憧れ、16

「いつもnobody」
意味が分かるようになってからは
さらにその歌詞が刺さるような時期があった。

「誰もいない」ってことなんだけれど、
中学1年生の僕は、その意味も知らないで、
ただだたリズムと歌詞とメロディに興奮して歌っていた。

「そうさこのまま何も出来ないで年をとっていくのはゴメンさ」
何も出来ないで年をとってしまった。
とはいえ、普通にここまできて、家族と何はともあれ平穏無事に暮らしている。野心というのは無くなってきている。
「心が擦り切れていく前に」
そう、擦り切れたのか、丸くなってしまったのか。

このBoφoyの16ていう歌は、どちらかというと主人公はアウトローなんだろうけれど、「ろくでなしブルース」や「今日から俺は」「カメレオン」など、オタクの僕でもハマるように、この16ていう歌の主人公に憧れ、主人公になったつもりで歌っていた。

「冷たい線路に耳を当てて」みたかった
「都会のノイズ」知りたかった
「新聞にくるまって」夢を見るなんてのは、今になっては無理だと思っている。
「ミッドナイトの列車はノーリターン」終電で眠って駅員さんに起こされるおじさんになってしまった。どちらかというと朝の電車で一度ノーリターンで仕事サボってみたい。

いつかのヒーローよりも年上になってしまったけれど、
まだまだ憧れは心のずっと奥の方。
今46歳、16の30年後は夢見たよりも平凡に、だけどそれも想像以上に大変なことたくさんあった。共感を呼ばないドラマもたくさん世の中にはある。
何にもなかった16。
何にもしなかった16。
歌の世界に憧れていた。

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