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異・二十三弾語り

こんにちは、夏休みが夏休みじゃないむし。です。もういやだ。
さて、ようやく二十三弾を出せました。気づけば二十二弾から約半月経っていますね…もう少し創作のペースを上げたいなと思いつつ、気力がなかったり他の事で忙しかったりと、ぐだぐだやってしまった気がします。でも、創作は趣味だし仕事じゃないので、自分のペースでゆるゆるとやるのが一番だと思っています。自分がちょっと許せないだけ。
それはそうと、二十三弾について語っていきましょか。いつも通りネタバレ満載なので、二十三弾を読破してから読む事を推奨いたします。

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それではいつも通り、やっていきましょう。


二十三弾ができるまで

このお話を作ろうと思ったのは、昨年の6月あたりでしょうか。大学のとある授業で興福寺の八部衆立像の存在を知った時、「この8人で1作品分作れそうじゃないの」って思ったんです。興福寺の八部衆といえば誰もが知るあの阿修羅像が有名です。他にも龍や夜叉がいたり、音楽神が3人いたりと個性大爆発なメンバーです。しかし皆さん比較的馴染みやすい表情をしております。八部衆について興味を持った方は、こちらから詳細を見てみるといいかもしれません。

https://www.kohfukuji.com/property/b-0008/

さて、八部衆は「乾漆像」と呼ばれる種類の仏像です。布などを漆で塗り固め乾かしたもので、その重さは見た目よりも軽いそうです。中身が空洞だからかな?
そんな八部衆の皆さんは、どこか欠損している方々が多いのです。そこから私は(服装も相まって)彼らに歴戦の戦士っぽさを感じ、ここから彼らを異時空界に組み込んでいきました。

さて、東部では人間とヨモツ鬼の利権争いが幾度となく行われて来たという歴史があります。その戦争の中に彼らがいたとしたら……と妄想しつつ彼らの設定を練ったのは二十二弾とほぼ同時期だった気がします。それから色々なんやかんやあって丸一年、設定やら背景やらがだいぶ複雑になってしまいました。もうちょい簡潔にできないかなーとは思ったのですが、無理でした。ゴメンネー

さて、今作は今までやったような事を色々と結集させたような方法で書き進めていきました。十七弾で使ったような戦闘描写(?)を用いたり、第八弾のような条件式で発動されるデザカ(今作は永夜抄のラストスペル方式)を作ったり、十二弾のような実績システムを改良して組み込んだり、二十一弾とまでは行かなかったけど簡易的な弾幕絵を盛り込んだり…ってところです。
また、今作では新たに中ボスをシルエット表示するという試みをやってみました。初めはやるつもりはなかったのですが、後述の彼を出す事に決めた事で絶対にやらなくてはならなくなりました。
それと、実績を実装したのはただ単にラストスペル条件提示的なものがやりたかったからというのもありますが、もう一つ実績ページを使って絶対にやりたかった事を成し遂げたかったからです。こちらは該当箇所で語ります。

キャラ語り

そんなわけで、二十三弾のキャラ達を語っていきます。

・迦楼鳥目

鳥目ちゃん!

一面ボス、迦楼鳥目ちゃん。彼女は八部衆のうち迦楼羅(かるら)に該当します。鳥のような頭を持ち、トサカと左手は欠損しており、おしゃれなスカーフを巻いています。この子は東部繁華街三大商家の一つ、呉服屋「迦楼」の店主というポジションとニワトリ🐓を意識してデザインしたら、とってもかわいくなりました。ぱっちりおめめとお口がかわいいのよね。めちゃくちゃお気に入りです。衣装アレンジもなんだかあったかそうな雰囲気になり、上手くいったなと一人でニヤニヤしております((
彼女は利益をもたらす力を持っておりますが、招き猫的なものではありません。彼女自身の関与によって、結果的に利益をもたらすということなのです。
そういや、彼女は唯一デクノボウなのに苗字をもっている子です。繁華街で商売をしていくにあたって、苗字は必要不可欠なのだとか。

・槃太

槃太くん!

槃太くん、まさかの再登場です。最近の二面ボスって再登場キャラが多くない?でも二面ボスというポジションって、再登場キャラが出やすい所ではありますよね。そんなことないって?
さて、彼は八部衆でいう鳩槃荼(くばんだ)に該当します。ヨモツ鬼が人間の魂を主食としている点は、鳩槃茶が死者の魂を吸う悪鬼とも言われている面から取りました。今作の彼は本来人間襲って魂を喰らおうとする予定だったのですが、お師匠様のおかげで平和に終わっています。
ちなみに彼が骨を渡した相手は畢境。鬼でありながら人間側に属するデクノボウ達と交流を持っている彼は、最終的にどちら側につくんだろうねぇ。

・畢境

畢境さん!

