言えば、とても凄いプログラミングスキルやシステムに関する知識を持っていて、言葉遣いも穏やかであり、表情も朗らか。一方で言わないといけないことはしっかり言葉を選んで言える。そんな人の単価が高いというのは納得できるのではないでしょうか。
ダイヤモンドの理屈から言えば、そういう人は希少だから単価が高いと言えます。つまりそんなにできた人はいないということ。これはチャンスだと思いませんか?
逆に言えば自分の給料が上がらないのは技術的な面ばかりに目がいっていて、人間力を上げる努力をしていないからかもしれませんよ。
人間力の高い人は意外に少ない
技術的なスキルアップは普段仕事をする上では誰もがやっていることです。だから差が出ない、もしくは差があっても目立たないとも言えます。
そこに高い人間力をかけ合わせればよいわけですから、人間力を意識してスキルアップをすればよいだけ。とても簡単じゃないですか?
いやいや、人間力を上げるのが難しいから苦労しているのでは?
それは「自分」という謎の呪縛が原因かもしれません。分かりやすく「性格」と置き換えても構いません。
自分だと思っているものはどうやって生まれましたか?
その性格はこれからもそうあるべきものと自分を縛り付けることになりますが構いませんか?
具体例
上司:藤原君、この本良かったよ。貸してあげるから是非読んでみなさい。
私:(無碍にも断れないし、しかもあんま興味ない本だなぁ)
さてあなたならどうしますか?
・「ありがとうございます」と言って受け取り、ウィキペディアで調べて概要だけは頭に入れておく。
・「今案件で忙しいですので」と言って断る
・ちょっと自分の読みたいジャンルではないですね、と言って断る
いろんなパターンがありますよね。ここで少し今までと違う考え方をしてみます。
「はい!読んでみます!」と素直に読んでみる
どうでしょう。出来ますか?
素直さと服従
上役の人たちと話していると「成長に大切なのは素直さだ」ということをよく耳にします。素直さのかけらもない人達に言われても説得力ないし、どの面下げて言ってんだよという意見は一旦こっちへ置いておいて(よいしょ)
これ間違いではないのですが、「素直さ」を「服従の度合い」と勘違いしている人が多い。要は「言うことを聞く奴か聞かない奴か」で人を判断しているということ。
そのため「俺が薦めた本を読む奴かどうか」で判断するわけです。お前のためと言いながら実は自分の承認欲求を満たしたいのです。
そこでこちらが一つ大人になってみましょう。それらの心理を理解したうえで実際に読んでみるという選択をするわけです。なかなかにサイコパスですか?(笑)
結果として相手の承認欲求を満たすことができ、自分も何かしらの知見を得ることができる(かもしれない)と考えると損はありません。本を読む時間が損ではないか?
そこでもう一歩考えを進めてみます。
RPGイベントである
以前『人生はRPGのようにレベルアップの音が鳴るわけではない』という話をしました。これを利用します。
上司から本を読めと言われたのはもしかすると自分の人生における何かしらのイベントなのではないかと考えてみます。
その上司は偉くもなんともないけど、今のところ自分に関わる人ではあるわけです。
そこで今回の図書推薦イベントは自分がこの上司を笑顔にできるかどうかの試練だと捉えてみるのです。
数日後
実際に本を読んでそのことについてこちらから話しかけてみてください。飛び切りの笑顔が見れると思います。そして今度はその本を返すときに自分も本を薦めてみてください。承認欲求だけで本を薦めてくる人ってたいてい相手が進めてくる本は読まないものです。
もし次に別の本を薦めてきたら、私がおすすめした本はどうでしたか?と聞いてみてください。
こちらが薦めた本も読まずにそれでも薦めてくるような人が選ぶ本は大したことありません。以降は読まなくていいです。それが分かっただけでも価値ありです。「ありがとうございます!」と言ってスルーしてしまいましょう。
インサイド・アウト
さて、いよいよ起業塾もこれで最後となりました。
これまで何度も相反するものの同居が登場したかと思います。書いている私もここまで何度もそのことが出てくるとは想像しませんでした。
そして経営者に必要な最大の能力は「バランス感覚」なのだと改めて認識するに至りました。
幸と不幸、ラッキーとアンラッキー、敵と味方、これらが入り混じりながらバランスを保ち、時には左へ、時には右へとゆらゆらしながら、けれども倒れない。いやもしかするとそのゆらゆらが倒れないための秘訣なのかもしれません。
いつも同じ自分などというものはまやかしだし、思考停止している証拠だと捉えて良いと思います。波のように常に揺れ動くもの。それでいいじゃないかと受け入れられた時、新しいステージが見えてくるのではないかと思います。
そしてあらゆる出来事に対しては必ず異なる方向から考えられるようになっておくこと。これができないと話になりません。
そのためにまずインサイド・アウトの考え方から始める。つまり原因は自分の中にありそれらを改善することが結果として自分の環境を良くしていくことにつながる、ということを実践することをお勧めします。
I will fight with my back to the wall.
経営は迷うことばかりです。つまり判断の連続ということが言えます。完璧に正しい人なんてこの世の中にはいません。
目の前にある現実に対して誠実に向き合いその結果下した判断であれば結果がどうあれ明らめがつく。それはすなわち己を知るということにつながるのだと思います。
そして人生はまだまだ続きます。今はあくまでも通過点。会社の社長になったからといってゴールなのではなく、もしかしたらまだスタートもしていないのかもしれません。
今の延長線上を生きるもよし。違う道を選ぶもよし。
「人生」は自分が責任をもってあらゆる選択をすることができる「資産」なのだとおもうのです。
私が起業なんて・・・
そんなことはありません。人類が発明した中でもなかなかに有益な一つが株式会社です。資本主義の国に生まれたのですから、それを活かさない手はないと思いませんか?
この内容は2022年6月24日(金)11時からのインターネットラジオ「stand.fm」で生配信します。皆様からのコメントもお待ちしております。生配信を聞けないという方は事前にレターも受け付けておりますので、どしどしご参加・ご応募ください。
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