三面ボスの畢境さん、彼は畢婆迦羅(ひばから)に相当します。畢婆迦羅は横笛(欠損)を持つ音楽神であり、ニシキヘビを神格化したものだとも伝えられています。なので彼はちょっと首が長かったりします。もし描くときは首をちょっと長めに描いてあげてね。
彼は八部衆の中でもだいぶ大人な、髭を生やしたクールフェイスをしております。こういう顔には、堅物が似合いますよね(そうでもない?)。そんな彼の衣装アレンジはとにかく堅く武人のように、しかし軽やかさも感じられるものになりました。槍の持ち手は竹製。
彼は供養する力を持っています。魂を食われてしまった者達を適切な手順を踏み供養することで、彼らが冥界へと行けるように導く力です。この力は彼がデクノボウとなった後に開花した能力…もとい生み出した技術です。彼に弔われた人間達が、無事に冥界へと行けるといいな。
彼の弾幕はとにかく横からなんかするものが多くあれ。

・大音師 撥那

撥那くん!

大音師と書いておおとしと読む、大音師撥那くんです。彼は緊那羅(きんなら)に相当します。三つの目を持つ半神であり、音楽神とも伝わります。しかしどんな楽器を持っていたかは予測がつかないので、勝手に琴を持たせちゃいました。琴とはいってもこれは中国の琴で、「古琴」と呼ばれる楽器です。なんかこれ盾みたいに装備できそうじゃない?って思って腕に装備させました。なんでやねん。三つ目の半神というところから、種族も人間と妖怪のハーフになりました。
さて、撥那が身につけている服は南部寄りのものとなっております。南部に行った時に気に入ったのかなぁ。

・大音師 乾奈

乾奈ちゃん!

大音師奏楽団(?)の簫担当、大音師乾奈ちゃんです。彼女は乾闥婆(けんだつば)に相当します。簫を吹き、音楽を流して諸神を供養する乾闥婆は、常に目を閉じた見た目をしています。彼女も常に目を閉じています。いや、ホントは開くこともできるんだけどね。開いたところで自分の目じゃ何も見えないので常に閉じているというわけなのです。
彼女の服は北部寄りのものをベースにしました。腰の鎧もどきや撥那とお揃いのアクセサリーがあるおかげで北部みは薄れていますが、年中寒い北部の宿命か、あったかい生地でできているみたいです。

二人はどちらも「奏する」力を持っています。この力は演奏をするだけに使われるのではなく、例えば「功を奏する」などのように、成果を得る方でも使えるみたいです。
ちなみに、撥那と乾奈の二人が天衣を鳥目に頼んでいた理由は、「なんかつけてみたかったから」だそうです。

・龍宮 善女

善女ちゃ!

雨を呼ぶ龍なのに黒龍な龍宮善女ちゃん。彼女は沙羯羅(さから)に相当します。八部衆の「龍」であり、水中の宮に住み雨を呼ぶ沙羯羅は、少年のような顔をしています。なので、善女さんは「見た目は若いけどめっちゃ生きてる奴」になりました。しかし、そんな奴は異時空界に盛りだくさんいます(リテールさんとか)。しかし、ここまで子供な姿のそういう奴はいませんでした。記録更新だねッ!
彼女をデザインするにあたり、幼さと気品を兼ね備えたキャラにするのに結構苦労しました。それに、龍形態の蒼辰さんのデザインを参考に普段やらないキャラ造形(獣耳とか)をしたので、挑戦的なデザインになっているのではないかと思っています。そして、彼女の服装は韓服がベースです。なぜなら雨宮の外見として想像していたのが、コリア庭園(という場所がある)だったからです。弾幕絵を描く時用に写真もいくつか撮って来たのですが、結局タイトル画面の背景にしか使いませんでした。ちょっぴりかなしい。
彼女は雨を呼ぶ力を持っています。彼女に頼めば、雨乞いなんてしなくても雨を呼んでくれます。だって彼女自身がが龍なんだもの。

そういや、彼女含む龍の伝説がまことしやかに伝えられていた世界は現在すでに滅亡しているらしいです。その世界のこととかも、どこかで描けたらいいね。でも少なくとも本編じゃ無理です。

・修良

修良!

今作の六面ボスはこの方、修良さんです!彼が該当するのはもちろん、阿修羅(あしゅら)です。三つの顔と六つの腕を持ち、どこか身軽な服装に身を包む、誰もが知ってる阿修羅さん。その誰もが知ってる風貌がゆえに、キャラデザも非常に大変でした。阿修羅っぽさもありつつ、阿修羅じゃないように見せるには…と試行錯誤した記憶があります。
そんな彼の生き様は、阿修羅のエピソードに寄せています。阿修羅は元々ペルシャでは太陽神として信仰されており、しかし帝釈天の台頭とともに悪神、鬼神の類になり、仏教に取り入れられてからはお釈迦様に帰依し八部衆の一人になる(超簡略)、と波乱万丈。彼も鬼と仲の良かった時代はけっこうなやらかしをしてしまいましたが、浄(帝釈天もモチーフ)にタイマンを挑み続けるうちに心を入れ替え、今では槃太くんの師匠を勤め上げるまでになっています。
さて、彼は先導する力を持っています。かつては鬼達を先導したり、今は人々を先導したり。異変時には雨雲を先導し雨宮直上に留まらせたり。とにかく自分が主体として何かを導くことができる力を持っていると解釈できそうです。

・浄

浄さん!

まさかの名前が1文字、浄さんです。いや元々苗字はあるけどデクノボウになるにあたって無くなったと理解した方がいいのかも。そんな彼は五部浄(ごぶじょう)に相当します。興福寺八部衆の五部浄さんは頭と胸部、右腕を残し残りは全て欠損しており、頭には像の冠を被っています。彼がもし全て欠損していなかったら、どんな見た目だったのだろうと考えながらキャラデザを進めていきました。すっごくカッコよくなりました。腰に布を巻き、武人のような装いで、象の牙でできた武器を持つ。やっぱり妄想するならかっこいいのを考えたくなりますよね…ウンウン。ちなみに神は後ろで束ねてあります。三時ルートエンディングでは帽子を脱いだ姿が見られますが、束ねた髪は描かれていません。けっこう真後ろに結んでます。
そんな彼は帝釈天もモチーフの一つになっています。修良との関わりとかそこいら辺の設定面で参考にしております。
彼との戦いではどこぞのヘカさん純さんみたく修良が茶々を入れて来ます。やってみたかったんですよ、こういうの。マジで。

・円鳥 空鞍

空鞍さん!彼だけ背景にはこだわりました。

はい、第八弾以来久しぶりのSecret Stage、ボスを務めますのは円鳥空鞍(えんちょうくくら)さんです。まさかの造形師。本編の輩が仏像モチーフならば、こちらは仏師がモチーフです。かのアルカイックスマイルな仏像が製作された時代の仏師の「鞍作止利」や江戸時代の木端仏で有名な「円空」など様々な仏師や、デザカの名前も様々な仏像の技法をモチーフにしています。
キャラデザは古墳時代やら飛鳥時代の服装を参考に好き勝手やりました。おかげで私の大好きな髪型だし、とっても描きやすいシンプルな見た目となっております。この作品で一番キャラデザがシンプルなんじゃない?でもシンプルに強い奴っていいよね。
さてさて、彼の登場の仕方には驚いた方も多いのではないのでしょうか。初めは五面中ボスとしてシルエットで出演しましたが、五面ボスではありませんでした。今回中ボスにシルエットを入れようと思ったのはこの仕掛けの為だったのです。全ては彼への布石。そしてSc Stageも実績画面から出て来ます。これが一番やりたかった。こんなところから新たなステージが出てくるなんて思わなかったでしょ(自画自賛、自惚れ気味)。こういうのを仕掛ける時って本当に楽しいんです。驚いてくれるかなーとか、べったーに組み込む時はわくわくニヤニヤしながらやってました。

さて、Scステージなので勿論彼は曲持ちです。しかし彼の曲は既に公開されていて、彼が登場するということは事前に、二十三弾が公開される一ヶ月ほど前から示唆されていました。よく見ると彼のシルエットがあったり、字幕をオンにすると彼のあの台詞があったりなどの仕掛けを仕込んでおりました。気づいた人いたのかなぁ。
彼の曲は昔の作風に寄せようとしてちょっと失敗しているような曲になったと思います。自分が昔作った曲は思ったより繰り返しが少なくて、一本道の曲が多いような気がします。なので、イントロ→A→B→サビ1→イントロ'→C→D→サビ2とできるだけ曲が一本道になるようにしました。ドラムの音源も昔よく使っていたものを使っています。良曲かと言われれば微妙なラインではありますが、私は十分満足しています。スルメ曲になったらいいなぁなんて。

おわりに

さて、今回はこのくらいでしょうか。八部衆の存在を知ってから突発的に作り始めたものなので、まだキャラ達への理解が荒かったりするところもあるかもしれません。しかし彼らは今後どのような動きをするのか、どのような活躍を見せてくれるのか、ヨモツ鬼と人の戦争も近いですし、楽しみなところではありますね。私も執筆する身ではありますが、とても楽しみです。

では、今度は二十四弾語りでしょうか、それとも別の記事になるのでしょうか。またどこかでお会いいたしましょう。

2024.08.12 むし。
*23.5弾語りは多分ありません。

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